４黒い石（３歳）
強くなるのは優先事項になるだろう。生き残るためにも必要になる。
肉体的な鍛え方は現在進行中だ。魔力の部分も少しずつ特訓している。スキルもひとまずはお二人の指導に乗っていれば凡そ有用なものは身に付くだろう。
しかし、自分だけのものである才能『気ままなコレクター』は自分で考えて伸ばすしかないだろう。
ヒントをもらう当てもないし、いろいろと試していこうと思う。
前世はコレクションして満足していたが、自慢する必要はあるだろうか。先の心配にしかなってないか。
まずはコレクターということだから集めてみようと思う。…何を集めれば良いだろうか？
３歳なのだ。集めても不思議ではないものと言えば、石だ。
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「というわけで。じーちゃん、明日川に連れて行ってよ！」
の一言で連れてきてもらいました。川！
早めに昼ご飯を食べた後に出発した。着いた川は村から東に１時間ほど歩いたところにある。ただし、大人の足でだ。子どもだけでは到底たどり着くまでに日が暮れてしまう。
確保した魚を運ぶように木製の台車を曳いてきているが、俺の移動用も兼ねている。揺れるのはご愛敬だ。クロエミさんが持たせてくれたクッションって大事。
晩ご飯に魚料理ということで、じーちゃんは魚を捕まえる。俺は川原で石拾いをする。
川下には人族を中心とした街があるらしく、少し離れた位置には橋を渡り買い出しに行くこともあると教えてもらった。
行きの途中に教えてもらった。それくらいしか会話は無かったが。今日は町に用事は無いのでそこまではいかない。
川はリクエスト通り、川原に石が多くあるところだ。何を基準に選ぶか悩みながらしゃがむ。よく考えたら、川原で石持ったらやることは一つしかないのでは！？
なるべく平べったい石を探して、石切りだ！
１時間ほど熱中したが、そろそろ腕が痛い。たまに５段が出るくらいでそれ以上の成果は出ない。横投げとかもがんばったけどな。
そろそろ本来の目的に戻ろうかな。牙丸さんの魚捕りはどうなったんだろうか。周りを見渡してみると川の中に石で生け簀のようなものを完成させて休憩していた。
「石を投げていたら魚が出てこないかもしれん」
「ご、ごめんなさい」
「構わない。今からで十分だ」
確かに自然の生物を相手にするのに余計な音は邪魔だった。落ち込みそうになったところに、頭に手を置かれる。
口の端を持ち上げ、目は優しかったので怒ってはいないようだ。
台車の近くで休憩がてらに牙丸さんを見ていると仕掛けをセットした後は釣り糸を垂らして止まった。
先程の表情から考えたら怒ってはいないようだ。尻尾の動きからすると…、大丈夫っぽい。
一番形の良さそうな石をプレゼントすることにしよう。クロエミさんにもあげるようにしよう。
元々の目的に戻ることにしよう。
改めて川原を探していくと、石として珍しい色のものを見つけた。赤やら緑やらの石は珍しそうだから持って帰ることにする。
折角だから３人の共通点である黒色の石などは見つからないだろうか。更に探していくと帰るまでに５つ見つけることが出来た。
その中から平べったいものを１つ牙丸さんに渡す。
「じーちゃん。帰る前に水切りの見本を見せてよ」
一番平べったいのが黒い石だったので渡す。無言で受け取ったところから見本を見せてくれるようだ。
構えて腕を水平に引き、勢いよく振り投げた。結果２３段。やはり体を鍛えていきたいと改めて思った。
帰って夕食後のこと、２人に渡す石を選ぼうとしたときに怖いことに気づく。黒い石が５つあった。
「あれ？この平べったいのは投げなかったかな。違う石を渡したのかな」
「クーロイ？どうかした＿＿＿」
件の黒い石を見てクロエミさんが固まってしまった。
「この石はあなたが持っておきなさい」
「この黒い平べったい石？じーちゃんにあげようと思ってたんだけど」
「持っていなさい」
「ワカリマシタ」
ため息を吐きつつ、「魔力循環をやって」と言われて実行してみる。今までが何だったのかと思ってしまうほど簡単に出来てしまった。
「あなたの魔力に良さそうだから持ってやるようにしましょう。今晩のうちにペンダントにしておいてあげるから」
「ありがとう。じゃあばーちゃんにはこっちの黒い石をあげるよ。一番丸いよ。
じーちゃんにはこっちね。一番大きいから」
「はい。ありがとうね」
「うむ」
そんなやり取りをしたあとに寝床でいつもの確認をしたとき今までと変化が見られた。
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名前：クーロイ 年齢：３
種族：人族 性別：男
才能：気ままなコレクター
ＨＰ ：５/６
ＭＰ ：６/６
ＳＴＲ：２
ＶＩＴ：３
ＡＧＩ：２
ＤＥＸ：２
ＭＡＧ：２
ＭＮＤ：３
ＬＵＣ：１
スキル
平常心（２）ストレス耐性（２）教導（２）話術（１）魔力感知（１）魔力操作（１）魔力放出（１）
称号
御人好し 【元】不幸体質 我慢バカ 転生者
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石を投げて集めてきたら魔力関連が伸びた。あの黒い石はなんかすごいものか？
お読みいただきありがとうございました。
