表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
84/151

84因縁再び

7階層から8階層は森林型に変わった。山道ではあるが木々の中に出来ている道を走っていく。道から外れても進むことが出来るが、道なりに進んだ方が早いみたいなので逆らわずにそのまま進んでいる。

ここまで来てようやく出現する魔物はDランクのみになった。動物繋がりか出現するのは通常のオークだけでなく剣や槍を使ったり、弓矢や魔法で遠距離攻撃をしてくるものまで出現した。またそれとは別にボアやベアなども単体で出現し、体当たりを食らうと痛そうな勢いで突っ込んできた。

この辺りは食料としても有能な魔物なので、さっくり狩って地面に着く前に受け止めて収納に回した。食肉の確保は急ぎながらでも出来るのだ。解体の仕方はヨウキが幸丸に教えているそうだ。すぐに処理すれば溜まる前に終わると呟きながら取り組んでいる。急ぐ必要ないと思うんだけどな。どうせあいつら不眠不休で活動できるし。


8階層を途中まで進んだところで、完全に夜の暗闇に包まれている。ジュコトホのダンジョンの特徴として外と中の時間の経過が分かるようになっている。既に日暮れから3時間程度経過しているから良い子は寝る時間くらいにはなっている。


一日目から疲労で潰れるわけにはいかないので、コレクションハウスに入って夕食を取ることにする。途中で狩ってきた魔物はきちんと解体が完了したそうだ。幸丸は元が高性能AIらしく、同じ種類なら教えることなくきれいに解体出来るそうだ。

動物型だと骨格の予想が出来るのも良いらしい。最後の方は黙々と作業に取り組んでいたらしい。ヨウキはその気になれば人族の精神とリッチの精神に切り替えることができ、集中したいときはリッチになる。これも無言で作業するときに合っているらしい。

分裂プルは二人が無言で作業をしているのを見るだけなのは少し怖かったみたいだ。少し考えたがそれもそうだろう。見かけが骸骨とパンダが刃物持って魔物を解体してるんだもんな。そう言ったら正座させられた上で説教された。俺疲れてると言っても許してもらえなかった。


夕食後は腹ごなしにもう少しだけ進むことにした。階層ボスの近くは安全地帯なので冒険者が野営をしていたが、急いでいることを告げてボスへと挑んだ。

心配させるのも悪いので、撃破した後に無事であることを伝えて9階層へと突入した。


9階層からは山岳型へと変化した。ほぼ山登りだ。山の頂上付近まで進めばボスエリアらしい。魔物も身軽なものか鳥型の魔物が出現するはずだ。強さ的にはDランクからCランクが出現する。

まあ油断しなければ問題ない。ただ、ここで寝ろという指令が飛んできた。


「山登りをひたすらしていく感じでしょうが。それならワイが運んだ方が速いでしょう」

「明日以降で追いつくことも予想されます。十分に休憩することを強く推奨します。このダンジョンに入る前に既に3日間走りっぱなしです」


プルも俺を抱えながら遠距離攻撃が出来るから迎撃には問題無いことを訴えてくる。俺一人が焦っても仕方ないと説得されて、寝ることにした。

寝方は前回と同じだ。ヨウキが大きくなったプルを抱えて俺はその上に寝る。寝ている間にマッサージしますと幸丸は今回は外に出ているようだ。

ダンジョンの中で気が高ぶって寝られるか心配だったが、幸丸の肉球感たっぷりの手でマッサージされるとすぐに眠ってしまった。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


【ヨウキ視点】


「寝たか?」

「はい。ぐっすりと」

「ほないこか」


夜は夜目の効く魔物がうろついているはずや。途中で野営してたり、無謀にも進もうとする冒険者がいいカモになる。

ご主人ほどはやく移動することはできん。仮に出来たとしても、魔物が10歳の少年抱えてボスエリアに突っ込んだら下手したら冒険者たちに攻撃されてしまう。ご主人が起きるまではギリギリのところで待機するしかない。


しかし、現状はそう言うてられへん。あとでご主人に怒られたとしてもやるしかない。兄貴もめっちゃやる気になってくれてる。


「出来る限り急いで行きましょか」

「了解です」


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


【クーロイ視点】


かなりぐっすりと眠ることが出来た。明るくなっているからもう太陽が昇る時間になっているようだ。7時間くらいは眠れたのだろう。続きは9階層のボスからのはずだ。3人では冒険者に止められてしまうだろうから。

目を開けて体を起こすと見えたのは草原だった。


「んん?」

「あ。ご主人、起きました?」

「起きたけど。ここどこ?」

「11階層に入ったところです。転送陣はさすがにワイらだけで通るのは危険と判断したんで」


あれ?9階層と10階層はどうなった?


「その2階層は我々だけで通過しました。冒険者の方々は気を逸らしてボスエリアに入り、階層ボスはプル先輩が余裕でお倒しになりました」


幸丸が何事もなかったかのようなトーンで報告してくる。


「騒ぎにならなかった?」

「そもそも騒ぎを起こさないように気を付けましたので」

「あ、そう」


もう少し大きな反応を返すべきなのかもしれないけど、今一番優先することは先に進むことだ。本番はこれから先のはずだから。

褒めてと主張していたプルをなでて感謝し、幸丸にも同様になでる。ヨウキはさすがに年上だから握手して礼を伝えた。


ヨウキと幸丸は今後の課題が見つかったとも言っていたので、色々と考える一晩だったのだろう。

王都に来てからずっと何かをしていたからゆっくりと過ごす時間があっても良いかもしれない。今日か明日には追いつけるはずだから、それが終わればしばらくダンジョン攻略をしたり、王都でゆっくりとクエストを受注するのも良いだろう。

生き急いで心配をかけるのが良くないのは分かった。今日は無傷だけど、今晩も同じことをしたらさすがにダメージを食らう事態になるだろう。

死んだら終わりであることは、3人にも言い含めておこう。


よし!頭の整理終わり!10階層の転送陣で戻って情報整理したら、溜息を一つついて12階層の刺客の元へ向かうことにした。


11階層からはまた草原型に戻る。ただし、出現する魔物はCランクから強いとBランクと遥かに強くなっている。一撃で倒すとまではいかなくなる。

ヨウキと幸丸は待機だが、プルは頭の上で可能な限り回収をしてくれている。魔物を倒して余裕が出来たら走りながらカバンを開けてコレクションハウスへと集めていたものを一気に流す。走りに重点を置くことが出来るようになるのは13階層までだろう。

14階層以降はBランクの魔物だけになってくる。下手に負傷すると消耗が激しくなるので、しっかりと構えて撃退する必要が出てくる。ただ、目標も同じ状況のはずだから止まらなければ良い。


そう考えているうちに11階層は走破した。階層ボスも11までくるとかなり強い。無傷で勝つなら強化系スキルを何か使う必要があるくらいだ。平たく言えば問題は無い。

問題となるのは12階層で待ち受ける刺客の方だろう。幸丸には既に受注した冒険者の特徴を教えてもらっていたので、魔力探知を全開にするようにプルに伝えて今までと同じように走った。

見つからないとボスエリアが近くなったところででプルから見つけたことを知らされたのでそちらへと向かう。しばらく走ると探知を広げていない俺にも分かるようになってきた。相手が気づくのはもう少ししてからだろう。


そして、相手が気づくころには俺の遠距離攻撃の範囲に入っていた。お仕置きの意味も込めて魔力弾をそれぞれに当てるように放つ。何とか全員躱すか弾くかをしていたので説教は無しにした。

相手の前で止まって、堂々と言い放つ。


「なんでこんなところにいるんですか!」


いきなりの攻撃に身構えていたが、相手が俺だと分かると相手は警戒を解いた。


「いきなり何するんだ!それに、それを言うならこっちのセリフだろう!」

「あんたら、割の良いクエストだからって飛びついただろう!」

「ナ、ナンノコトカナ?」

「だからやめておこう、と言ったじゃないですか」

「ヤシタ!お前一人で逃げるんじゃない!」


12階層の刺客として雇われていたのは、まいどお馴染みの『美食の奇跡』だった。

お読みいただきありがとうございました。


図々しいお願いではあるんですが、もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価などもお願い致します!モチベーションの上昇に繋がります。よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ