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気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
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94別れの後には厄介ごととの出会いがある

前話に誤字報告を頂きました。いつもありがとうございます!

門の前にて待っているとたくさんの馬に乗った騎士と多くの馬車が進んでいく。何人かは知り合いなので手を振っておく。少しぎこちない手の動き方をされた。

そのまま見ていると大きめの馬車を発見した。公爵家の次期当主3人と捕虜1人と大きめの分裂プルが乗っているから仕方ないサイズである。

見つけたと言っても顔が出ているわけではないから見送るだけで済まそうと思っていたら、御者をしている騎士が中に声をかけている。騎士がこちらに手招きをするので、お互いに近寄っていくとヒュレム様が顔を出した。


「クーロイ君、見送りありがとうね」

「ヒュレム様?わざわざそれを言いに顔を出したんですか?」

「まあね。中に入るかい?」

「僕たちもいるよ~」


まあ明るい声をかけてきたのはメイクリム様で、無言でオスカー様もいた。手招きをされたので、彼らが乗っている馬車にさっと乗り込む。

ドラミラナは一応罪人の扱いなので縄で縛ってある。話はこの1週間で十分しているので、話は十分出来るが、見られたとき用に念のためだ。捕虜が一緒に乗っても問題無いのは3人が強いこともあるが、一番はプルが乗っているからだ。

一緒に来た騎士相手にプルが一度手ほどきをしてあげた。俺はダンジョンに行っていたから見ていないが、帰ってきてから話を聞こうとすると、さすがにへこむよね~とメイクリム様が笑っていた。騎士の名誉のために聞かないことにしたのは間違ってないと思う。


だから分裂プルがいる。プルの中に人がいるのが見られるのはまずいので、赤い塊にしてある。中心部分にはちゃんと体があるんだろうけど、よく見ても見つけられない。やり方はプルに任せたから俺は知らない。見られたとしたら、珍しいスライムを見つけたんです~という話にする予定だ。


ちなみに徐々に悪意は消えていっている。2週間しか持たないなんて、前のやつらとあまり変わらない。前よりも内容は厳しいのは確かだけれど。2週間24時間ずっとは厳しいのかな。それ以上に戦争吹っ掛けたり、人生を追い込んだ人も大勢いるんだからもう少し根性を見せてほしい。

こういうときに精神まで正常に保つように作って良かったと思う。悪意をばら撒いたんだから、その報いを受けるとしても、1回死んだくらいで許されると思わないでほしい。殺した人数と同じくらい死んでようやく謝罪を聞いてもらえると思ってほしいね。謝って許されるかは当然ながら別問題です。俺なら絶対に許さないね。


無言でプルを見ていたからか、また車内の人たちが少し怯えを見せ始めていることに気づく。


「道中気を付けてくださいね。中にいてもこの分裂プルも戦えますし、夜番くらいは問題なくできます。あと幸丸の偵察機も見えないだけでいるので、何かあったら反応あるので」

「クーロイ君だけは敵に回したらダメだね」

「そうだね。公爵家はどこも君を敵に回すようなことはしないよ。現当主も次の我々世代もね」

「話が大げさすぎませんか?」


笑いながら言うけれど、周りは全員真面目な顔をしているので、さすがに笑顔が続かない。


「持ちつ持たれつだ。何かあれば手を貸すし、またお願いがあれば依頼する」


オスカー様らしい一言をくれた。とりあえず握手をしておく。


「僕はまた家で会えるからね。ケイトも会いたいだろうからよろしく頼むよ」

「なぜそこでケイトの名前が」

「いや、とぼけてもダメだって。どちらにしても結論は出してもらわないと困るからね。あの子の将来も関わってくるから」


ヒュレム様の一言は避けられないことを悟らせた。正直棚上げだ。何年間もずっとこの国にいるかはまだ未定だ。


「この国を出て旅に出る可能性もありますよ?」

「だからだよ。出て行かずにいる可能性も、置いていく可能性も、連れて行く可能性もあるだろう?」

「連れて行くってのは無理でしょ」

「それは君とあの子次第さ」


無言で話を終わらせてほしいということにした。棚上げだ。話は分からないが楽しそうな話題だ、と顔に書いてあるドラミラナがにくい。あんた連行中の犯罪者でしょうが。


「僕はこの帰り道にプルくんの様子を観察できればそれで良いよ。幸丸ちゃんの偵察機は見つけたら楽しいけど、見つからないしね」


一人だけ話題が違う人はもう放っておいた。


「じゃあまた半月後にね~」

「はい。皆さんもお気をつけて。何かあれば1~2日で追いつくんで、無理しないでくださいね」

「さすが規格外だな」

「あっはっはっは!だよね~。だから興味が尽きないんだよね」


ヒュレム様からは挨拶を、オスカー様からは呆れた顔を、メイクリム様からはちょっと怖い視線を、それぞれもらって見送りをした。

ドラミラナは何も言わずに頭を下げていた。でも、俺はあの人の裁きには関与しないって決めた。あまり親し気に話すのはここからは違う気がするから話はしない。顔を上げたところで少しだけ手を振った。


「じゃああと2週間。今日は休みだけど、帰る時間を考えたらあと10日くらいダンジョンを楽しんで帰るか」


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


王都へ進む馬車を見送って、また一人になった。『美食の奇跡』はまだ滞在しているが、しばらくは鍛錬モードの俺には近づきたくないらしく、ダンジョンではないクエストをすることにしたそうだ。

嫌がらせではないが、今日は休日なのでギルドに行って依頼書でも見てみようかなと思う。素材が高く売れそうならそれも良いだろう。


ギルドマスターを始め、もう魅了からも解放されているので変な雰囲気はない。ギルドに顔を出すと職員の方々の表情が引きつるのが見えたがすぐに治まった。そんな風に思われているのか。傷つくというものだ。

やり過ぎは自覚しているが、悪いことはしていないはずだ。もう少しおとなしい方が良いというのだろうか。見つけた悪さの度合いによるね。


見てみたところ素材は卸しても良さそうだったので、解体場所に持って行って吐き出した。規格外はバレているので気にしない。食料にならない毛皮や爪、牙などを中心に卸した。

金貨が21枚と大量にもらうことが出来た。年齢が年齢なので支払いは個室でもらうことになった。ギルド職員の見る目に文句付けるのはやめようと思った。前世の価値に換算すると2100万だ。

経済を回すために使う必要性を感じた。装備やら魔導具やらを見て回ることにした。王都で使う分はまた貯められるだろうし。


職員さんにギルドと提携しているお店があるかを聞いていくつか候補を教えてもらった。まずは便利さを求めて魔道具屋に行こうと決めて、ギルドから出た時だった。


「なんだぁ?ガキの癖にギルドを利用しようとしてんのかぁ?」


目つきの悪い槍を持った男が声、というよりも因縁を付けてきた。おそらく4人でパーティなのだろう。槍持ち以外に、ロングソード持ちの剣士、魔法使い用の杖を持ったやつ、手には何も持っていないが白いローブを着ているあたり回復術士、だろうか。

バランスの良いパーティと言えるだろうか。剣士が槍持ちの肩を掴んでを止める。


「オスバ。いくらなんでもそんな子どもへの声のかけ方があるか」

「すまねぇ。焦っちまってよ」

「下らないことで時間を取るのはもったいないですよ。コムブ、行きましょう」

「そうだな。悪かったね。キミ」


白ローブが呼んだところ、剣士はコムブというらしい。槍持ちの方はオスバか。それだけ分かれば大丈夫だろう。俺が無言で道を譲ると4人はギルドの中に入って行った。


「はぁ…」


ただ、溜息を吐くのは止められない。もう一度入るのも不自然なのでギルドの横の路地に入る。誰にも見られないように奥の方まで路地を進む。路地を一度折れたところで周囲を確認した上で飛翔を使って浮く。そして部屋の中にギルドマスターが一人でいることを確認すると3階の部屋の窓を叩く。


驚いた表情で出てきたギルドマスターに中に入れてもらう。


「クーロイか。どうしたんだ?」

「ええ。少し気になることが出来たんで。聞きたいことと、耳に入れておいてほしい情報があります」

お読みいただきありがとうございました。

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