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気ままなコレクターという才能をもらって転生したが、気ままに過ごせるかどうかは別問題らしい  作者: つちのこ
4章 活動範囲が広がると起こす騒動も様々
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83何よりも優先されるもの

誤字報告を頂きました。いつもありがとうございます。

「こちらでも王都からの連絡は受けていますが、そのような人物が潜伏しているのは報告には上がっていません」

「そうですか。この三日間くらいで何か変わったことはありますか?」

「いえ、特には聞いていないですね。何かあったか?」

「私にも特に報告は上がっていません」


ギルドマスターと同じく、領主もほぼ同じやり取りだ。執事らしき人に確認もするが、同意見だ。そのとき、執事宛に言付けが来た。


「よろしいですか?」


一言断りを入れられるが、拒否権など元から無いだろう。了承するしかない。


「今、連絡が来ました。本日の未明に届け出の無い馬車がこの都市の南西方向に出て行ったとの知らせです。門兵も特に怪しい動きを感じなかったとのことですが、念のためこちらまで連絡が回されてきたそうです」

「馬車の中に何人乗っていたなどの情報は?」

「複数人の男女と積み荷としか。犯罪者という確信もありませんでしたから手荒には出来ませんでした」

「手がかりはそれしかなさそうですね。ありがとうございます。今からなら追いつけるかもしれないので行ってみます」


挨拶をして領主邸を出る。人気の無い所に行って、コレクションハウスに入る


「考えを整理するんだけどさ。ヨウキ、状態異常の中に人を洗脳するようなものはあるか?」

「あると言えばあるで。魅了ってやつやな。よっぽど魔力に素養が無いとできへん。セイレーンとかサキュバスなんかの魔物が起こすやつや。これは再現が一番難しいと言われてたで」

「不可能ではないんだな?」

「よっぽどなら出来るとしかワイは言えへんで。さっき会うた人たちがかかってるって言うんですか?」

「確証は無いけど…。魔力の流れに違和感があるような気がしたんだよな」


妙に乱されているような感じがした。魅了されて自分の意思が捻じ曲げられているのかな。トップを押さえられているとなると押し通すしかないか。


「さっきの話の馬車って本当に出てた?」

「確認はしていますが、通常の馬車よりも遅いスピードで進んでいます。中にいるのは完全に武装していますね」

「じゃあわざわざ行くのも面倒だね。ほっておこう」


そうすると、プルが手を上げている。


「え?行く気なの?」

「兄貴、やるなら完全勝利ってどこでそんな考え方を…。」

「私にはまだプル先輩のお言葉は聞こえませんが、どうしましょうか」

「急げばすぐに落とせるが、そっちに手を出して無駄に情報を与えるのも微妙だな」


策にはまった風に見せるのが良いのか、無視してダンジョンに突入するか。どちらが良いだろうか。


「そういえば、ダンジョンって入るのに許可要りますけどもらってます?」

「そうなの!?」

「とりあえず情報収集を装って、ダンジョン行きましょ。管理してるところの様子を見たらまた何か分かるかもしれません」

「じゃあそれで」


ヨウキの意見通りに動くことにした。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


ダンジョンでは許可証はもらうことは出来たが、中に該当する人が入った記録は無いそうだ。魅了は思ったよりもこの都市の根深い所にまで届いているようだ。

それなのに、慌ててダンジョンに入って行ったということはまだスタンピードを起こすための準備は整っていないのだろう。


「じゃあプル、悪いけど完全勝利よりも問題解決を先にしよう。早期解決で人命優先だ」


こういえばプルも納得してくれることは分かっている。


「よし。じゃあダンジョン突入だ」


記録を残すためにダンジョン管理所で手続きを行う。帰りも同じように手続きをすることで生存確認となる。帰還予定を過ぎても戻らない場合、到達予定の階層に見合ったレスキューが派遣される。

よって、予定階数と帰還日時を報告しておく必要がある。10階で10日ほどにしておいた。荷物に関して何か言われるかと思ったが、特に何も言われることは無かった。


受付を終わらせた後、受付から少し離れたところで装備や持ち物の点検を行った。こちらの様子を伺っていた、さっき受付してくれた人がこっそりと席を離れた。

プルを分裂するのももったいなかったので、幸丸の偵察機でついて行くと俺がダンジョンに入ることを報告していた。受付の人はこんなことを報告するのはなぜか分からないという顔をしているから、これについて行けばまた何か分かるのかもしれないけど無駄だ。

ダンジョン内で全て終わらせることが出来る。偵察機の管理を幸丸の本体に譲渡し、それぞれのできることの変化を確かめることを第一にダンジョンへと乗り込んでいく。


入り口は洞窟だったが、しばらく進むとまぶしい光が見えてきた。1階層目は聞いていた通り草原だった。空もご丁寧に青空になっている。

どういった原理なのかは分からないが、青空だ。次に来た時に飛翔で飛んでみることにしよう。


プルは外の分裂とは連絡が取れなくなった。それぞれの判断は出来るだろうから大丈夫だろう。8割以上は本体に残っている。

幸丸は入り口から入ってきた偵察機とは連絡が取れる。あとから追いついてきたものも有効であることが分かったので、半分以上は連れて行くことにした。50台も連れて行くそうだ。俺が寝てる間に先に進めていけば少しは役に立つからと主張された。

ヨウキはコレクションハウスとの連動を調べたが、外と特に変わりはなかった。


ということは寝るときはそのまま寝るしかないが、一時的な避難場所としてコレクションハウスの使用は出来る。結局は通常とほとんど変わらないことが確認できた。


ゆっくりしていると、地上からの追撃部隊が来ることになる。既に入った奴らも魅了されているだろうから、ある程度は気を付けながら進むことにしよう。

通常であれば3日あれば1階層スタートなら6階層くらいには進んでいるだろうけど、以前に10階層まで到達していればそれよりも下の階層になる。


とにかく急いでいく方が良いだろう。外の情報は一度転送装置で帰るまでは手に入らない。念のため、襲撃や追い抜かすことの無いように周囲のチェックはプルに任せて、ヨウキと幸丸はジュコトホに来た時と同じシフトで進んでいくことにした。


進み始めてからはどこのダンジョンに行ったとしても、まず10階層まで進むことが優先されるだろうことだった。1階層から3階層までは草原型で、入り口を背にしてひたすらまっすぐ進んでいけば次の階層に進むためのボスのいる場所へと辿り着いた。

そうは言っても、3階層まではほとんどEランクの魔物ばかりで、ラビット・ディア・ウルフなど動物の境目のような魔物が多かった。亜種も偶に見かけたが戦闘は時間の無駄なので全部無視して走った。


階層ボスもその階層に出てくる魔物のどれかが二回りほど大きくなったものをボスとして、いつものサイズの魔物が5体一緒に付いてきた。ソロには普通は厳しいのだろうが全く問題なかった。

階層ボスは倒せばすぐに現れてどんどん回していくことが出来るので、待っていれば順番は回ってくる。階層ボスを倒したら進むにしても戻るにしても、すぐに道をゆずるのがマナーだと酒場では聞いた。

だが、俺の見かけを見て侮った奴が絡んできたので魔力を全開にしてオハナシして静かに道をゆずってもらう一幕もあった。1階層だから侮られたんだろうなと思ったが、3階層でも同じことをされたときは、真剣に頭は大丈夫か心配した。


4階層から6階層は丘陵型へと変わった。道はあるのだが丘になっている部分が死角となって先を見通しにくくなった。上まで登れば良い景色だと思ったが、ひたすらそれの繰り返しだったので、急ぐだけなら飽きると思った。

出てくる魔物もEランクからDランクの魔物が混在してきた上にDランクの魔物が統率して襲い掛かってくるようになった。ますますパーティ推奨ではあったが、まだまだ無視して走り去る余裕があった。


5階層クリア時に一度転送陣で戻って、幸丸の偵察機を交換してダンジョン内の情報と外の情報を交換した。走りながらだったので、情報をまとめてもらって休憩時に聞くことにした。

外の変化として、受付の報告を受けた伝言リレーはギルドマスターと領主のところに行き、俺の捕縛部隊が組まれることになった。転送陣から離れた7階層、12階層で待ち受けることになったそうだ。

17階層はBランクからAランクの魔物がうろつくのでじっとしていたら魔物に刺客が殺されかねないので配置しないそうだ。


刺客として派遣された冒険者が魅了されているかどうかは幸丸には確かめようがないので不明だ。冒険者は割と冷静にクエストを受注していたのでまともである可能性が高いそうだ。

ちなみにクエストの趣旨は俺が正体不明の状態異常でダンジョンに暴走して入ってしまったので、その保護だそうだ。暴れる可能性が非常に高いのでまず気を失わせ、話を聞かずに取り押さえてくるように、というクエストになっていた。

失礼千万であるが、邪魔になるのは確かである。しかも転送陣から遠いから気を失わせて放置するわけにもいかない。上手いと言えば上手いのかもしれない。


彼らの誤算は俺の進むスピードだろう。まだ半日程度で5階層まで来ている。7階層担当の冒険者がダンジョンに入ってから1時間も経過していない。ということは6階層を進んでいる間に充分追い抜くことが出来る。

騙されたことは運が悪かったと思ってくれと心の中で謝罪した。そして6階層の途中で受注した冒険者が、可愛そうな状態になった子どもを助けるためだと言いながら走っているのを横に見ながら隠れて追い抜いた。

お読みいただきありがとうございました。

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