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特別な友達。  作者: 橘 小春
3/5

昼休み。

彩花side


ーーーーーーーーー昼休み


あの始業式の事件から1ヶ月。

私たちは仲良くなり、お互いに「あーちゃん」「いーちゃん」と呼ぶようになっていた。

けれど、あれ以来おもらしの話をしていない。

もしかして言いふらされてないかな…そんな不安がよぎる。


あ「ねぇねぇ、いーちゃん。」

い「ん?」

あ「あの時…なんで助けてくれたの…?」


いーちゃんはしばらく考える素振りをしてあ、あの時かと思い出したようだった。


い「あ、っ…えっと…その…」


いーちゃんは言葉を詰まらせた。


い「ちょっとこっち来て。」


手を引っ張られるがまま連れてこられたのは「女子トイレ」

それも誰も使わないであろう校舎の端っこの。


い「いい?誰にも言っちゃダメだからね…?」


いーちゃんは自分のスカートをまくりあげ、ズボンを下ろした。


それは、見覚えのある…でもこの歳の女の子の下着にはふさわしくないものだった。


あ「えっ、…」


私は困惑した。

だって、あのお姉ちゃん的存在で誰からも頼られている、いーちゃんが。


い「あはは…ひいちゃった…よね…」


いーちゃんは目に涙を浮かべ、スカートをもつ手にギュッと力が入っていた。


い「あーちゃんが体調悪そうって思った時の動きが、私がおしっこを我慢してる時の動きと一緒で…でも私は絶対我慢できない時間そうしてるから、違うのかな…って」


い「私と友達なんて嫌だよね。ごめんね。」


あ「そんなことない!!」


私はいーちゃんをぎゅっと抱きしめながら言った。


あ「彩花はお姉ちゃんみたいないーちゃんも、おむつしてる赤ちゃんのいーちゃんも大好きだよ!!」


いーちゃんは抑えきれなかったものが溢れ出るように声を上げながら泣き出してしまった。

落ち着いてきた頃に聞こえてきたしゅいぃぃぃいと、どこか聞き覚えのある音。

その音が止まると同時にぶるっと身震いをするいーちゃん。


あ「いーちゃん、おしっこ出たでしょ??」


涙で濡れた頬をそっと自分の袖で拭ってあげながら優しく聞いた。


い「…うん。」


あ「じゃあ、彩花ねぇねがおむつ替えてあげるね!」


い「…!!…うんっ!」


あ「替えのおむつある?カバン?」


い「うん!いろはのカバンの中!」


あ「ねぇね分かんないから教えてくれる?」


い「うん!いろはが教えてあげるね!」


先程までの涙がうそのようにはじけた笑顔をみせるいーちゃん。


一人称が「私」から「いろは」に変わっている。

しっかりもののいーちゃんも誰かに甘えたかったんだ。


てけてけと効果音のつきそうな走り方で私の手を引っ張るその姿は本物の幼児のようだった。


クラスに着き、ポーチを私に渡してくる。


い「はい!いろはのおむつ!誰にも言っちゃダメだからね?」


ポーチを渡され耳元でヒソヒソと囁かれた。



先程のトイレに戻り奥の少し広い個室に入る。


あ「いーちゃん、ズボンとおむつ、自分で脱げる?」


い「…やだぁ…ねぇねがやってぇ…。」


さっきまで元気だったのに2人きりになった途端グズグズモードになってしまった。確実に幼児退行してる。

いつもお姉ちゃんがやっているようにおむつの用意をし、ズボンをおろす。


あ「おむつ破るよ?」


サイドを破るとむあっとアンモニア臭が立ちこめる。


あ「いっぱいでたね〜!」


いーちゃんは少し俯いたまま顔を赤くしていた。

その様子は朝、お姉ちゃんにオムツを変えてもらう私と重なった。


少し、もたつきながらもテープタイプのおむつをつけることが出来た。


あ「はい。これで完成っ!」


ポンっとおしりを軽く叩くと、いーちゃんはまた笑顔に戻った。


い「ありがとう。彩花ねぇね!」


ぎゅーと抱きついてきたいーちゃんのあたまを撫でると、とても嬉しそうに頬を緩めた。

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