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12生き方が決まる

「尻拭いばっかりさせられてたからさ。死んでまで振り回されてるキミを気まぐれで連れて来たんだよ。言わすんじゃないよ。ちょっと疲れて才能は変になったけどさ」


言い訳をまだ言い続けるのを横に、クーロイは考え込んでいた。前世でそこそこひどい目にあったとは思っていた。だから転生できたのはラッキーだしご褒美。言われた通り自分だけが良ければ良い暮らしにしようと考えていた。でも違っていた。

今まで誰か別の人を助けようなんて思うことがあっただろうか。友人や同僚なら助けた。見ず知らずの人は?それはさすがに無い。


それなのに別の世界の人間?目の前でまごまごしている神様は確かに神様と言える行動力を持っていた。


「なんで助けた?」

「見てられなかったからって言ったじゃん。とにかくキミはノビノビ生きてくれたら良いよ。僕の自己満足なだけだしさ。」


は?こいつ神か?神だった。創造神だ。関係ないところで死ぬのが見過ごせなかった?


「全部言ってください。お願いします」

「気にせずにさ。ごまかされてくれない?」

「無!理!です!」


このあとめちゃめちゃ繰り返した。




「んっとね。自分の世界でも中々自由に助けるって出来なくってさ。自分の世界への干渉しすぎって厳しいのよ。しかもこの世界って他の世界からの押し付けがしんどくてさ。仕事回んない状態なわけ。」


渋々語る創造神の表情に見覚えがあることに気づいた。こいつ目の下にクマが出来て、目が死んでる。神なのに。神様は過労らしい


「……その状態なのに俺を助けたの?」

「たまたまだよ~!本当たまたま。ちょっとよそ見した時に怪しい動きしてるのを感じてさ。気づいたらぶん殴ってさ。キミが起きるのを待ってたのさ。看病するからって主張して、調べる時間として捻出してたのさ。前のとき本読んでただろ。最近また忙しく…ってこれは気にしなくて良いよ~。あは~はは~」


早口すぎるだろ。あ~。分かった。


「どうしたら良い?」

「ん?才能を伸ばすのは魔物を倒すことさ。ゆっくり幸せにs「そうじゃなくて」ぅおう。…えっと?」


「俺の才能とか人生じゃなくて、『創造神様の役に立つのは魔物を倒すこと』で良いんだな?」

「そうだよ。でも、命がけでしなくても良いんだよ。キミ苦労してたんだし」

「多少でも手伝わせてくれよ」


思いっきり睨む。5さ…、6歳児の睨みが効くかは知らないが。認可されなくてもこれでクーロイの生き方は決まった。


「創造神様の役に立つことをさせてほしい」


俺の念押しの一言に目を見開き、やり取りを振り返って少し冷静になった創造神が溜息をつく。

「は~。しまったな~。そんなことのために助けたんでもないんだけどな。口が滑り倒してたな~。疲労のタイミングが悪すぎた」


しばし、悩んだ後、俺の前で正座する。ちなみに俺もまだ正座している。


「でも魔物を倒すことだけにのめり込むのは禁止」

「了解」

「イマイチ心配だなぁ。あと細かい連絡もするから神託スキル渡すよ。はい」


ふわふわ浮かんで白い塊に近づいていくとスッと同化する。


「時々連絡するよ。じゃあ時間の許す限り伝えるね」


クーロイが黙って頷くのを見て、創造神はもう一回溜息をついて自分の失態を後悔しつつ続きを話し出す


「まず第一に笑顔を増やして。僕が癒されるから。癒されたい」

「お、おぅ」

「スキルが色々あれば役に立つよ。前世の記憶で覚えてる部分も含めて活用してよ。なんかあるでしょ」


すぐには思いつかないけど何かはあるはずと頷く。


「ここからが直接僕の仕事に繋がる話ね。魔物は倒して。ただし、神級や精霊級まで成長したのは避けて」

「神級や精霊級って?」


分からないことはその場で確認は鉄則だ。


「高レベルまで成長した話の分かる魔物は加護与えて手伝ってもらうんだ。そんなに数いないし都度教えるよ。まあ強い奴さ。なんせ僕の仕事を手伝ってもらってるからね」

「そういうやつらにも魔物を倒してもらっているってことか」

「そ♪ほかにもあるけどね。すぐに出会わないよ。キミまだ弱いからね」


よし、今の一言は腹立つ。が、一番最初の目標は強くなることであることは変わらない。


「あとは出来れば仲良くなって共同戦線とか張ってくれよ。最近強くなりすぎた人類が怪我させてくるんだよ。殺される前に逃げるか逃がすんだけど、怪我が治るまでは無理させられないからね。手が足りない原因はそれなんだ」


速攻で強くなろう。邪魔する奴はボコろう。


「ついでに、真っ当なこの世界の人間が増えるようにしてほしいんだよね」


ついでの内容がピンと来なくて眉をひそめる。また爆弾発言。


「ここって底の世界だからさ。他の世界から堕ちてくる魂があるんだよね。全員が全員悪い奴ではないんだよ。たまたま堕ちることもあるからね。でも中にはこの世界の真っ当な人間を減らしてくるんだ。朱に交わると赤くなるって上手いこと言うよね。この世界の生粋の人間を巻き込むのはやめてほしいよ。記憶は無いくせにやることが変わらなくて困るんだよね。もうそろそろいい加減許すのやめようかと思ってたんだ。だからって掃除を神がやると過剰だからダメだし。協力者の神獣や精霊獣も国やら都市やら丸ごと無くすことになるし」


規模の大きい話を聞いてしまった。心の処理はあとにしよう。


「見た目は人間なんだろ?」

「そうだね。キミは僕が手を加えたから分かるよ。感情が分かるようになってるから見つけやすくなってるよ。その感じだとまだ出会ったことが無いみたいだね。でも結構どこにでもいるから気を付けてね」


また分からないことを言っている。


「感情が分かるって何?」

「堕ちてきた魂の感情は特によく分かる。悪いこと考えていたら粛清よろしく。オーケー?」

「粛清ってどこまで?」

「殺人してたらアウト。間接的でもアウト。未遂でも改心の見込みが無いようなら処して」

「万事了解。やりすぎなら止めて」

「分かった。あと大事なことを言うね」


ずいっと創造神が近寄ったことに少しだけ身を引く。


「何?」

「ちゃんと家族には言ってから行動すること」

お読みいただきありがとうございました。

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