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130

帰って来た愛車に興奮する渚。


-130 新しい仕事の為-


 タンクに珠洲田がある程度魔力を貯めておいてくれたので、渚はごく少量の魔力を流したのみでエンジンを起動する事が出来た。先程も聞いたのだが日本にいた頃と全く変わらないけたたましい排気音、渚の頬には感動の涙が流れていた。


渚「懐かしいね・・・、またコイツで走れるんだね。」

シューゴ「大きくてかっこいいですね、これが乗用車ってやつですか?」


 シューゴもまた「乗用車は貴族の乗り物」と言う考えの持ち主で、すぐ目の前で見るのは人生初めてだそうだ。因みに本人の免許は林田警部の妻・ドワーフのネスタと同様に「軽トラ限定」となっていて、正直今の屋台のサイズはギリギリらしい。


渚「これは・・・、スポーツカーって言った方が良いのかもしれませんね・・・。」


 シューゴは初めて見たエボⅢをちらちらと見ながらも気を取り直し、屋台を追加する上で確認する事が1点あったので説明をしながら確認した。


シューゴ「渚さん、ギルドカードをお見せして頂けますか?」


 渚は取得したばかりのギルドカードを見せた。


シューゴ「これは冒険者ギルドのカードですね。実は・・・、屋台を増やす上でまず考慮しないといけない事が一点、この国では「屋台」も「個人事業主・商店」の扱いになります。今回の様に2台目と言う名の「支店」の場合でもです。普通に企業やお店に雇われて働く場合は冒険者ギルドへの登録だけで十分ですが、今回の場合は前者なので「商人兼商業者ギルド」に登録する必要があるんです。渚さんはこちらのカードはお持ちでは無いですか?」


 シューゴは商人兼商業者ギルドのギルドカードを見せながら聞いた。勿論初見なので首を横に振る渚、それにまだ必要な物や登録事項があった。いずれにせよギルドカードは偽造不可能なので必須となる。ただ渚とたまたまだがこの場に来たばかりの光は全くもってチンプンカンプンだった。


シューゴ「そして最も重要なのは車です、ギルドで商用登録した上で屋台として造られた軽トラ等を購入する必要があるんです。」

渚「光、知ってたか?」

光「うん・・・、全部初耳。」


 取り敢えずだが屋台をするのだから車を用意する必要がある事は分かった、ただたった今職を失いシューゴと屋台をする事になった渚には正直資金が無かった。

 渚は隣にいた光に、小声で毎日欠かさず大盛りの夕飯を作る事を条件に資金を貸してほしいと相談した。


光「別に私は良いけど他に屋台を用意する方法があるんじゃないの?」


 渚は腕組をし、熟考した。まるで有名なあの「可愛い小坊主」の様に。何故か周辺にいた数人の脳内に木魚とりんの音が響く。


渚「あの・・・、現存する車を屋台に改造するのは駄目ですか?」

シューゴ「勿論、商用として登録した上でですが・・・。まさか・・・。」


 シューゴは勘が働いたが、渚が考えている事を何故か何となくしたくなかったので光の方向をチラ見した。何かを察した光は渚にかなりキツめのツッコミを入れた。


光「母さん!!それだけはダメ!!」

渚「な・・・、何を言ってんだいあんた・・・。」

光「エボⅢだけはダメ!!」


 その言葉を聞いた渚は数秒程その場に立ち尽くし、それからシューゴの方向を見た。


シューゴ「やはり・・・、そうだったんですか?」


 それからまた無言で数秒程が経過し、渚は顔を赤らめた。


渚「あんたやだよぉ、光ったら。流石にエボⅢを屋台にしちまったら誰も食べに来ないだろうが、あれだよ、あたしが普段使い用に持ってた軽バンがあっただろ。」


 光は渚のその言葉に顔を赤らめつつ、日本から渚が指定した軽バンをこの場に『転送』した。赤鬼だとバレない様にするための言わば「カモフラージュ」の車、これだったら軽トラと変わらないので問題ないだろう。


屋台業への準備は続く。

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