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108

王女が光のカレーと出逢ったきっかけとは。


-108 求めていたのは家庭の味-


少し前なのだが、光はパン屋の仕事が休みの日に街中にある食堂の手伝いをした事があった。そこで自分が家で食べるカレーを作って出したのだが、たまたまその店に立ち寄った王女が気に入ったとの事なのだ。

光が皿に白飯をよそって出来たばかりのカレーをかけてペプリの前に出すと、目の前の王女は目をキラキラと輝かせ始めた。右手には匙、そして左手には水の入ったグラスが握られている。グラスの水を右手の匙につけると、待ってましたと言わんばかりの勢いで一口目を掬い、口に運んだ。

じっくりと咀嚼し、味わっていくペプリの目には涙が流れ始めている。


ペプリ「光お姉様、これをずっと探していたの。この刺激的な香りと根菜類と共に入った2種類の茸。それと不思議な位に柔らかな牛肉、そしてすべてを包み込み受け止めるルウと白飯。美味しい。」

クォーツ「おいおい、言っちゃ悪いがたかだか家庭のカレーだろ?泣くほど美味い訳・・・。」


 知らぬ間に光を「お姉様」と呼ぶ王女の隣で1口食べた古龍。


クォーツ「美味しい・・・。」


 カレーの味に言葉が途切れたクォーツの目からも涙が流れている。


メイス「あの・・・、貴女方さっきどこかでカレーを食べて来たのですよね。それなのにですか?」

2人「これは別物です!!」


 光のカレーを食べ涙しながらペプリは以前から気になっていた事を尋ねた、その事に関してはメイスも気になっていた様だ。


ペプリ「どうしてこんなにこの牛肉は柔らかいのですか?」

光「それはね、炒める前の牛肉をコーラにつけていたからですよ。」


 牛ステーキを中心に焼いた時に硬くなってしまいがちなお肉は火を加える30分前からコーラにつけていると焼いた後でも柔らかいままなのだ。

 勢いが衰える事無いまま3杯を完食した王女はかなり無茶とも言えるお願いをしてみた。あの「一柱の神」とも言える古龍の背に乗ってカレーを食べに行く程の者が恐る恐る尋ねる。


ペプリ「あの・・・、お願いがあるのですが。」

光「はい?」

ペプリ「このカレーを王宮のシェフに伝授して頂けませんか?」

光「こんな家庭のカレーでいいのですか?」

ペプリ「勿論です、是非宜しくお願い致します!!」


 ペプリは深々と頭を下げてお願いした、その様子を見たクォーツも頭を下げる。


クォーツ「俺からも頼むよ、コイツ程の上級古龍使い(エンシェントドラゴンマスター)がこんなに頭を下げる程好きになるカレーなんて中々見つからないんだよ!!王宮でのご馳走以上に好きでいつでも食べたいってよっぽどだぜ、お願いだ!!」


 古龍の言葉には重みと説得力があった、光はできれば断りたかったが仕方なく了承する事にした。


光「わ・・・、分かりましたから頭を上げて下さい。」


 一先ずテーブルを囲んだ光は一抹の不安を覚えながら出来立てのカレーを食べた。

 翌朝、王宮の大きな門の前に立つと、金の鎧を身に纏った大隊長が光に声をかけた。


大隊長「おはようございます、恐れ入りますが今日は何用でしょうか?」

光「お、おはようございます。ペプリ王女様に呼ばれて来たのですが、食堂の方にカレーの作り方を教えてほ・・・。」

ペプリ「光お姉様、おはようございます。待ってましたよ!!」


 昨日とは違って豪華なドレスを着て高そうなアクセサリーを身につけた王女が走って出迎えた。どうやら昨日は王宮をこっそり抜け出して自由に行動するためにわざと庶民の格好をしていた様だ。

 当然の事の様に即時で許可が下りた光は大きな門をくぐり、中庭に入った光をペプリがぎゅっと抱きしめて迎えた。上級古龍使いの力は思った以上に強い。


光「歓迎は十分・・・、十分ですから。大丈夫ですから離してください!!」

ペプリ「嫌です~、光お姉様ぁ~!!」


王宮でのお料理教室開始!!

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