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59

ロケットスタート(?)に成功した⑨番車。


-59 かなりのハンデと判断力の良さ-


 スタート地点で各車が和やかに過ごしていると実況のカバーサの声が響いた。


カバーサ「ご連絡いたします、只今の点灯は故障によるものではなく正式なスタートでございます。繰り返します、只今の点灯は故障によるものではなく正式なスタートでございます。よって冷静な判断でスタートした⑨ドッグファイトが1位で独走しています。」

ゲオル・ナルリス「嘘だろ、こんな事毎年あったか?!」

カバーサ「ドライバーの冷静さを見る為に敢えて主催者が仕掛けたトラップでございます、これに引っかかった残りの各ドライバーが車に乗り込みスタートして行きました。ドライバーの皆さん、くれぐれもスタートする時、他のドライバーに影響を与える事の無いようにお願いします。事故は勘弁ですよー。」

光「カバーサさん・・・、こんなキャラだったっけ・・・。」


 隣の魔法使いと吸血鬼が口をあんぐりとさせていた頃、唯一光が投票した⑨番車は大差を付け悠々と走っていた。18kmのホームストレートを抜け第一コーナーに差し掛かり、冷静なコーナリングを見せた。立ち上がりも悪くない、どうやら光の判断は正しかった様だ。

 ふとオーロラビジョン映像が車内に切り替わり、実況と一緒に2人の男性の声が流れ出した。


男性①「お、おい・・・。大丈夫なのか?」

男性②「ま、まぁ・・・、問題ないさ・・・。何せ俺達の車は予選をトップ通過した高性能なんだぜ・・・。」

男性①「な・・・、ならいいが・・・、ってあれ?何か俺達の声響いてね?」

男性②「本当だ・・・、どういう事だ。」

カバーサ「お気づきでしょうか、説明し忘れてました、てへっ。今年からレース中の車内の映像が流れ、ドライバーとチームメイトとの通信の音声を実況席を通してお楽しみ頂ける様になりました。各車の皆さんは下手に作戦を漏らさないようにお願いしますねー。」

⑰ドライバー「聞いてねぇよ、こんなの初めてだ。慎重に行こう・・・。」


 ポールポジションに車を止めている⑰ブルーボアのドライバーは運転席に急いで乗り込み魔力を流し込んで車を発進させた。後続車を一気に突き放し⑨番車をトップスピードで追いかけ始めた。ギアを5速に入れ18kmものホームストレートで一気に差を付け先程⑨番車が冷静にコーナリングを見せた第一コーナーに差し掛かった。第一コーナーの周りは砂漠から飛んで来た砂に囲まれ滑りやすく、またコーナー自体少し傾斜がかっておりスピードを落としづらい状況となっていた。その上ほぼほぼ360度をぐるっと回る様な設定となっているのでホームストレートでスピードを出しすぎてこのコーナーを回り切れず、毎年外の砂地に放り込まれる車が多発している。今年も例外では無かったみたいであった。

 聞き覚えのある声が焦った様子で話しかけている。映像が切り替わり猛スピードで第一コーナーに突入しようとしている車の映像が映っていた。


⑰監督「おいおい・・・、そんなスピードで曲がりきれるのか?!そろそろ落とせよ。」

⑰ドライバー「監督は心配性だな、俺を誰だと思ってんの?こんなの余裕だって。」


 そう言いつつ第一コーナーに差し掛かった⑰番車は落としきれていないスピードと、外から風で侵入してきたバルファイ王国特有の砂により滑りやすくなった路面も手伝い外壁に向かって突っ込もうとしている。


⑰監督「おい、右だ!一気に右にステアリングを切ってすぐに左に切り返せ!ドリフトして何とか旋回するんだ!」

⑰ドライバー「分かってらい、余裕だって。」


 だが⑰番車は完璧にコントロールを失ってしまっている。コーナーの出口が少し狭めに作られているせいか立ち上がりする直前に外壁にリアを激突させてしまった。直ちに軽トラに乗った珠洲田が救出に向かい、荷台にドライバーを乗せた。


カバーサ「おっとー、今年も例年通り第一コーナーで事故があった模様です。事故車とセーフティーカーを避けて後続車が冷静にコーナリングを行っていきます。⑰番車のドライバーはかなり反省している模様です。」

ゲオル・ナルリス「踏んだり蹴ったりってこんな事を言うのかな・・・、買い足して来よう・・・。」


 2人は泣きながら券売機へとぼとぼと歩いて向かった、光は隣で微笑んでいる。ナルリスは光が出走表の⑰番車に「×」印を付けていたのを見て驚いていた。


ナルリス「予期・・・、してたの・・・?」

光「何となくね、ほら、早く行かなきゃ買えなくなるよ。」


 光は余裕の表情を見せながらビールをもう一口。そんな中、トップの⑨番車は砂漠に設置された道路を抜けネフェテルサ王国の平地へと差し掛かろうとしていた。光は笑みがこぼれていた。 


あの時の二の舞になるのだろうか・・・。

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