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70

奴隷の貴重な話を聞くデカルト。


-70 出てきたのはまさかの人物-


 ダンラルタ王国の悪徳貴族であるクァーデン家に奴隷として捕まっていた巨獣人族の話を親身になって聞き入る国王のデカルト、少しも聞き逃さぬようにしたいので慎重に言葉を選んで質問していく。


デカルト「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

奴隷「皆・・・、名前を奪われ番号で呼ばれていました。」

デカルト「そうですか・・・、因みに奪われる前の物は覚えていますか?」

奴隷「ガヒューでした、ガヒュー・パンドル。」

デカルト「ではガヒューさん含め皆さん、これからは堂々とご自分のお名前を名乗って下さい。」


 巨獣人族の者達の目には涙が。


ガヒュー「よろしいのですか・・・。」

デカルト「勿論、国王の名の下に許可致します。今日からあなた方はわが友、そして皆さんの雇口も探させて頂きましょう・・・。」

ガヒュー「ありがとうございます、人生でこの上ない位の幸せです。」

デカルト「これからどんどん、幸せで楽しい人生を共に歩みましょう。その為にも私に協力してくれますね?」

巨獣人族達「お任せください、国王様!」

デカルト「ではウィダン君・・・、皆さんの為に雇口を。恐れ入りますがガヒューさんはもう少しお話をお伺いさせて頂けますか?」

ガヒュー「勿論でございます、国王様。」


 デカルトはゆったりとした雰囲気で話しやすくする為にとガヒューにハーブティーを与えた。また、果実で作ったフルーツタルトも横に添えている。両方とも素材からデカルトが作っている。


デカルト「どうぞ、私が王宮の中庭で育てたハーブと果実を使ったハーブティーとフルーツタルトです。お召し上がりください、ただくれぐれも他の人には内緒にしてくださいね。」


 ガヒューは震えながらティーカップを手にし、1口啜った。優しい味わいに心が安らいでゆく。そして横に添えられたフルーツタルトをナイフとフォークで器用に切って食べた。

 ガヒューは2品の優しい味わいで落ち着いた様だ。


ガヒュー「美味しいです、こんなご馳走久々で・・・嬉し・・・い・・・。」

デカルト「お辛かったでしょう・・・、もう大丈夫ですからね。我々は味方です。すみませんが、覚えている事をお教え願えませんか?」


 ガヒューは使っていた什器類を置き、重い口を開こうとしていたのでデカルトは林田に電話を繋いだ。


デカルト「私の友人です、ネフェテルサ王国警察で警部をしています。」

林田(電話)「デカルト国王の友人の林田と申します。些細な事でも構いません、覚えている事をお教え願えますか?」

ガヒュー「先程国王に申し上げました通り、俺達が捕まっていた牢屋の向かいでクァーデンが札束を何者かに渡して『これで上手くやってくれ』と伝えていました、確かクァーデン含め3人いたと思います。残り2人の顔は見えませんでしたが、先程の言葉の後にクァーデンが『義弘さんもお願いします』と言っていました。」

林田(電話)「い・・・、今何と?!」

ガヒュー「だから・・・、『義弘さんもお願いします』って・・・。」

林田(電話)「『義弘』と言っていたのですね?」

ガヒュー「確かに言っていました、牢の監視カメラに3人の様子が映っていたはずですので間違いなく。」


 林田から競馬場にいる結愛にその事が伝わると結愛は無線機を持った右手を震わせていた、顔全体が蒼ざめている。


結愛「義弘・・・、あの野郎・・・。この世界で何をする気だ・・・。」

林田(無線)「結愛さん、落ち着いて待って下さい。確か奴の刑期はまだ終わっていなかったはず、日本の刑務所に『連絡』してみましょう。」


 林田は日本と連絡出来る様、この世界に来て初めて『作成』した『連絡』で義弘がいるはずの刑務所へと繋いだ。怪しまれない様に電話を通して話す形にしている、お陰で日本では「あらゆる場所の固定電話に死者からの着信がある」という都市伝説が生まれてしまっているが、今はそんな事言っている場合ではない。


林田「刑務所長、久々だな。落ち着いて話したい、時間あるか?」

刑務所長(電話)「お前その声・・・、林田か?死んだって・・・、聞いたぞ・・・。」 


刑務所長は驚きを隠せない。

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