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143

異世界にまだ慣れない一。


-143 一の疑問-


 光と一はゲオルの雑貨屋へと到着し、呑み会の為の買い物を始めた。飲食店を経営している身であってもシューゴとレンカルドは2人共バーサーカーなので、多く呑みそうだなと想像してビール2ケースを中心に多めに用意しておくことにした。ただ、一は乗って来た車両カフェラッテの大きさを考慮して「乗らないんじゃないか」という疑念を抱いていた。勿論『アイテムボックス』を使うので車両積載量は関係ないのだが、何もかもが初めての一は脳内で騒動が起こっている。


一「吉村・・・、1つ聞くがどう運ぶつもりだ?」

光「運ぶと言うより入れておくって言った方がよろしいかと。」


 すると突然ゲオルが2人の真後ろに音も立てず現れ、声をかけた。気配を全く感じなかったので驚いた一は白目を向いていた。


ゲオル「光さん・・・、また凄い量ですね。」

一「だ、だ、だ、誰だ!!」

光「ここの店長でリッチのゲオルさんですよ、この世界で一番お世話になっていまして。」


 一は自分の中のリッチのイメージを思い浮かべた、目の前にいる店長の風貌は明らかにイメージとかけ離れている。一の思念を呼んだのかゲオルは手で頭の後ろを搔きながら言った。


ゲオル「やはりそういうイメージをお持ちでしたか・・・。すみません、普段はこうやって普通の人間の姿をしていないと生活に支障が出るんですよ。」


 一は自分の中のイメージを読み取られ驚きを隠せずにいる、日本に似ている異世界に来たはずなのに日本との違いをまざまざと見せつけられた気がした。


一「いや・・・、本当に凄いお方なんですね。申し遅れました、私光さんの元上司の一と申します。以後、お見知り置きを。」


 ゲオルは懐から名刺を取り出し一に渡した、勿論一には日本語での表記で見えている。


ゲオル「これはご丁寧に、私ここの店長のゲオルです。それにしても驚きましたよ、男性の方とお買物されているので知らぬ間にナル君と別れて新しい彼氏さんが出来たのかと。」

光「何か・・・、ごめんなさい。でも一さんは既婚者ですから。」

ゲオル「おっと・・・、これは失礼。」


 するとレジの方から店員に呼び出されたみたいなので、ゲオルは目の前からスッと消えて業務に戻って行った。

 買い込んだ酒類を『アイテムボックス』に入れていると、一が羨ましそうに眺めていたのでスキルをさり気なく『付与』してあげる事にした。


光「そんなに見なくても良いじゃないですか、一さんも出来る様になっていますよ。」


 一は恐る恐るステータス画面を出してスキルが増えている事を確認した。『アイテムボックス』と書かれていたので目を輝かせている。転生者は共通して神から『作成』を貰っているはずなので欲しい物やスキルは自分で『作成』してみてはとアドバイスしてあげようと光は思った。

 買い物を終え車に乗り込むと、一はゲオルの名刺を見ながら気になる事を聞いてみる事にした。


一「この世界の主要言語は日本語なんだな、この名刺も日本語で書かれているし。」

光「それね、神様が転生した私達に自動翻訳機能を付けてくれているみたいでして、こっちの世界生まれの人にはこっちの言語での会話や表記になっているみたいです。」


 それを聞いて一はまた疑問を抱いてしまった、冒険者ギルドでの事だ。


一「でもこっちの世界の言語には平仮名や漢字の様な概念はあるのかな、受付嬢のドーラさんが名字の読み方を一度間違えていたから思ったんだが。」

光「文字は一貫していると思いますよ、でも気になりますね。」


 光の自宅でカフェラッテから降りた2人は『瞬間移動』で冒険者ギルドに向かいドーラに質問をぶつけた。


ドーラ「それがね、何かのスキルかもなんだけど利通と結婚してから違和感無く日本語も話せる様になっちゃったみたいなのよ。実際さっきもそうだったんだけど一さんのギルドカードも今は日本語表記で見えてるから漢字を読み間違えちゃったのかもね、でもこっちの世界の言語も今まで通り話せるから良いかと思って。」

光「ははは・・・。こっちの世界での結婚って・・・、ここまで人を変えるの・・・。」


結婚の重大さを知った一。

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