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この国についてもっと知る必要があった。


-⑨情報を得、入浴する-


 ガイが光の家を通り過ぎると情報を収集する時間にした、直近の情報は新聞以外なさそうだ。今朝、ナルがお試しとして持ってきた今朝の朝刊を見ることにした。1面にはネフェテルサの王族についての情報が記されていた。ただ、『どこかの北の国』みたいにずっと「~様万歳」的な文体が続いている訳では無かった。

 2面を開いてみることにした。地域の物価や農作物についての情報が事細かに書かれている。どうやらご近所さんの畑で東京ドーム2個分位の大きさのキャベツと南瓜が取れたらしい、いや収穫する前から目立つだろうと誰もが突っ込みたくなる記事だった。

 そう言えばこの世界の人たちは娯楽や趣味はどうしているのだろうか、周囲を見渡せば皆ずっと街での仕事や農業をしている人たちばかりで兎に角忙しいばかりの国なのかなと疑問に思いながら3面に移った。


光「3面はテレビ欄・・・、テレビ欄?!テレビあんの?!」


 その時インターホンの音がした。『御用の方はこちらのボタンを押してください』の札を立て掛けておいて正解だと思いながら玄関を開ける。


光「はーい。」

ネスタ「おっ、本当に来たね。これも魔法の1つかい?あたしゃ初めて見たよ。」


 この世界にはいわゆる呼び鈴という者が無く用があれば大抵玄関の前で名前を大きな声で叫ぶことが多いらしい。ノックをする人はちらほらしかいないそうだ。


光「ネスタ・・・、さん・・・、おはようございます。」

ネスタ「おはよう、新居を見に来るついでに夕飯を作りに来てやったよ。」

光「そうだ夕飯・・・。」

ネスタ「ん?何か作っていたのかい?」

光「実はカレーを仕掛けていたんです。」

ネスタ「カレーかい、あたしも大好きだよ。」

光「良かったら、明日食べに来ませんか?」

ネスタ「どうして明日なんだい?」


 どうやらこの世界ではカレーを1晩置くと美味しくなるという知識というより概念がならしい。一先ず出来上がったばかりの物をネスタに食べさせた、一応寸胴鍋で作ってあるから心配は無いのだが念の為光は普通の1人前の量で我慢し明日まで置いておくことにした。


ネスタ「そう言えばこの家、銭湯からかなり離れているね。ずっとシャワーで過ごすつもりなのかい?」


 そうだ、思い出した。ネスタの家には風呂が無く、入浴はどうしているのだろうかと疑問に思っていた所だった。ネスタによるとこの国の人はシャワーは汚れを落とす程度で大体は皆地域の銭湯に行っているそうだ。やはり女子としてはお風呂は欠かせないし、1日の疲れを取れる場所が欲しい。とりあえず今夜はネスタと一緒に銭湯に行くことにした。そして明日、太陽光発電を利用した風呂を作ろう、出来れば露天風呂にしたい、光のこだわりというより子供の頃からの憧れだ。


 銭湯へはネスタが軽トラに乗せて連れて行ってくれた、そう言えばこの国には軽トラ以外乗り物は無いのだろうか。ネスタに聞いてみる事にした。


ネスタ「そうだね、他にも町中には家族や友人同士で集まってお出かけする用のものがあるらしいけど、私はこれで十分だからね。それに私の免許で乗れるのが軽トラだけなんだ。」


 軽トラ専用の免許とは初めて聞いた、光は自分の免許ではどこまで乗れるんだろうかと聞いた。


ネスタ「あんたの免許は・・・、あらま。町中の人たちと同じで大きな一般車全般は乗れるみたいだね、すごいじゃないか、いつの間に取ったんだい?」


 どうやら日本にいた時に取っておいた普通免許が役に立つみたいでほっとした。そうこうしている間に山の中腹にある銭湯に着いた。

 2人は軽トラを降りて入り口を目指す。エンジンはボンネット付近を軽くノックしながら「止まれ」と言うと止まった。

 入口の自動ドアをくぐり受付をしてロッカーの鍵を受け取り脱衣所へ、そして浴室へ入って行く。大きな大浴場にサウナ、打たせ湯、そして露天風呂など日本の銭湯と変わらない景色がそこにあった。

 入浴を済ませ脱衣所を抜ける。ロッカーの鍵を返して座る場所を探した。日本と同じように畳の休憩所が用意され日本と同じような自動販売機があった。光は思わず飲みたくなり「麦酒ビール」を購入、一気に体に流し込み息を吐いた。そして運転してくれているネスタと家で改めて乾杯する事になった、今夜は泊りになるみたいだ。

ネフェテルサ王国での夜はまだまだこれかららしい。

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