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光は何か忘れていたような・・・。


-⑮カレーと驚きともうひとつの秘密と-


 ある朝、今日はパン屋の仕事も休みなのでゆっくり出来るなとうんと体を伸ばした。朝一でシャワーを浴び先日のカレーを食べようかと温めていく。スパイスの芳しい香りが部屋を包み光の空腹を誘う、涎を飲み込みながら皿に白飯をよそっているとインターホンが鳴った。カレーはお預けかなと思いながら玄関のドアを開けた、ネスタだ。何か忘れていたような気がするが何だったのであろうか。


ネスタ「あーら、この前の約束忘れてたのかい。やだよ、熟したカレーをご馳走してくれるって言ってたじゃないか。」

光「そうでした、丁度温めていたので良かったらどうぞ。」

ネスタ「そう来なくっちゃね、頂くよ。」


 光は米だけには拘りを持っていて家で食べる米は必ず新潟県魚沼産のコシヒカリと決めていた。異世界に来た今もその拘りは変わらず、念の為『作成』で作っておいてアイテムボックスに入れておいたのだ。その拘りのコシヒカリを皿によそってカレーをかける。

 2人はテーブルに向かい合わせて座りカレーに食らいつきだした。


ネスタ「うーん、本当に美味しいね。食が進んで匙が喜んでいるさ。」

光「大袈裟ですよ、市販のカレールーを使ってますもん。」

ネスタ「ゲオルさんのお店に売ってあるやつかい?」

光「全体的に黄色のあれです。」

ネスタ「リンゴと蜂蜜で有名なやつだね、あの辛口でないと旦那が食べないんだよ。」

光「そう言えば私旦那さんにお会いした事無いですね。」

ネスタ「あの人警察で働いてるからよく職場に呼び出されるんさ。」

光「警察?!へぇ、そうなんですね・・・。」


 そう言っているとインターホンが数回連続で鳴り響いた。勢いよくドアが開く。聞き覚えのある男性の声が響いた。


男性「ネスタ、探したぞ!ここにいたのか、腹が減って死にそうだよ。」

ネスタ「あんた、光ちゃんに失礼じゃないか!」

男性「ああ、申し訳ない。腹が減っててつい。」

光「林田さん?!何でここに?!」

ネスタ「何言ってんのさ、うちの旦那じゃないか。私ネスタ林田だもん。」


 思った以上に世間が狭すぎる、ご近所付き合いも大事にしないとなと改めて思った。そうこうしていた時、林田がお腹をさすりながら鼻をクンクンさせていた。


林田「光さん、カレーですか。」

光「・・・食べますか?」

林田「ありがとうございます、カレー大好きなんです!!」


 またお気に入りの魚沼産のコシヒカリが減る、まぁ『作成』で作ればいいか。そう思いながらカレーをよそい林田に渡した。林田は満足そうにニコニコしながら食事を楽しんだ。

 林田がカレーを食べ終わった頃に携帯が鳴った、この前一緒にいた警官かららしい。


林田「うん、うん、なるほど。分かった。明日また資料見させてもらうよ、ありがとう。」


 ネスタは機嫌悪そうな顔をしている。休みの日まで仕事することないじゃないと言わんばかりだ。どうやら国王同士が気にかけている両国での走り屋による騒音問題についての捜査が難航しているらしい。


林田「どうやってあいつらを追い込むかを考えないと・・・。」

光「あ、あの・・・、私で良かったら協力しますけど。」


 林田夫婦は目を丸くしている。光は家の裏に案内した。

 実は光の家の地下にはガレージがあるのだ、家庭菜園の水道パイプをレバーの様に動かすと地響きが鳴り赤いスポーツタイプの軽乗用車が出てきた。走り屋仕様になっている。


林田「えっとこれ・・・、権利的なやつは大丈夫ですか?」

光「安心してくださいよ、車種名をよく見て下さい。これは珠洲田の『カフェラッテ』ですよ。」

林田「まぁ・・・、大丈夫ですか。それよりこの車どうしたんです?」

光「日本にいた時の愛車です、でも目立つと思って地下に隠していたんです。私、元走り屋で母とちょこちょこ峠責めてたんです。」

ネスタ「はぁ・・・、人は見かけによらないねぇ。」


 新品同様に手入れされた軽乗用車を林田はまじまじと眺めていた。ネスタ曰く林田は相当な車好きらしい、ただ林田は1つ引っかかっていた事がありずっと考え込んでいた。

 林田は椅子に深く腰かけ昔話をし始めた。 


林田の昔話とは・・・。

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