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光は自分が無知な事を恥ずかしく思い本格的な情報収集を始めた。


-⑬無知からの脱却-


 隣国の王が共通で言っていた『一刻を争う』問題とは何なのだろうか、正直恥ずかしくて聞く勇気がない。周りを見ると国の街の全員が知っているみたいで光にとってはむしろこの事が一刻を争う問題となっていた。パン屋で仕事している時もミーシャとラリーが深刻な表情で話し合っていたので自分も早くニュースを見える環境にしなくてはと仕事が終わると一目散に家路を急いだ。因みに今日は半休だ。

 家に帰るとすぐにテレビの電源を入れた。相変わらず日本のテレビ放送が流れている。光はこの世界のテレビ放送を見る為にチャンネルを再登録する事にした。


光「えっと・・・、放送スキャンは・・・、これか。」


 家電の操作や設定は得意な方で自分一人でやってのけてしまう事が多く今回はその特技が生かされ助かった。

 放送スキャンをやり直しても何故か日本の放送が受信されるようになっている、ただ数チャンネルほど追加されていてそれがこの世界のテレビ放送だとすぐに理解できた。見える放送局の選択肢が多いので助かる、神様のお陰だなと笑みを浮かべた。

 そうこうしているうちにニュースの時間となったみたいだ。


キャスター「こんにちは、この時間のニュースをお知らせいたします。」


 最初は隣国の王がこの国を会合の為に訪問している事だった。映像もはっきりと残されているが撮影クルーっぽい集団は見かけなかった。まぁ、たまたまだろうと光は受け流した。

次は雨不足で野菜の不足が目立ち、市場価格が高騰傾向にあると報じられていた。確かに市場で見かけた野菜は日本にいた時より少し高かった気がする、家庭菜園を始めて正解だ。後で野菜たちの様子を水やりがてら見に行ってみよう。

最後に隣国と共通して起こっている問題なのだが最近町はずれの山々で走り屋による騒音問題があるらしい。そう言えばネスタと銭湯に行った時道路にタイヤ痕が数か所あったような・・・、ただこの辺りの人たちは農耕用の軽トラに乗っている人達がほとんどで乗用車はちらほらとしか見かけず、走り屋仕様の車は全く見かけない。別の街からわざわざ走りに来ているのだろうか、暇な人もいるんだなと光はコーヒーを啜った。きっと国王同士が会合で話し合っているのはこの事なのだろうと思っていた時、インターホンが鳴った。玄関を開けるとそこには警官らしき男性が2名立っていた。光に罪を犯した覚えはない。

2人の内1人は警官の制服を着ていかにもこの世界の人間だという雰囲気だったが光は警部の格好をしたもう1人に何となく自分と近い物を感じていた。この世界の雰囲気の方の警官が話し出した。


光「こんにちは。」

警官「こんにちは、突然ですが失礼致します。運転免許証はお持ちですか?」


 そう聞かれると光は快く免許証を提示した。


警官「ありがとうございます。吉村 光さんですね?えっと・・・、お車はお持ちでは無いのですか?」

光「持ってないです。職場には歩いて行ける距離なので。」

警官「ほほう・・・、ではこの2人の顔に見覚えはありませんか?」


 警官は男女2名の写真を見せた、全く知らない人だ。


光「見たことないです。」

警官「分かりました、ご協力感謝致します。では、これで。警部、行きましょう。」

警部「ちょっと先に行っててくれるか、すぐ行くから。」

警官「は・・・、はい・・・。」


 光は何だろうと不審に思っていた。警部が笑顔で話しかける。


警部「すみません、もしかして日本出身の方では?」

光「何で分かったんですか?」

警部「やはりですか、実は私もそうなんです。申し遅れました、私警部の林田と申します。」


 林田は警察手帳を見せた。警察手帳が日本の物なので日本出身で間違いない様だ。


林田「先程は部下が失礼いたしました、吉村 ひかりさんですね?」

光「あかりで合ってます・・・。」

林田「あっ・・・、ごめんなさい、漢字をそのまま読んでました。」

光「いえ、よくある事なので。」

林田「光さんも転生されたのですか?」

光「はい、あの・・・、私たちの他にも日本から転生してきている人っているんですか?」

林田「いや実は私もこの世界に来てから初めて日本人の方にお会いしたもので嬉しくなりまして。」

 

どうやら転生者は光だけでは無いらしい。

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