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今日は街がいつもと違うようだ・・・。


-⑫突然の訪問-


 朝一、光が残っているカレーを一人前食べ保存容器に入れてからパン屋の仕事に向かっている頃、街中の様子が慌ただしくなっていた。その様子は少なくとも催し物での盛り上がりとは全くもって違っていた。市場は片付けられお店は閉店していて街の真ん中では国旗のデザインが描かれたテントが四方に張られていた。光は騒ぎの中にラリーとゲオルを見つけたので話しかけることにした。


ゲオル「もうすぐご到着みたいですよ。」

ラリー「早く済まさなくてはいけませんね。」

光「ゲオルさん、店長、おはようございます。」

ゲオル「光さん、おはようございます。」

ラリー「おはよう、丁度良かった、人手を探してたんだよ。」


 何かただ事では無い事が起ころうとしているのだという事は光にも理解できたが、正直言って何が何だか分からなかった。一先ず、自分に出来る事は無いかと尋ねた。


ラリー「店に荷物を置いてきてあっちのテーブルの準備を手伝ってやってくれ。」


 ラリーが指差したテーブルでネスタやパン屋で働く女性陣が料理の準備をしている。見回してみるとどうやら中華料理から構成されたメニューになっているらしい、それも豪華な物ではなくいわゆる『町中華』の中華料理だ。


光「おはようございます、何があるんですか?」

ネスタ「あっ、光ちゃん、おはよう。あたしらもさっき聞いたばっかりなんだけどね、王族の方々が街に来るみたいなんだよ。今日はこういった料理が食べたいって今朝文が来たみたいでね、初めて作る料理ばかりで大騒ぎさ。」

光「でもどうやってここまで作ったんですか?」

ミーシャ「文にレシピが載っていたからその通りに作ってみたんだけど、あんたこの料理知っているかね。」

光「私の祖国でもちょこちょこ食べる料理ですけど。」

ドーラ「助かりました、教えてお願いがあるんです。」

光「私で良ければ。」

ドーラ「料理が出来てきたのは良いんですけど、私たちが食べたことない物ばかりなので味が大丈夫なのか不安でして・・・。」


 言ってしまえば試食を頼みたいとの事だった。光は今朝カレー1人前しか食べていないので丁度お腹が空いてしまっていた。鍋やフライパンには炒飯や天津飯といったご飯ものを中心に餃子や春巻きなどの天心、麻婆豆腐、青椒肉絲、そして杏仁豆腐といったラインナップ。王族は何人来るのだろうか、結構量があるので相当な人数だろうなと思った。1つひとつを少しずつ小皿に取って試食していく。日本人が好きなあの味が揃っていた。


光「味は問題ありませんよ、後はどうしたんですか?」

ネスタ「この料理に合う器が無いんだよ。」

光「そう言う事ね、分かりました。因みに王族の方々は何名様で来られるのですか?」

ネスタ「8名様だと聞いてるよ。」


 光は日本から持ってきていた物を『アイテムボックス』から取り出した。町中華で使う炒飯皿や丼を趣味の感覚で雑貨屋に行って買っておいたのが功を奏したみたいだ。するとその時遠くからドラの音と男性の声がした。


男性「ネフェテルサ国王陛下の御成り!!!」

ネスタ「来たね、光さん、見に行くよ。」


 光たちが街の中心部に集まると何台もの馬車が止まり、1番大きな車の中から王族がぞろぞろと出てきた。王様らしき老人が語り掛ける、ただかなり腰が低かった。


王様「皆様、おはようございます!本日は突然の訪問と料理の依頼、誠に申し訳ございません。場所と料理をご用意下さった皆々様には感謝いたします!本日は隣国であるバルファイ王国の方々も来られておりますのでおもてなしの方、宜しくお願い致します!」


 すると別の馬車から隣国の2人が降りてきた、王様と女王様だそうだ。王様2人は握手を交わしラリー達が設計図を見ながら用意したテーブルを囲んだ。8人掛けの回転テーブルだ。

 テーブルの中心に置かれた大皿や蒸し器から各々の小皿に料理を取り分けながら炒飯や白飯を食べていた。王族や隣国の方々は美味しそうに『町中華』を食べ進めていった。

 最後に杏仁豆腐と胡麻団子を堪能して食事会は終了となった。


国王「皆様、ご馳走様でした。とても美味しいお料理でした。さて、腹も満たされましたし、会合に向かいますかな。」

隣国王「そうですな、一刻を争いますからな、国民の皆様ありがとうございました!」

隣国の王が言った「深刻な問題」とは・・・。

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