93白獅子様のが言っていたことの結果
「この状態を解くにはまだ早いみたいですけど、どうしますか?このままの方が良いですか?」
「まあ一週間抑えられていたんだったら、このままで良いんじゃないかな。僕もクーロイ君の魔法陣や大きいプルちゃんに、新顔の幸丸ちゃんと色々と興味がそそられるよ」
メイクリム様の一言でこのままの搬送が決定した。分裂プルに包まれて王都までご案内が確定した。ヨウキと幸丸が離れるだけマシになるかな?
「いえ、マスター。実験台にはするのは道中でも私は可能です。試したいことはございますので、継続致します。見張りも兼ねますので」
「了解。音の出るものは道中は控えるようにね」
幸丸から逃げられないようだ。若干部屋の雰囲気が暗くなった気はするが気にしないでおこう。
周囲の空気を全く気にせずに幸丸を構おうとするメイクリム様だけがにぎやかである。パンダとして構いたがる子どもには素直だが、自身を研究対象として見られるのはイヤらしい。
俺の考えとしては親しく付き合う知り合いが出来ても構わないと思っている。が、あまり派手なものは見せないようにだけ伝えておこう。
派遣されてきた跡取りーズは、洗脳されたことにより都市の機能が落ちていないか確かめることも任務だったそうだ。そのため数日滞在してからまた戻ることになった。俺は急げば3日で戻ることが出来るので、到着の日時さえズレなければ自由にして構わないとなった。
一応筋書きとしては、冒険者の俺が悪事をはたらこうとしているという情報を掴み、善意から協力したということになっている。……善意のところで笑ってない?善意ですから!
俺の方に王都からの派遣隊と足並みを揃える理由は無い。参考に詳しく話を聞きたいので、日時指定で王都にいてほしいというお願いに協力すればこの件は俺にとっては終わりである。
これで約3週間弱はダンジョンにて鍛錬を積むことが出来る。こっちの方が優先事項だ。魔法陣の改悪は少し延期だ。一週間の様子を見ている限りでは、反省はまだまだ先だ。何度も心を折るには全快を味わわせた方が折れやすいだろう。
ここはダンジョン都市ということもあって、良い素材で出来た装備品もあるそうだ。
お金が無いわけではないので買えるけれど、自分で手に入れられるならそれはそれで悪くない。身を守る防御は大事で大切で重要だ。何よりも優先しても良いと思っている。
ゲームと違ってイベントがいつ始まるとか、目的の武器防具がいつもあるとかそんなことが無いのだ。無目的に強くなるために鍛錬することだってあるだろう。
自分に言い訳しているうちにダンジョンの入り口に辿り着いた。もう誤解も解けているので、会釈だけして受付を済ませて通る。さっさと転送陣に乗る。
ということでやってきました、15階層!俺の実力ではまだAクラスの特殊な能力を持つ魔物にはかなわないことは分かったので、まずBランクから乱獲していくことにする。
ルウネのところと同じシステムなら担当の白獅子様が魔物のリポップを調整しているはずだ。どれだけやっても問題は無いはず。さすがに他の冒険者に聞かれるとまずいので小さな声で話す。
「白獅子様~。今から鍛錬を積みたいので、多めに魔物を倒させていただきます。出来れば周りに出現させてもらえると助かりま~す」
「世界樹のときも聞きましたけど、それホンマに反則ですよ」
一緒に付いてきているのはプルとヨウキだ。幸丸はコレクションハウスの中で待機。幸丸は本体に帰らないと遠隔機体そのもののバージョンアップは出来ない。一度王都に戻ったら行っておこう。
プルも一緒に鍛錬するが、ヨウキはドロップ回収やら立ち回りを見学したりと戦闘について勉強することになっている。ピアスに収まるのではなく、キチンと姿を現す予定だ。周りに人がいなくなったら姿を現して戦闘中の空気感を感じてもらう。
生きていたころの感覚からすると、魔物とのエンカウントを言葉だけで操作できるのは反則に感じるようだ。
「イヤ、俺も反則だと思ってるけど。でも使えるものは使った方が良い。出し惜しみして死ぬよりマシだろ」
「自覚があるんならまだいいです。どこまで感覚が一致してるんか確認出来て安心しました」
「ねえ。最初のころに比べたら扱いが雑じゃない!?」
「気のせいです」
おっと。あまり独り言を言ってはいけないな。転送陣の周りは割と冒険者が多いから。20分ほど走って周りに誰もいないエリアへと到着する。そこに来ることが分かっていたかのように、魔物の気配があちらこちらから主張してくる。
「白獅子様、感謝します」
プルもお礼を言っているし、ヨウキも姿を現している。
姿を現してきたのは双頭狼やグリフォンという若干トラウマを感じる魔物もいるし、グレイトホーンという味的に美味しい魔物もいる。他にも種類は色々といるが、数は合計で20よりも少し多いくらいだ。
先程の言葉に反応して用意してくれたということは、止めどきも言えば大丈夫だろう。
「さあ、始めるぞ!」
闘魔纏身で強化を施すと、近づいてくる魔物から切り裂いていく。今日の俺はひたすらにアタッカーの役割に徹する。
防御はプルに任せている。弾き、逸らし、時に自身の体を盾のようにして防ぐ。色々なバリエーションを見せてくれる。また防ぎながら魔法での攻撃で空中の魔物を落としたり、隠れている魔物の不意を突いている。視野と索敵が上手なだけある。さすがだ。
ヨウキは大きさの調節が出来るので、攻撃さえ探知できれば当たることは無い。魔力や闘気を纏っていない攻撃は透けることもこのダンジョンの魔物とは相性が良い。ヒッ!とか言いながら足元の片づけをがんばってくれている。マジックバッグを渡して一時的な回収を任せている。可能なら手を出しても良いと言っているが、まだ早いようだ。
イヤイヤ。まだ一日目。努力するのはこれからである。
「白獅子様~。一人じゃないのでもっと多くても平気です~!」
「ちょっとワイの心臓にはキツイんですけど」
却下だ!
☆ ★ ☆ ★ ☆
一週間後に王都からの派遣隊が出発するとこだけは見送るつもりでダンジョンには行かなかった。今日くらいは久々の休みにしても良いと思ったからだ。
>>>>>
名前:クーロイ 年齢:10
種族:人族 性別:男
才能:気ままなコレクター
HP :230/230
MP :3458/3458
STR:123
VIT:125
AGI:156
DEX:102
MAG:158
MND:150
LUC:74
スキル
体術(6)剣術(6)短剣術(4)投擲術(5)弓術(4)槍術(1)拳撃(3)蹴撃(3)
身体強化(6)視力強化(5)頑強(4)回避(6)敏捷(6)平衡感覚(5)跳躍(4)自然治癒力上昇(5)剛力(5)器用(4)
縮地(3)纏気(4)闘気操作(4)
魔力感知(5)魔力操作(6)魔力放出(5)魔力集中(5)MP消費軽減(3)
生命魔法(5)植物魔法(4)無魔法(5)飛翔(3)
気配察知(5)悪意感知(3)気配隠蔽(4)空間把握(4)
平常心(5)ストレス耐性(5)苦痛耐性(5)毒耐性(3)打撃耐性(3)斬撃耐性(2)混乱耐性(1)麻痺耐性(1)恐怖耐性(2)
教導(5)話術(3)採取(5)按摩(4)解体(3)料理(4)調合(3)木材加工(2)皮革加工(2)石材加工(1)計算(2)目利き(3)
<スキル>
神託 コレクションブック コレクションハウス 思考力強化 魔法纏
称号
御人好し 【元】不幸体質 我慢バカ 転生者 世界樹の祝福者 修行者 魔物狩り 魔物の殲滅者 教導者 瀕死体験者
備考
称号・断罪者とひどすぎ拷問官はこれ以上やっても称号に反映されないようにしたよ♪
>>>>>
ステータスの変化はこうなった。昨日、一斉にスキルレベルが上がった。白獅子様の言っていたことが正しかった。魔物を倒している最中に、動きが良くなったと感じる瞬間が何度もあった。何かが上昇しているとは思った。
ただ、戦っている最中だったので感覚の修正を優先した。掴めそうかなと思ったところで別の何かが上がってまた少し感覚がずれた。何度か繰り返すとステータスを確認するよりも何だか楽しくなった。
このやり方が正しいことに自信が持てたので、今日は見送ったあとは賢者の石を外した状態で新しいスキルが増えないかも試してみようかと思う。
とりあえず今日は見送りだ。門の前あたりに行ってみよう。
お読みいただきありがとうございました。




