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光の企てとは・・・。


-㉞子供の教育と食事-


 光はある人に電話をして午後に会う約束を取り付けた。メイスは横にいながらぽかんとしている。

 午後になって、光はメイスを連れ教会を出た。15分程歩いただろうか、田園風景が広がる場所に着きそこで約束を取り付けた人、ガイに声を掛けた。


光「お久しぶりです、ごめんなさい急にお願いして。」

ガイ「光ちゃんの頼みなら聞かない訳には行かないや、俺でよければ何でも言ってよ。」

メイス「あの・・・、これから何を?」

光「もう分かっているのかと思ってましたが、まぁいいか。子供たちの食育も兼ねて農業体験でもと思ったんです、土に触れ遊びながら自分達で食べる食糧を自分達で作りありがたみや大変さを学びつつ教会の食費を浮かすという作せ・・・、いや提案です。」

メイス「なるほど、良い提案ですね。早速教会に持ち帰って聖職者たちに話を持ち掛けてみます。」


 光の作せ・・・、いや提案は教会でも絶賛され即採用となった。早速次の日から子供たちがガイの田んぼで米を育て始めた。川から水を引き稲を1本ずつ大切に植え小さな合鴨を離した、これで害虫などによる稲への被害は減るだろう。田んぼを眺めながらメイスは光にお礼を言った。


メイス「ありがとう、これからは私もちょこちょこ見に来るわね。」

光「私もそうするかな・・・。」


 すると光はメイスに微笑みかけ、パン屋の仕事へと向かった。

 光が『作成』で作った肥料により米は1週間ほどで実り、早くから収穫の日を迎えた。合鴨のお陰で害虫の被害は無く無事にすくすくと育ち穂を垂れている。

 教会で面倒を見ている子供達が嬉しそうに田んぼへとやって来た、メイスも女の子に手を引かれほぼ無理くりの駆け足でやって来た。

 光も鎌を手に収穫に参加する事にした、子供達に教えながら1束1束丁寧に刈っていったが人数が多い分短時間で収穫が終わった。肥料のお陰で乾燥もすぐに終わってしまった。


光「これを脱穀と精米して炊いたら美味しいご飯の完成だね。」

子供達「はーやーくー!」

メイス「慌てない慌てない、炊けるまで皆で遊びましょう。」


 稲を刈った後の田んぼは子供たちの格好の遊び場となった。「空腹は最高のスパイス」だ、おかずに悩まなくて済みそうだ。シンプルな塩むすびで存分に喜んでくれるだろう。後は白菜の浅漬けでも出してあげるか、あれは日本酒の肴にする様に漬けたものだが米にも合う、あげた分はまた漬ければいい。たしか・・・、胡瓜の糠漬けもあったな。今日はご飯を存分に味わうか、光の表情が自然に綻ぶ。


光「炊飯器で十分かもだけど、折角だから『作成』で羽釜を作って焚火で炊こう。」


 火を最初は弱火でおこし、炊飯を始めて暫くすると米の炊ける良い匂いがして来た。


メイス「早く開けて食べましょうよ。」

光「メイスさんも慌てない慌てない。」


 米を炊くときは「初めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣けども蓋開けるな」というほどだ、決して慌ててはいけない。炊けた後は蒸らして・・・、完成!!!おこげも出来てるから上出来だ。皆が見てない間にちょっとつま・・・、いや味見・・・、と。


光「いける・・・、皆お待たせしました。炊けましたよ!!」


 子供達が集まって来て自前の茶碗を持ってくる、茶碗にご飯がよそられる、白菜の浅漬けと胡瓜の糠漬けを添えて出す。


メイス「皆さん、行き渡りましたか?では頂きましょう。」

子供達「今日こんにちの御恵みに感謝して、頂きます!」


 皆で祈りを捧げてから飯を食う、炊き立てでふっくらとしたご飯はやはり皆大好きだ、異世界に来てもこれは変わらない。(※作者の家は元米農家です。)


光「慌てないの、まだお代わりあるからね!それにしてもこんなに成功するとは思いませんでしたよ。」

メイス「光さんとガイさんに感謝ですね、いつもここの工房で焼いたパンばかりだったので子供達も飽きていたみたいです。それにしてもこのお漬物中々ですね、どこでご購入なさったのですか?」

光「すいません、それは・・・、私が酒の肴として作っていた物です・・・。」

メイス「あなた本当にお料理がお得意なのね。」 


日本でのおふくろの味が役に立ったみたいだ。

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