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128

辛さへの拘りが詰まった焼きそば。


-128 新メニューと渚の驚愕-


 とにかく辛く仕上げたこの焼きそば、光が渚の遺伝で辛い物好きになるのも納得がいく。


渚「ウチは昔、決して裕福とは言えなかったんだがね。せめて夕飯は豪華にしようとインスタントの焼きそばに残った豚キムチとウインナーを入れて、少しだけでも豪華に見せる様にしてたんだ。」


 当初はまだ幼少だった光用に普通のソース味の焼きそばを作っていたのだが、渚自身の分として作っていたこの「辛い焼きそば」に興味を持った小さな光に恐る恐る少しだけ与えるとハマってしまったらしくそれから「何か食べたいものは?」と聞かれるとこの焼きそばをねだる程になっていた。

 それから渚はこの焼きそばを酒の肴に、まだ未成年だった光はご飯のお供にしてよく食べていたのだ。

 光はこの焼きそばの作り方を聞くことが出来ないまま渚が亡く・・・、いや渚と生き別れになってしまったので代用品としてあのツナマヨをよく食べていたんだそうだ。

 その事を聞き、林田が号泣していた。


林田「泣かせてくれるじゃないですか・・・、やはり私は罪深き男・・・。」

渚「林田ちゃん、何を泣いているんだい。もう、伸びちまうから早く食べちまおうよ。」

光「懐かしの味、頂きます!!」


 辛子マヨネーズを麺に絡ませ一気に啜ると辛さがガツンとやって来て食欲をそそった、豚肉と一緒に食べると少し甘みのある脂が麺にピッタリだ。白米や酒が進む。

 ソースの絡んだウインナーを食べるとそれも白米と酒に合うので最高の組み合わせだ。皆一気に完食してしまいそうになった時、店の出入口が開きある男性が降りてきた。レンカルドの兄で拉麺屋台店主、シューゴだ。少し落ち込んでいるっぽいが。


レンカルド「兄さん、どうした?」

シューゴ「レンカルド、実は相談が2つあって。その内の1つなんだが俺も新メニューを考えようと思っててな・・・。ん?この香りは?」

レンカルド「あそこにいる渚さんが拘りの、そして娘の光さんとの思い出の味として作ってくれた焼きそばだよ。良かったら食べてみる?」


 レンカルドがシューゴに自分の皿を差し出すと香りに料理の誘われ1口、決して豪華だとは言えないその料理の味に刺激され感動した兄は渚にお願いした。


シューゴ「渚・・・、さんでしたっけ?このお料理のレシピをお教え願えますか?」

渚「何を仰っているんですか、決して料理なんて呼べない代物ですのに。」

シューゴ「いえいえ、この刺激的な味に感動しました。新メニューに加えさせて下さい!!」

渚「でもこれ・・・、インスタントですよ?」

シューゴ「なら私が使う麺や材料に合うソースを探します、是非お願い致します!!」


 渚はシューゴにこの焼きそばの作り方を徹底的にたたき込んだ、拉麵屋台の店主は丹念にメモして必死に再現しようとした。

 自らのアレンジを加えながら何度も何度も練習する、そしてやっと納得のいく1皿が出来上がった。


シューゴ「この刺激とこの辛さ、いかがでしょうか。」

渚「これこれ、いいじゃないですか。」


 努力が報われたシューゴは感動で泣きそうになっている。

 そんな中、思い出したかのようにもう1つの相談を弟が切り出した。


レンカルド「そう言えばもう1つの相談は?」

シューゴ「そうだそうだ、こっちが重要だったんだ。実は最近売り上げが鰻登りでな。」

レンカルド「それは羨ましい悩みだな。」

シューゴ「まぁ、それは置いといて。実は屋台をもう1台増やすか、そろそろお店を出そうかと考えていたんだ。」


 その悩みを聞いた光はシューゴに尋ねた。


光「シューゴさん・・・、冒険者ギルドに聞いては見ましたか?」

シューゴ「これから募集を掛けようと思っているんです、ただその前に弟に相談しようかと。」


 その横で渚の携帯が鳴ったので、本人は少し離れ電話に出た。こちらに聞こえてくる渚の声を聞くにどうやら通話の相手は勤務先の八百屋の店主らしい。


渚「もしもし赤江です、ただ今日私非版なんですけど。うん・・・、うん・・・。えっ?!大将、今の話マジなの?!うん・・・、分かった・・・。」


渚の驚愕の理由とは。

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