私で良いなら友達です
何だかんだ授業は進み、帰りのホームルームになった
その間にも伊藤さんは話しかけてくるしあのこからは目をそらされるし
いやだ...あと5ヶ月くらい学校サボろ
ほんとは美大に行きたかったけど諦めよう
「それではみなさんさようなら」
さようならーとみんなが言った
「いっしょに帰ろーまいっち」
「まいっち...ごめ...」
「あ、水原さん」
先生が話しかけてきた
「私、覚えてる!」
「え、しらない」
「神奈川四季、麻友ちゃんの親友よ」
麻友...お母さんか
「四季先生ー、まいっちのかーさんとどんな関係?」
伊藤さんよ、あなたは何を気にしているのだ
「あれはあなたたちと同じ高校二年生の時にはいった剣道部の先輩なのよ、そして彼女でもあったのよ!」
ふんっ!と胸を張った四季先生は私が引いてることに気づいていない
てか普通に母親のそんなことばらすとかこいつ大丈夫なのか
「純愛っすね」
「でも麻友ちゃんはお遊びだったのよ」
そりゃそうだ、お母さんは普通に結婚してるし、男性と
「それでね、麻友ちゃんがずっと水原さんのことを心配してたの」
「え」
「ずっと友達と遊ぶことなく一人でパソコンいじり」
心が痛い、やめてくれ
「でも伊藤さんとそんなに仲良く...きっと喜ぶわよ...うっ...」
そこそこ大人が咽び泣く姿を見せられる私の気持ちになってほしい
「大丈夫ですとお母さんに言っといてください...うっ...」
響いた!伊藤さんには響いた!
「これからずっと一緒だよ!まいっち!」
伊藤さんは私の手をとった
...お母さんを心配させるのはいけないし
悪くないね、友達って
「私もよろしく」
「高校生の百合...尊い....」
涙を流しながらこちらを凝視する変態がいた
「私とも仲良くしようね、水原さん」
手を差し伸べる変態教師がいた
この手は絶対とらない
「桜ちゃんには拒否されたし、水原さんは拒否しないでね」
「さようならっ!帰ろう!伊藤さん!」
私は伊藤さんの手をとって逃げた