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少し気まずくなっている2人。


-㊿女子会後の約束-


光「さっきはごめんなさい、呼び捨てにしちゃって。」

ナル「いえ、だいじょうぶです。それより・・・、あの・・・、お口に合いましたでしょうか。」

光「はい・・・、美味しっかたです。ナルさんは器用ですね、以前から料理が出来る事は知っていましたがデザートまで・・・。」


 光は顔を赤らめながら語った。ナルの横を偶々通ったウェイトレスが軽く肩を叩いた。


ウェイトレス「良かったじゃない、気に入って貰えて。これ、貴方のオリジナルでしょ?」


 感動でナルが号泣している、こんなナルを見るのは初めてだ。

 このタルトは光の為にナルがオリジナルで考案したスイーツで、普段はメニューに載っておらず、前日2人が来ることを知ったナルがオーナーに頭を下げ頼み込み、無理やり日替わりのメニューを変更して貰っていた。


ナル(前日)「私は明日を境にクビになっても構いません。ただ吉村様・・・、いや光さんにお召し上がり頂きたいのです!」

オーナー(前日)「こうなりゃナルは何言っても聞かないもんな・・・。明日の日替わりタルトは決まってるんだけどね・・・。まぁ、美味しいから良いか・・・。」


 オーナーのその言葉に自信を持ち安心して翌日提供出来ると思っていたが、やはり味覚は十人十色なので光に気に入って貰えるか不安で厨房で1人震えていた。その日は全然眠れず、もしも口に合わなかったら・・・、不味いと言われたらどうしようと、光にどう顔向けすべきか分からないと枕を濡らしていた。そのお陰で瞼が少し腫れ、目の下には隈が出来ていた。

 当日、誰よりも早くカフェの厨房に入り準備をして疲れ切っていたナルは、光の美味しかったという言葉でやっと笑みがこぼれた。


ナル「そろそろ・・・、仕事に戻ります・・・。時給を貰って働いているバイトですから。」

光「待って!」

 

厨房に向かおうと後ろを振り返ったナルを光は思わず呼び止めてしまった。どう声をかけるべきか思いついていないうちに。


光「あ・・・、えっと・・・、また今度ナルさんのお料理が食べたいのですが。」

ナル「ではまた連絡します・・・、今日は・・・、これで。」


 ナルが奥の厨房に消えて行くと、光はテーブルに戻り着席した。ハーブティーが落ち着かせてくれる。タルトをもう一口食べ、光は思わず微笑んだ。

 

ナル「よっしゃ・・・。」


厨房の陰で小さくガッツポーズしたナルを見かけ、水のピッチャーをしていた先程のウェイトレスが声を掛けた。


ウェイトレス「ははーん・・・、ナル君あのお客さんの事が好きなんだ。」

ナル「はいー、・・・って、えっ?!い、いや、あの・・・。」

ウェイトレス「もう・・・、リッチでなくても分かるわよ、ナル君って隅に置けない子ね。お姉さん、好きになっちゃいそ。」

ナル「レーゼさん、何言ってんですか?」

レーゼ「冗談よ、私には旦那がいるし3人の子供もいるのよ。」

ナル「そうなんですか?人は見かけによらないな・・・。」

レーゼ「何?どういう意味?お姉さん綺麗って?」

ナル「あ、オーナーだ・・・、俺皿洗いしてきまーす。」


 そんな会話が厨房で交わされていることも知らず、光の下にドーラが戻って来た。


ドーラ「あの人って新聞屋の人よね?昼間はここにいたんだ。美味しかったね。」

光「はいー・・・。」


 ニヤつく光を見てドーラが誘導尋問してみた。


ドーラ「あの人、光に気があるっぽいね・・・。」

光「はいー・・・。」

ドーラ「光もあの人の事が好きなんだね。」

光「はいー・・・、って、えっ?!いや、あのー・・・。」

ドーラ「はいはい、後で聞きますからね。」


 顔を赤らめた光の背中を押し、ドーラはカフェを出た。 


光は本人が思った以上に顔に出やすいらしい。

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