表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
98/151

98再度17階層へ。出来れば行きたくはない

翌日の採取にはきちんと同行した。薬師さんが欲しかったのは摘みたての薬草が数種類だった。正直コレクションハウスに入ってはいるが、話がややこしくなるのでダンジョンには行くことにした。

薬草が取れるのが11階層の草原だったので、俺が行けることに驚きはされたものの、実際に取ってくると納得された。ダンジョンの入り口にはついて来るとは思わなかった。

だが、薬師さんは心の底から心配です、という表情になっているのを見るとついて来てもらうしかなかった。一度転送陣で入って出てこれることを見せて納得してもらった。


「心配性な人だよな」

「ご主人の見かけ年齢覚えてます?」

「…時々忘れてる」

「正直なのは美徳ですけどね…」


採取しながらヨウキと会話する。採取であれば、プルや幸丸も一緒に行うが、こういうことが好きな二人は黙々と作業している。

探すのが苦手な俺とヨウキは無駄口をたたくことが多い。それでも4人でやれば集まるのは早い。終了したところでダンジョンを出ると、2時間は経っているのに薬師さんがいた。


「もしかして待ってくれていたんですか?」

「いや、昼食の時間だったので、ついでに様子を見に来たんですよ」


薬師さんは見た目はパッとしない男性だが、非常に親しみの持てる笑顔で教えてくれた。そのままギルドで終了報告を行い、一緒にお昼ご飯を食べることになった。

昼食は奢ると言われたが、休みの日の昼食はガッツリ食べることを言ったが、それでもごり押された。実際に食べるところを見せると涙目になっていたので、今度またよろしくということにした。

調合するときに魔力を適切に混ぜると効果が良くなったり、水を使うことが多いがそちらにもこだわると味や効果が変わることもあると、薬師ならではの話を聞けた。


ただ、気になったのは薬師さんが最後に言っていたことだ。


「いつもお願いしていた女性が今回は受けてもらえなくてクエストを依頼したんです」


同じ話を前にも聞いた。ストレートにその女性の名前を聞く。


「その女性の名前ですか?サイラさんという方ですよ」


サイラという名前の女性の話は前にも聞いた。女性パーティに入らなかったという人だ。更に今まで受けていたクエストを受けなくなった。

以前も孤児院のクエストを受けていたのに受けなくなった男性がいた。名前は……たしかエスロンさんだ。この短期間に行動が突然変化するという話を2回も聞いた。

そして昨日の魔導具店のおじさんのように魅了の状態異常を起こす人がいるという事実。


このエスロンさんとサイラさんの2人の足取りを追えば、犯人に繋がる何かが掴めるのではないだろうか。

2人の風貌を聞いて探そう!新しいパーティに入るという話もあったから、そっちから探してみるのも手がかりになるはずだ。


そしてギルドマスターをはじめギルド内での情報を集めたところ、2人で新しいパーティを作ってクランに所属することになったと分かった。

クランのメインを張っているのはあの4人組だった。こいつらに話を聞く必要があると判断した。幸丸からダンジョンに向かったと報告があったので、そのまま向かう。


ギルドマスターもダンジョンの直接行った方が早いとので、入り口までついて来て情報開示を請求してくれるそうだ。


「こちらの動きを見ているわけではないよな?」

「私が監視していたところではそんなことはありません」

「何をやらかそうとしているんだ…」


情報開示を確認すると、15階層から乗り込んで16階層で連携を確認する目的で狩りを行うそうだ。特に不審な点は無い。本当であれば、だけれども。


「とりあえず、追いかけるか…」

「こんなんばっかりですね…」

「同じこと思ってるから。言うな…」


少々げんなりしつつ、ダンジョンへと乗り込む。ギルドマスターには入れ違いで戻ってきたときに確保してもらう戦力をお願いした。

魅了されている2人は命令一つで暴れ出してしまう可能性があるからだ。しかも誰が命令権限を握っているのかが分からない。出来ればダンジョン内で俺が抑えるのが一番安全だ。

とは言っても、ダンジョン内に入れば幸丸が探せるはずだ。万が一14階層の方に行っていれば、その限りではない。念には念を入れておく。すぐに引き渡しもできるし。


準備が整ったら、ダンジョンに突入する。まず15階層だがそこにはに幸丸の偵察機を放たない。同じ階層でないと情報は入って来ないから、広がる時間がもったいない。

すぐに16階層に降りてから幸丸の偵察機を放つ。先行させて17階層を探るものや隅々まで探るものと操作する幸丸を抱えて、俺はまず中心部分を目指して移動する。俺が到着するころには同じ階層にいるかどうかが分かるだろう。


中心辺りまで着くころに分かったことは、この階層にはいないということ。あの4人組も、被害者であろう2人も。そうすると申請に嘘があったことになるが、自己責任だ。

この場合、嘘を吐いてまで入るのは9割以上の確率で下の階層だと聞いた。Bランクではまだ17階層以降に降りる公式の許可は下りていないだろう。Aクラスが出てきたときに下手すると命がけになってしまう。


エスロンさんは優秀なタンクだそうだ。恵まれた体格に、珍しいことに治癒魔法も使うことが出来る。メンバーが逃げるための時間稼ぎをすることは出来るだろう。

サイラさんは一撃の重さに定評のある格闘家だそうだ。面倒見が良いために同性の冒険者に臨時で入って基礎が身についているかをレクチャーしたりもするそうだ。ちなみに男性にも諸々と人気だそうだ。美しさや性格など、何とかして付き合いたいと思う冒険者がいてもおかしくないらしい。


自分たちでは足りない実力を2人で補い、もしかすると下心もあったのかもしれない。男として即殺する案件だな。あれだけではなく、今後のために内臓から抉ってあげる方が良いだろう。


まっすぐに17階層に降りるべく急いで走る。あいつらがダンジョンに入ったのは昨日の昼頃のはずだ。普通のスピードであればまだ17階層のはずだ。ただただ心だけが焦る。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


16階層のボスを本気で瞬殺して17階層へと降りる。


17階層に入ると男2人が走ってこちらに近づいて来ていた。息を切らせて走ってきている。表情からよほど怖いものを見たということが分かる。

コムブという名の剣士とニイフルという名の回復術士改め援護術士の男の2人だ。ギルドマスターに登録している情報を見せてもらっていたから情報は一通りおさえている。

あいつらのパーティ2人がいないのは構わないが、エスロンさんとサイラさんもいない。


「待て。お前ら」

「なんだ。この子どもは」

「俺たちは今から階層を上がるんだ。お前もこんなところにいずに上へ上がれ。子どもでも助けてやらんぞ」


息切れの男に助けてもらおうなどと思わない。無言で剣を抜いて二人に向かって切っ先を向ける。


「あと4人一緒にいるはずだ。なぜお前たちしかいないんだ」


幸丸の偵察機は再度放っているが、話を聞けるなら聞いておきたい。


「な、、んのことだ。俺たちは2人でここまで来たが、…さすがに魔物が強くてやはり上に上がろうと戻ってきただけだ」

「そ、そうだ!しかも子どもが俺たちに剣を向けて無事で済むと思っているのか」


頭が本当に足りていない。剣に闘気を目に見える形で纏わせる。二人も違和感を悟ってきたようだ。


「お前らが苦労したかは知らないけど、俺は16階層を一人で突破してきたんだぞ。俺に敵うとでも?」


男2人は息は整ってきたはずだが、今度は汗をかき始めたようだ。


「お前らのパーティが全滅するのは構わないけど、巻き込まれた2人は助けたいんだ。早く言え」


「お、俺たちは別に悪くない」

「そうなんだよ。想定以上のことが起こっただけで…」


「剣式一番飛鳥」


男2人の間にある空間に放つ。遠くにあった木を真っ二つに切り倒す。倒れた音がやんだことを確認してからもう一度説得する。


「お前たちの言い訳は良いから、お前たちが2人だけで逃げ帰ってきている状況について話せ。状況を知っている奴は一人いればいいんだ。余計なことを言って時間を浪費させるやつから殺すぞ」

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ