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気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
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95ダンジョンに籠る生活が実現するのか

金ロー見てたら手が止まった。ストックはヤバイが後悔はしていない。

ギルドマスターと話した後は幸丸にも指示を出してダンジョンへと向かう。


「ご主人、注意だけでいいんですか?」

「だって何するか分からないし、もう何かした後かもしれないからね」


すれ違った4人組から悪意は感じたが、何をするのかまでは分からない。明らかに他人を害するものだったので、ギルドマスターに注意喚起をしておいた。

どういったパーティなのかも確認すると、先日の騒ぎで亡くなってしまった冒険者クランの一部だったそうだ。他の町の長期クエストへと行っていて、戻ってきたのが最近のこと。

既に魅了されていた他のメンバーには気味悪がって距離を置いていたため、難を逃れた。あまり素行の良くないクランだったので、4人組も注意の対象にはなるそうだ。


「幸丸の監視なら何かすればすぐに分かるし、この都市内であれば取り押さえるのも簡単。被害が大きくなる前に抑えられるさ。それよりも強くなることに貪欲にいきたいところだね」

「あ~、あかん状態になってる」

「当たり前だ!ようやく成長の兆しが見えたんだぞ!しかも次にダンジョン来るのはまた先になってしまうんだ。強くなる機会を逃してどうする!本当は2週間こもりっきりにしても良かったのに!」

「あいつらのことを考えると毎晩出ておいた方が良いですねぇ」


本当に嫌な話だ。悪意が見えるのも厄介なものだ。見えたからには止めないと気分が悪い。見えないところで泣く人がいると思うとやりきれない。


何か分かったら速攻で潰してやるからな。そうなったときに安全に潰せるように今日もまたひたすらに魔物狩りだ。


昨日と同じ場所まで来ると、柏手を打って手を合わせる。


「白獅子様~。本日もよろしくお願いします」


しばらく待っていると魔物の気配がしてくる。2日目の開始だ!


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


2日目も終了しようと思ったころ、魔物ではあるが、白い猫が現れた。明らかに使いっぽい。遠く離れたところからこちらの様子をじっと見ている。襲ってくる気配が無いので、こちらも武器を収めて近寄ってくるのを待つ。


「白獅子様の使いの魔物なんですかね」

「ヨウキもそう思う?あ~。ドロップの回収終わった?ありがとう」

「ええ、終わりましたよ。自分の役目ナンデ気にせんでください。いや~すごい量です。これ2週間こもりっぱなしになったら、トンデモない量ですよ。ワイが使ったとしても使い切るのはいつかって話になりますよ。市場に流したら間違いなく値崩れ起こしそうやし」


感心半分、呆れ半分で感想を言われてしまった。俺もプルもこれが普通だったかた特に不思議に思っていない。鍛錬時に負荷をかけておくからこそ、非常時に対抗できるというものだ。

たとえ3時間狩り、昼食休憩、5時間狩りをやったとしても特に問題あるまい。換金はしないが労働をしているとも言えるのだから。とはいえ、そんなことを言ったら更に引かれそうなので無難に返しておく。


「経済的なことまでは考えてなかったな~。ヨウキだけでは使い切れない?」

「今日の分だけでもワイだけで使うのは贅沢というか、すぐに使い切れる量ではないというか…。狩りの効率が良すぎるんで、なんか考えた方がいいですよ」

「なんかって?」


狩りが終わった後だと色々と考える頭に切り替わらなくて、そのまま聞き返すとヨウキは考えた上で話し始めた。


「ものすごく平たく言うと余るのは毛皮に爪、牙、羽毛、鱗でしょう?職人の卵の練習台ですかね。めっっっっっちゃぜいたくな使い方ですけどね」

「ん~。じゃあ王都に帰って公爵家の皆さんに意見を聞いてみよう。俺が個人的な考えでやったらマズイことくらいは分かるぞ。それまではヨウキも自由に使って良いよ。プルや幸丸もね。俺は工作系はスキルが伸びてもセンスがないからなぁ」

「公爵家の皆さんが慌てるのが目に浮かぶわ。今日だけでえらい量やのに…」


ワイワイ話していると、さすがに安全確認が済んだのか白猫が近づいて来た。怯えているような気がしたので、コレクションハウスを探してみる


「猫って干し肉食べるかな」

「一応魔物やと思うんで肉なら食べると思いますけどね」


猫は目線を合わせすぎるのは良くないと聞いて気がするので、しゃがみつつも目線は少し逸らして待ち構える。


「こんな姿で来た我も悪いとは思うが、お主見た目で対応が変わり過ぎではないか?」

「あれ?もしかして白獅子様ですか?」

「…そうだ」


…………沈黙が痛かった。


「本体で動き回ると目立つのでな。少し様子見するときはこの体を使っている」

「お初です。先日はご主人の命をお救い頂き感謝しております。我々従者一同感謝を申し上げます」

「うむ。気にするでない。魔物ばかりとは面白い従者を連れているものだ」

「ご主人が結構な変わり者なんで。あ、白猫様って呼ばしてもらっても?」

「リッチのお主も面白いのう。この体のときはそれで良いぞ」


白獅子様にヨウキが感謝を伝えた上で仲良くなっているいる。プルも地面に降りて感謝を伝えてくれている。なんか色んな意味で恥ずかしくなってきた。もう少し空気感を変えてくれ!


「そういえば名前を聞いておらんかったんでな」

「あ、クーロイと言います。先日は助けて頂いて、また昨日今日とご助力ありがとうございます」

「ワイはヨウキ言います。スライムは一番の兄貴でプルって言わはります」

「もう一人、パンダの外見した機械、で分かりますかね。幸丸って言うんですけど、ダンジョン内では外に出たがらないので

「良い良い。クーロイにプル、ヨウキに幸丸か。覚えておく。魔物を倒すことについても気にするな。魔物の発生はダンジョン持ちは慣れていることだ」

「それでもありがとうございます。非常に助かっています」


少し空気が変わった。このまま進んでほしいと祈る。


「ただひとつ頼みがあってな」

「頼み?なんですか?」

「このままのペースは結構大変でな。他の階層やら何やらもあるんでな。明日は構わんが、たまには無しでお願いしたい」

「な、なんですとーーー!?」

「口調おかしいで、ご主人」


ヨウキのツッコミは無視して、白猫の前に正座して詰め寄る。


「理由をお伺いしても?」

「今言ったではないか。他にもやることがある。毎日来られては手が回らん。連続で3日が限度だ。2日連続でもちと手が離せなくなるのでな。一日籠るようなことも勘弁願いたい」

「っが~~ん」

「口で言うとか古典やで」


根を詰めてダンジョンに籠るという夢の生活は遠いらしい。他のダンジョンと言っても割と遠いので移動するのに時間もかかってしまう。大人しく言われたことを聞くしかない。


「頂いた助言通りに自粛いたします」

「そんなシワシワな顔で残念そうに言われても白猫様が困ってはりますよ」


そうは言われても残念な気持ちは止まらない。そうすると白猫様は笑い出す。


「まあバランスが崩れるとまずいのでな。卵が孵ってお主らを乗せて移動が出来るようになれば各地のダンジョンを巡って望み通りのことが出来るようになるだろう。どこも我と同じことをお主に言うだろうからな」

「くぅ~。そうか、俺の今一番優先すべきことは卵を孵すことだったのか」

「大きく成長するまでにどれくらい時間がかかるもんなんですかね?」


ヨウキの言葉にもう一度白猫様の方に視線を向ける俺。バッて音がするとかどんだけ必死や…とか声が聞こえたけど無視だ。大事なことを聞き逃してはいけない。


「生まれる竜については我も詳しくは知らん。風竜王に生まれてから聞くしかないな」

「そんな~」

「まあご主人。コツコツいきましょ。属性魔法の練習したら良いやないですか」

「……そうする」


気持ちを持ち直した俺は白猫様に見送られてダンジョンを後にすることにした。


「なあ、ヨウキ」

「はい。なんです?」

「俺のためにがんばってくれてるなら、何かお供えとか持ってきた方が良いかな?」

「良いですねぇ。喜びはるんじゃないですかね。というかそのご近所感覚すごないですか?」

「会話が出来てしまうとルウネと同じ感覚になるんだよなぁ」


猫・獅子、どちらも喜ぶものっていったら何になるんだろうなぁと考えながら帰り道についた。

お読みいただきありがとうございました。

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