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129

渚が震える理由とは。


-129 渚の転職-


 電話を切った渚は震えながらシューゴに尋ねた。


渚「シュ・・・、シューゴさん・・・。拉麵屋台って私にも出来ますかね?」

シューゴ「あの・・・、どうされました?」

渚「どうしましょう・・・。今の電話勤め先の八百屋さんの大将なんですがね、自分達ももう歳だから店を畳むって言ってるんです。」


 急な知らせに動揺を隠せない渚はあからさまに震えていた。八百屋の店主によると一応渚の次の就職先は探すとの事なのだが、念の為に自身でも探してみて欲しいと通達してきたのだ。

 たった今、新メニューの開発に協力してもらった恩義がある。それに2台目の拉麺屋台に乗るのが女性だと話題と良い宣伝になりそうだ。


シューゴ「渚さん、免許証はお持ちですか?」

渚「勿論、こちらです。」


 渚は日本で取得した運転免許証を見せた、今更だが日本語はこの世界の言葉に訳されて見えている。

 シューゴは渡された免許証をしっかりと確認し、返却した。


シューゴ「なるほど、ウチの屋台のトラックはMTなんだけど大丈夫ですか?何ならATをご用意致しますが。」

渚「大丈夫です、日常的にMTに乗って・・・。」


 その時外から聞き覚えのあるけたたましい排気音がし始め、渚の言葉をかき消してしまった。


シューゴ「な・・・。何ですか、この音は?」

渚「えっと・・・、愛車と言う名の証拠品が来ました・・・。」


 窓の外を見ると、駐車場に洗車を終えピカピカになった真紅のエボⅢが爆音と共に到着した。車内から珠洲田が手を振っている。

 渚はシューゴの手を握り、この世界の仕様になった愛車を迎えに行った。

 自然の流れでだが、渚は思わずシューゴの手を握ってしまった事に気付くのに少し時間が掛かった。その上自分で気づいた訳では無い。


珠洲田「なっちょ・・・、いつの間にこの世界で彼氏が出来たんだ?」

渚「えっ・・・?あっ、ごめんなさい。本当にごめんなさい。」


 渚は慌てて手を放し、シューゴに何度も何度も謝った。


シューゴ「構いませんよ・・・、まだ独身ですし・・・。」

珠洲田「あれ?よく見たら拉麵屋台の店主さんじゃないですか、どうしてなっちょと一緒にいるんですか?」

渚「あの・・・、ここはこの人の・・・。」

シューゴ「今日からウチの屋台で働いてもらう事になったんです。」


 渚は震えながらゆっくりとシューゴの方に振り向きじっと目を見た。


渚「と・・・、いう事は?」

シューゴ「勿論採用です、こんなかっこいい車に乗っている女性の方とお仕事が出来るなんて光栄な事ですから。」


 渚は涙ながらに再びシューゴの顔を見た。


渚「貴方は神様ですか・・・?これ以上に嬉しい事はありません、ありがとうございます。命の恩人です。」

シューゴ「ひ、一先ずスープ等の説明をしますからこちらへ。」


 飲食店の厨房へと2人に向かって珠洲田が叫んだ。


珠洲田「おーい、車はどうするんだよ!!」

渚「あ、忘れてた。スーさん、ありがとね。早速駐車しないと。」


 車内のクリスタルを指差し説明する。


珠洲田「こいつに向かってちょっとだけ魔力を流すんだ、そしたらエンジンがつくからな。それ以外は日本のエボⅢと変わらんから。」

渚「よし・・・。」


久々に愛車と歩み始めた渚。

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