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121

飲食店で静かに過ごす2人。


-121 珈琲と事件の匂い?-


 珠洲田おすすめの飲食店のメニューを見る2人、自他共に認める美味さを誇るお店自慢のハンバーグを注文すると粋な店主がお冷を配りながら一言。


店主「少々お時間を頂きますので、宜しければこちらに置いてあります小説を読んだりお2人でゲームをしたりで「ゆっくりと流れる時間」をお楽しみ下さい。」


 御手洗の横には数冊の文庫本や写真集が置かれた本棚、下の段には小さなCDラジカセとクラシックのCDアルバムが数枚。ラジカセからは少し眠くなりそうなピアノの音楽が流れていた。

 静かな飲食店で一先ず同じテーブルを囲む2人、神様と広域暴力団の子孫では正直共通の話題が見つからない。静けさが気まずさに変わる前に何かしようと渚が周囲を見回すと木製のリバーシがあったのでやらないかと提案してみた。


クォーツ「そう・・・、だな。俺も久々にオセロがやりたかったのだ。」


 神様も商標で呼ぶんだなと何となく身近さを感じながらテーブルにリバーシの盤を置く。平等にじゃんけんをして先攻後攻を決める。結果、先攻(黒)が渚で後攻(白)がクォーツに決まった。

それからゲームを開始して5分程経過しただろうか、未だ五分五分の状態で頭を悩ませている2人のテーブルに店主がセットのサラダとドレッシングを持って来たが。


店主「失礼し・・・、ました・・・。」


 今サラダを置くのは何となくまずいと感じたのかそのまま店の奥へと下がっていこうとした。それに気づいた渚が少しスペースをあけて一言。


渚「すみません・・・、ここにお願いします。」

店主「かしこまりました・・・。」


 店主が静かにサラダとドレッシングを置くと2人はサラダを受け取りゲームに戻る。自分の番が来ると駒を置き、相手はサラダを食べながら盤を睨みつける。よっぽど集中していたのだろうか、ドレッシングには手を延ばさないどころか気付いていない。塩も振っている訳でも無いので本当にオーガニックなサラダを食べている状態だ。

 すると遅れてやって来た林田警部が同じテーブルに座ろうとしたのだが緊張感が伝わって来たので諦めてカウンターに座り小声でブラックを注文した。


渚「次はここに置きたいけど・・・、下手したらな・・・。」

クォーツ「それにしてもこのレタス甘いな・・・、何処のやつだろう。」


 2人の大きな独り言なのか、それとも油断させるための会話なのだろうか。全くもって目線を合わせていない様子を見るときっと前者なんだろうなと店主と林田警部は思った。

 静かな店内に林田の飲む珈琲の香りが広がる頃、ゲームは佳境へと進んでいった。端っこは双方が2つずつ取っているらしく戦況は未だ五分五分。一先ず盤面を全て埋めてみる事にした。

 それから数分経過した頃にゲームが終わったらしく、それと同時に店主がハンバーグを焼き始めた。きっと静かな空間を維持するために気を利かせたのだろうと林田は想像したのだが、実は少しの間だけ冷蔵庫で生地を寝かせていたのだという。2人への気遣いに気付かれない様に店主が言葉を選んだらしい。

 生地を焼いたフライパンに残った脂へケチャップとウスターソース、そして秘密裏に配合した門外不出のスパイスを加えて特製のソースを作る。

 プレートに白米とふっくらと焼けたハンバーグを乗せ特製のソースをかけて完成。早速店主は出来立ての料理を2人の下へと持っていき配膳する事にした。ゲームを終えたばかりの状態で維持されている盤がそのままテーブルに置かれている、それを見るにどうやら勝負は僅差で古龍が勝ったらしい。


渚「流石神様、やりますね。」

クォーツ「お主もな、この俺をここまで楽しませてくれた者はお主が初めてだ。」

店主「丁度勝負がついたみたいなのでどうぞ、こちらが当店自慢のハンバーグプレートです。」


 良い色に焼けたハンバーグの香りが食欲を誘い、それだけで白米が欲しくなってくる。一口食べると溢れ出す肉汁が舌を刺激し2人の心を躍らせた。

 そして特製のソースと一緒にもう一口、そして白米。美味しさいっぱいのハンバーグにより先程までの勝負などどうでも良くなっていた。

そんな中、林田の携帯に連絡が入る。ただ少し様子がおかしい。


林田「はい・・・、分かりました。私の方から言ってみますね。」

渚「林田ちゃん・・・、どうした?」

林田「珠洲田さんからなんですが、どうやら部品の素材が足らないらしいんです。」


大事件発生か?

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