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レースの熱気が高まっていく。


-55 レース当日を迎え-


 レース当日を迎え、光達は南側の山にレース用に掘られているトンネルの前に特設された観客席で、ビール片手に選手たちがトンネルから出てくるのを今か今かと待っていた。

 レースコースを挟み向かい側に魔術で作られたと思われる巨大なオーロラビジョンに映るレース模様を観客皆がドキドキしながら注目している。

 ホームストレートに各国から常連として毎回出場しているチームが各国3チーム、新規の参加チームが3チーム、そして各国の王宮で選ばれた選手達が集まる選抜チームが3チームで、毎年通り合計21チームが出場する事になった。

 前日に行われた予選の結果、今年からバルファイ王国代表で新たに出場する事になったブルーボアが1位のポールポジションを獲得し優勝候補として名乗りを上げている。

 規定通り皆と同じ珠洲田のカフェラッテを使用していたがエンジンの開発に余念の無い研究を重ね加速と最高速度に特化した物が完成し、メンバー全員が意気揚々としている。

 予選ではバルファイ王国の王都に設置された18kmものホームストレートを1番速く走り抜けたチームからポジションを取っていくルールなので全力で車を走らせた結果だった。

 色とりどりのカフェラッテにゼッケンのプレートが貼り付けられ各々のポジションに付き準備万端で15分後のスタートを待っていた。

 涼し気な気温、そして眩しい程の晴天によりドライとなった路面により絶好のレース日和となっている。

各国の各所に観客席が特設され、満員御礼となっていた。レースのスタートが近づく度に観客たちの熱気が高まって行く中、光は1人、ナルリスとゲオルの席を取り待っていた。


光「2人とも遅いな・・・、どこ行っちゃったんだろ・・・、トイレかな?」


 光に席の確保を頼んでから40分程戻って来ないので心配になって来た。一応、確保した席は連絡したはずなのだがちゃんと伝わっているのだろうか。

 心配する光の前をビールの売り子が横切ったので、熱気による暑さも手伝い欲しくなってしまい思わず手を挙げた。


光「お姉さん、ビール!!大サイズで!!」

売り子「400円でーす、毎度ー。」


 渡されたビールを一気に煽り息を吐く、まるで1人公園で缶チューハイを呑むおっさんの様だ。ただ、周りにも同じ様にビールを呑む女性達が数人いたのですぐに意気投合していた。乾杯を交わし塩味のポテチを肴にビールを煽る。

 やっとのことで2人が現れ、席に着く。手には見覚えのある小さな紙が各々1枚ずつ。


ゲオル「すみませんね、車券を買ってたら遅くなってしまいました。」

ナルリス「出走表が見にくいし、発券機は全部行列になってしまっているから苦労しちゃってね。光は買わないの?」


 実はこの国際レースはこの世界の公営競技として認められており、車券の販売が行われている。販売形式は単勝や3連単など、公営競技と同じとなっている。

 『ネフェテルサ王国レース場公園』の各レース場も毎年この国際レースの日は通常のレースを休止し、各場の券売機でレースの車券を販売していた、ただそれだけでは裁き切れないので数か所にも券売機が特設されている。


ゲオル「やはり優勝候補の⑰番車ブルーボアがストレート勝負で3連単に絡んで来ると思うんですよね。」

ナルリス「毎年表彰台に上がる⑬番車ブラックティガーも外せないですね、ボックス買いが良かったか悩みましたね。」

ゲオル「なので私は⑥⑬⑰のボックスにしましたよ。」

ナルリス「⑥番車・・・、バルファイ王国選抜のピンクファイターですね。初出場でエンジンもそこまでですが大丈夫そうですか?」

ゲオル「コーナリング重視のチューニングにしているのではと思いまして。」


 一応レース50周目になるまでは車券を購入する事が出来るのだが、混雑を防ぐため車券は1人2枚までの制限が掛かっているので買い足しのもう1枚をどうしようか2人は悩んでいた。


光「彼女ほったらかして車券買ってたんだ・・・、ぶー!!!」


 光は顔全体を赤くし頬を膨らましている。


ナルリス「ご、ご、ご、ごめんなさい。」

光「全然帰って来ないから心配したんだよ、ゲオルさんもです!!」

ゲオル「すみましぇん・・・。」

光「出走表どこですか?私も買ってきます!!」

ナルリス「では、我々はビールでも呑んでますかね。」

光「私が帰って来るまで待つの!!」

ナルリス・ゲオル「本当にすみましぇん・・・。」


何処の世界でも女性は強い・・・。

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