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69

デカルトは奴隷を解放してどうするつもりなのだろうか。


-69 解放した理由-


 クァーデン家から解放した奴隷たちをデカルトに会わせる為、一先ず王宮へと連れて行った。レース場に行く前に彼らに入浴させた後、新品の衣服と沢山の食事を与える様にとデカルトから指示があったからだ。特に食事に関しては出せるだけ出して良いので奴隷たちが満腹になるまでとの通達だった。

ムカリトの同僚で同じく軍隊長であるバルタンのウィダンが数人のグリフォンと任務を遂行していた。ただ、デカルトの「出せるだけ出して良い」という通達が妙に引っかかっているのだが。


奴隷「兵士さん・・・、良いのかい?こんなに良くしてもらって。」

ウィダン「だ・・・、大丈夫だ。こうする様に国王陛下直々の指示があってな。それにしても全然食事を取っていなかったのか?王宮にあった食材の殆ど9割方出したんだが全部食っちまったじゃねぇか。」

奴隷「まずい事をしてしまったならすまない、俺達元々巨獣人族ジャイアントなんだ。」


 ウィダンは王宮や王国軍の者の普段の食事の数十倍の量を出したつもりだったのだが奴隷たちは全てをペロリと完食してしまった、しかも10分も掛からない内に。


ウィダン「だからか・・・、大食いで有名だと聞いたが本当だったんだな。」

奴隷「さっき兵士さんに聞かれた通り、捕まってから全く食事という物を与えられて無かった。我慢しながらの強制労働は本当に辛かったよ。決して満たされない空腹と喉の渇きに耐える事が出来ず、何人もの仲間が亡くなっていったんだ・・・。辛かったよ、友人が目の前で息を引き取るのを見るのは。」

ウィダン「そうか・・・。思い出したくなかったら良いのだが、亡くなった方々はどうなった?」

奴隷「ゴミの様に鉄の窯に入れられ、燃料として使われた。俺達の毛皮はよく燃えると知っているらしい。ぐっ・・・。」

ウィダン「すまない・・・、悪かった。許してくれ。」


 ウィダンは奴隷の両肩に手を置き、頭を下げた。2人は目に涙を浮かべている。


ウィダン「それにしても初めて聞いたな、巨獣人族の毛皮がよく燃えるなんて。」

奴隷「俺達は普段は魔法で人の姿やこのサイズを維持しているんだが、これも結構辛くてな。ただ獣人族の中でも俺達巨獣人族は寒い所に住むことが多いから、体表に沢山ある毛皮で体を温めながら過ごしていたんだ。たまにだが毛の1本1本にある油分を利用し、焚火をしてキャンプの様にバーベキュー等を中心とした料理をする事もあったんだよ。

それより兵士さん、本当にありがとう・・・。本当に美味しかった・・・。」

ウィダン「礼には及ばないさ、そろそろ国王様の所に出発しようか。」


 ウィダンの声を聴くと丁度出発の準備を終えたグリフォン達が背中に乗るように促し、奴隷たちは従った。奴隷たちはグリフォンにもお礼を言っていた、よっぽど嬉しかったのだろう。


グリフォン「礼なら国王様に言いな・・・。」


 笑みを浮かべ奴隷にこう伝えると、レース場に向かって飛び立った。奴隷達の気持ちを落ち着ける為ウィダンが話しかけた。


ウィダン「王宮の料理、美味かっただろ?俺も好きでな、特に何が美味かった?」

奴隷「そうだな・・・。全て美味かったが、特に明太子スパゲッティだったな。俺大好物なんだよ。少し和風出汁と辣油が利いてて味わい深く、ついがっついてしまった。」

ウィダン「やっぱりか、俺もあれ好きでな。それにしてもまさかシェフが少しだけ入れた隠し味を初めて食って2つ当てるなんて凄いな。」

グリフォン「俺も最初は生クリームしか分からなかったぞ。」

奴隷「実はこう見えて調理師の資格を持っていてな、料理と味覚には自信があるんだ。」

ウィダン「そうか、良かったら今度食わせてくれよ。」

奴隷「いくらでも食わせてやるさ。」

ウィダン「楽しみにしてるぜ。おっと・・、もうすぐ着くみたいだ。」

グリフォン「着陸するぞ、ただ少し場が荒れてるみたいだからよく捕まっていてくれ。」


 ウィダンと奴隷達を乗せたグリフォン達がゆっくりとレース場横の砂地にゆっくりと旋回しながら着陸するとそこにコッカトリスが飛んで来た、デカルトだ。

 デカルトが人化するとグリフォン達も同じ様に人化し、皆と共に頭を下げて跪いた。


ウィダン「国王様、クァーデン家に捕えられていた方々をお連れしました。」

デカルト「ありがとう。皆さん、長旅お疲れ様でした。私は国王のデカルトと申します。皆さんにお越しいただいたのはありません、クァーデンとバルファイ王国にある魔学校の人間との関係性を可能な限りお伺いしたかったからです。」

奴隷「確か・・・、俺達が捕まっていた牢屋の向かいでクァーデンが何者かに大金を渡していたのを見ました、その時『これで上手くやってくれ』と言っていたような・・・。」 


クァーデンの悪行とは。

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