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149最終の20階層!

「ま、楽勝だよな」

「そりゃああれだけ相手していれば通常は楽でしょう」

「さすがに竜種は強いですからね」


『浄化の鉄槌』の処断が終わった後、クーロイがまた走り通して深夜手前に時間だったが、19階層ボスエリアまで到着した。さすがにクーロイの疲労を全員が認め、翌日以降のアタックを提案した。

ほぼ2日ずっと動きっぱなしだったクーロイは12時間近く寝ることになったが、疲れていたからだと納得した。目覚めが良かったので、休憩の大事さを噛みしめた。

ただ、睡眠を誘発するもの諸々を寝床に仕込まれていたことには気づかなかった。悪意ではなく善意からの行動のため、感知に引っかからなかった。パーティメンバー全員が納得しているのなら良いことである。


19階層のボスは白獅子に願った通りに通常のままだった。これまでは特殊なものに挑戦していたため、少々楽が過ぎるといったところだった。巨大ミノタウロスも出現していたが、余裕で倒した。

クーロイたちも場所が場所なので油断するつもりは無かったけれど、自分たちの取り組みに間違いが無かったことに自信が持てた。


早速20階層へと踏み込む。山岳型の地形であることには変わりない。19階層に比べて空からの奇襲が多く、眷属たちが力を貸しているのか、クーロイたちに合わせているのか魔物は多めに出現してきた。

ほぼ戦いっぱなしではあったが、クーロイ以外は休憩が取れるため問題はなかった。休めないクーロイは強くなるために負荷をかけるかなり困った気質のため、特に問題無く進むことが出来た。


階層の広さは数字が大きい方が広くなっていくが、今のクーロイたちの機動力は一番遅いケイトでさえ、鎧も何も付けずに全速力で走る通常の兵士よりも速い。

時間がかかるのは戦闘だが、通常よりも多く出現するくらいでは足止めにならない。遠くの敵はヨウキとケイトが狙い、潜り抜けてきた敵にはプルとコウガが対応する。クーロイは遊撃とドロップ拾いをしている。

腹を貫かれた奴はしばらく裏方をしているように、との指令を出されている。言い返すことも出来ないため大人しく従っているが、危険だと判断すれば飛び込むのは許可されている。


しかし、ミスは特になかった。遠距離担当二人の迎撃よりも速く近づいてい来る魔物もすごいが、打ち合わせていたかのように壁役と攻撃役を分担しているプルとコウガもすごい。

クーロイは淡々と走り続けながら全員の戦闘を観察し、メンバーそれぞれの良い点や改善点、自分に取り入れる点が無いかを見学していた。


(罰としての拾い役だけど、やっぱりたまには皆の動きを観ることは必要なことだ。この前の兵士さん達もじっくり見てあげれば良かったかもしれないな)


全部をうまくやることなど出来はしないので、せめて自分を早く強くして周りにもっと気を配れるようにしたいと願った。戦闘中に話し合うことは出来なかったので、夕食後にはフィードバックを行った。

クーロイの罰は20階層のダンジョンボスに辿り着くまでときまっていたので、その後二日間はずっと同じ役割で進んでいった。


「ちょっとこの出現量はおかしくないですかねぇ!」

「それだけ近づいて来ているんだろうよ、後ろは拾えるけど進んでないからそっちのはまた再吸収されちまうぞ~」

「クーロイ様、手伝ってくれても良いんですよ?」

「がうぅ!」

「いや~、参加資格ないと思うし?…え?」


逆にこのままだと余計に怒らせることを察し、拗ねていたわけではないがまだ余裕があるのかと思っていたら全員が結構な疲労だったようだ。


(俺ほど生命魔法無双は出来ないからか。これも俺だけの武器だよな)

「よっし。皆のために俺は勝手判断で討伐に参加するぞ!闘魔纏身!おらあぁぁぁ!!」


とりあえずは突破口を開くべく正面の魔物に向かって突き進む。剣式で切り裂きながら魔式も併用して上空の魔物や隠密性を活かして潜んでいた魔物を仕留めていく。


「ご主人加入しただけで難易度下がるのが腹立つ。もう少し鍛えよかな」

「本当に、いつまでたっても、追いつけないとは、腹が立ちます」

「どっちに?」

「両方です!」

「よっし、行くぞ!少し先にゴールらしきものが見えた!」


壁のように並んでいた魔物を全て蹴散らすと引き続き全員が通るまで迎撃に牽制と遠近おりまぜながら道の確保に努めている。幸丸はクーロイが戦いに参加してから回収できるものを回収している。

全員が通った後は簡単に追撃をかけられないように、おまけを見舞うことを忘れない。


「魔式四番、拡散刃!属性乱れ打ちじゃ~い!!」


習得している属性魔法をいつもの球状や弾丸状ではなく刃状にし、一枚放つたびに属性を変化させる。試してみて火、水、風、雷の刃状は獣相手にはかなり効果があった。

視界の中で動くものにはとりあえず切り裂いておいて、動かなくなったら仲間の後を追った。追いついた時には20階層のボスエリアに到達していた。


いつも通りにセーフティエリアがあったので、まだ夕方の時刻ではあったが本日は終了とした。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


セーフティエリアのおかげで野営の場所には困ることは無く設置完了した。念のための周囲の確認もしてみたが、19階層よりは強かったが問題は無かった。


「これならダンジョンボスも大丈夫やないですか?グラントたちがかなり過去で倒せたわけやし」

「そうですね。でも、ボスエリアには出現してないから何が出てくるか分かりませんよ」

「ケイトの言うとおりだな。十分に注意しておく方が良いよ。ってことでゆっくり休憩しよう。今晩は全員しっかり休むこと!」


幸丸がボス戦前に気合を入れて準備してくれたのは、勝利を願ってのゲン担ぎメニューだった。

カツサンド、カツカレーただしパンもしくはナン、ウインナーを挟んだホットドッグ。餞別として兵士さん達が手に入れることが出来たタコをタコ焼きにしてくれていた。

あとはバランスを見てのコンソメスープにサラダを大皿で準備されていた。コレクションハウスで収穫した果物を使用した果実水も完備だった。


「かなり手間のかかるメニューばっかりじゃないか。幸丸、準備してくれてありがとう」

「いえ、調理時間も充分に取れましたし、煮込み料理などは事前に作っていましたので。私も最後の仕上げだけです。足りなければまだストックがあるメニューもございますので、遠慮なくお申し付けください」

「本当にありがとうございます。幸丸ちゃんの料理を頂くときはクーロイ様についてきた価値があると感じますね」

「痛み入ります」

「言葉遣いまでプロや」

「美味しいのは確かだし、助かるよ。さ、食べようか」


数多く準備してもらったが、エネルギー補給だけでなく味も考え抜かれて作られている。口の中の幸せを感じながら食事をした。

「あ~、うま~」

「しあわせですね~」

「コウガはやっぱり肉系が気に入っとるんですねぇ」

「ガゥガゥ♪」


しっかりと食べ終わった。


「ごちそうさまでした」


幸丸だけに任せることも無く片づけを行い、食後の休憩中の会話になる。既にコウガは就寝に入っている。コウガは睡眠がまだまだ長めになるため早く眠ることが多い。寝かしつけを行ったプルは就寝を確認した後は定位置に収まっている。

クーロイとケイトとヨウキは魔力をしっかりと練って明日使う魔力の質を高めている。プルも途中から参加だ。恒例の取り組みであるので、話をしながらでも行っても失敗することは無い。


「白獅子様、ご飯やっていうのに来はりませんでしたね」

「そうだねぇ」(頼んだことが難しかったのかな)

「せっかく幸丸さんが干し肉を多めに作ってくれていましたのに」

「もしかしてサプライズですかね。最後の階層やし、白獅子様がボスやったりして?」


ヨウキがとんでもないことを言い出した。


「やめろ!それはフラグって言うんだぞ!?」

「フラグって何ですか?」

「『言葉にしたことが本当になる』みたいなことだ。正しくは、この先のことを予測できるかのような発言のことを指す。お約束とも言っていい」

「そんなんホンマにはなりませんって~」

「いつもボケ倒す癖に、なんでこんなところで余計なことを言うんだよ…」


翌日がどうなるかに不安を残しながらそれぞれ就寝についた。フラグが立っていないことを願っていたのは言うまでもないが…。

お読みいただきありがとうございました。

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