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無くなる命の妄想
4月18日
いつも通り,午前12時を過ぎた頃,妄想の世界で現実にある枕を濡らした。
ヘッドホンから流れる病み深い歌詞と儚い歌声。
隣からヘッドホン越しで微かに聴こえる猫の鼾と母親の寝息が全て自分の世界とリンクしていて涙が溢れるが,どうやら止まる事は知らないらしい。
結局,寝れないまま朝日が登った。
時間を確認する為に携帯を探していると,背中向きの母親の姿が目に映った。
上下に動く肩。
弱くゆっくりと聞こえる鼻息に安堵する。
今日も生きている。
今日もゆっくりと呼吸している。
その事実が今の僕にとって1番の精神安定剤であった。
おかしいな。
学校終わり1人バスに乗って,いつも通りヘッドホンをつけると,一粒,二粒と涙が零れ落ちた。
やだな。公共の場だよ。止まってよ。
なんで涙が溢れているのかは知らない。
それは,きっと携帯のカバーが壊れたからかも知らない。
友達と映画の約束をしたからかも知れない。
それは,きっと自分の不甲斐なさに泣いているのかも知れない。