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気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
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97順調順調…?

孤児院のクエストを受けて4日後、明日はまた休みだ。魔物狩りも少し早めに切り上げる。慣れて討伐スピードが速くなっている。チラチラと白猫様が視界に入ってきたのだ。無言の圧力と判断した。


「まだ夕方か。時間もあるし、明日受けるクエストでも探しに行ってみようかな」


元から明日の予定としてはまたクエストを受けるつもりだった。事前に選んでおけば朝一から行動できるし、時間の使い方としては良いだろう。


この前の休みは属性魔法の練習をしていた。おかげで1つだけ属性魔法が使えるようになった。順調である。

幸丸の大工仕事については自分で偵察機を飛ばして観察していた。ただ、観察する範囲が劇的に広がった。スキルが無い代わりにデータが多ければ多いほど再現できることが幸丸の強みだ。留まるところを知らないと言っても良い。先々が楽しみである。


ダンジョンでの魔物狩りは時間を繰り上げるほど順調に進んでいる。スキルが劇的に上がっているわけではないが、ステータスは順調だ。今までせき止められていたものが少しずつ流れている感じがする。

王都に戻ったら今後についてしっかりと考える必要があると思わされる。ダンジョンもどこでもというわけではなく、担当の神獣がいて、更に顔見知りにならなければ今のようなことは出来ない。

21階層に白獅子様はいると言っていたから、ダンジョンを制覇することが最低条件であることは予想できる。まだ安定してAクラスの魔物を狩ることは難しい。自由に過ごすためにはまだまだ鍛錬は必要だ。


ギルドでまた依頼票を見ていく。ダンジョンの中に入ったとして、あの無茶な狩り方さえしなければ大丈夫だろう。ついでに人助けだ。


「よし。これにしよう」

「どれどれ?薬草各種の採取ですか。なんか珍しいのを選びましたね」

「報酬があまり高くないからね。きっと厳しいんだろう。それに依頼元が薬師さんみたいだ。こういう癒すためにがんばっている人のクエストこそ、こなしていくべきだと思うわけだよ」

「普通の冒険者はそんなこと考えませんけどね。懐に心配が無いというのは良いもんですね」


それもこれも本当の高級品を急いで買う必要性を感じないからだ。いくら良い防具でもサイズが合わないものを今から買うわけにもいかないし、ダンジョンで手に入るかもしれないと思うと現状は大丈夫なわけで、固める防具の情報が無いので一旦浮いている。

旅立ちのときにもらった品の性能が良すぎて超える物が見当たらない。根を詰めて金策に走るよりは慈善活動に精を出した方が生産的な活動だろう。


受付に行くと奇しくも前回受付をした男が立っていた。表情は一瞬も変わることなくプロの品格を見た。ただ、汗が一筋出ていなければ完璧だった。


「これを受けます」

「かしこまりました。少々お待ちください」


そう言ってまた後ろに下がっていく。今度はキッチリ扉が閉まった。何かを話しているような感じだが、聞こえるまではいかない。

待つだけとなると少々暇だ。周りを見ていると、入り口から女性3人のパーティが帰ってきた。傷ついてはいないが装備品が少々汚れている。怪我は治癒したけど装備品はそうはいかなかったのだろう。


「やっぱり厳しかったね」

「あたしたちだけでも大丈夫だと思ったんだけどね」

「もう少し経験を積んでからの方が良さそうだよ」

「あ~あ。サイラさんが入ってくれたら良かったのになぁ」

「仕方ないよ。他に入るパーティを決めたって言ってたし」

「お話させてもらってた時は良い感じだと思ったのに」

「なんか元気ない感じだったけどね」

「はやく報告上げようよ。休みたいよ~」

「はいはい。行ってくるから」


パーティが行ったところで受付の人が帰ってきた。


「お待たせしました。では明日の朝二の鐘の鳴るころに依頼者が来られますので、詳しくはその時に説明されます」

「分かりました。その時刻までにまた来ます」


冒険者ギルドを出ると馴染みになった魔法道具店に行く。装備品で更新する者は無いが、装飾品や魔法道具などは見る価値がある。品ぞろえも良く見ているだけでも楽しかったりする。

店に入ると何か雰囲気が違う。いくつか目玉商品で切らすことの無かったポーションや魔物避けの道具が無くなっている。切らしたら俺がいてもすぐに補充するような人だったはずなんだけど。

とりあえず店主のおじさんに挨拶をする。


「おじさん。こんばんわ。また来たよ~」

「ああ」


素っ気ない返事しか返って来ないことに違和感を感じる。見かけは怖いくせに子どもには優しいというテンプレの人だったはずなのに?

そして目を見て戦慄が走るのを自覚する。魅了の状態異常だ。とりあえず、ドラミラナに教えてもらった解き方を実践する。


ドラミラナが作った魅了道具は魔法を込めた針で刺すことで催眠状態に落とし、刺した本人に好意をもたせる。そして指示したことを何でも聞くようになってしまうというものだ。

針を刺す者が持つ魔力や素質が大いに関係あるそうだ。だからドラミラナは自分で作って自分で使っていた。あの一番上の男が使った方が良かったはずだけど、下々の仕事だったそうだよ。


それはともかく、魅了を解こう。解除方法は針を刺したところには魔力が残っているからそれを取り除いて、少し強めの衝撃を与えること。


魔力を取り除くのは簡単だ。俺も魔力の扱いには慣れている。手をかざして魔力を取り除く。ただ、目の前で行っているというのにおじさんは全く反応が無い。…これで良し。


そして、強めの衝撃だ。


バッチ――ン!!


「あれ?」

「手加減出来てませんやん!」


魔力を取り除くのは問題無かったが、衝撃が強すぎた。おじさんが目を回している。慌てて確認するが、気を失っているだけで問題なさそうだ。起きるまではここで待っていよう。

幸丸に看病を任せつつ、散らかしてしまった店内を片付ける。片付けていると、おじさんが以前嬉しそうに話してくれた思い出の品が無くなっている。珍しく属性魔法を使うことのできる指輪だ。

かつて冒険者だったときの最後に手に入れたもので、これだけは見せても売ることだけはしたくないと言っていた。さすがにそんな話を聞いて、買いたいとも言えずあきらめた。


それが、無い。


魅了と関係ある気がする。逸る気持ちを押さえつつ、おじさんが起きるのを待った。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


おじさんが起きるのを待っていると晩ご飯の時間になった。俺は勝手ながらキッチンを借りて晩ご飯を作っている。ちなみに食材は持ち込みです。

もうすぐで出来上がりだという時におじさんは目を覚ました。


「ん…。寝てたのか。ああ、坊主来てたのか。気づかずにすまんな。よく来たな」

「あ…おじさん。大丈夫かな?気を失う前のことは覚えてる?」


おじさんはあくまで普通だが、こっちは罪悪感でいっぱいだ。


「気を失う前……?何のことだ?」

「記憶が都合よく飛んでしまってる…?…俺のせい?」


非常に焦るが、確かめるとおじさんは昨日からの記憶が無かった。魅了になったときに失ってしまったのだと思いたい。そんなことになるとはドラミラナも言っていなかったが…。やっぱり俺のせいかもしれない。

少しゆっくりさせるとお腹は空いていたりと一日何もしていないことが分かった。いくら流行っていない店とはいえ、誰も来なかったのだろうか。

食事を取らせたものの、思い出の品が無くなってしまっていることには非常に悲しまれてしまった。とはいえ、おじさんには食事を取ってもらい


無事を確認したら向かうところがある。


ギルドマスターのところだ。再度魅了のアイテムを持っている奴がいることを伝えに行く。

あの4人は幸丸に確認してもまだ確実に何かをやらかしているとは言えない。今日は朝からダンジョンに籠っているようなので、現在地はダンジョンに行かないと分からない。


なにかイヤな感じがするなぁと思いつつ、明日の依頼に備えて自分のベッドに寝付いた。

お読みいただきありがとうございました。

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