世界を救いなさい。いや世界を救え。02
ちょっと、走り書きっぽくなりました。かなり後かもしれませんが言い回しなど変更するかもです。
なんてことだ、世界を救いなさい。ではなく、世界を救え。と来たか・・・。このままじゃ俺たちは奴隷のように扱われて使い捨てられてしまうかもしれない。そして俺たちが死んだってこいつらは次の異世界召喚をするだけだろう。そしてまた次の人間に生かしてやったと脅迫し死地へと送るはずだ・・・。
死刑宣告とほぼ同意の言葉のおかげでいつの間にか兵士たちが槍を収めていたことに誰1人として気が付いていなかった。そして兵士たちの脇から出てきた黒いローブの集団が俺たちを値踏みするように見下ろしていた。そしてその集団の長と思しき人物がゴクセンに向かって深々と頭を下げる。
「ゴクセン様。勇者様たちをそのように扱っては面目をつぶしましょうぞ。」
「ふん。芳香坊。こんなどこから来たかもわからん子供たちにこの世の預ける事になるやも知れんのだぞ。」
芳香坊と呼ばれたローブの男はこちらへと振り返りまた深々と頭を下げた。
「勇者様がた、この度は異世界へ、よくぞおいでくださいました。使命は確かに激務となりましょうぞ。ですが異世界から来訪されたあなた方には特殊な能力が宿るのです。その力を使いこの世界をお救いくださいませ。」
『特殊能力』と芳香坊がその言葉を口にした瞬間だ。クラスのごく少数が騒めいた。まぁでもかくいう自分も小説やアニメの主人公が使えるような技が使えるようになるかもしれないと思うと不覚にも少しわくわくしてしまった。
「わたくしは、このヒノジン国、魔法研究統括の芳香坊と申します。勇者様がた、あなたたちの住んでいた世界は魔法使いという存在がいましたか?」
「・・・」
確かに僕たちの世界では魔法という概念はなかったはずだ。だがこの世界では魔法が使えるのなら自分たちの世界でも使える人間もいたんではないだろうかと俺は無言で考えていた。そして俺が無言で考える最中でも芳香坊の語りは続く。
「ふむ、今回の勇者様たちは魔法文化が廃れた世界の方たちのようですね。では魔法から説明させていただきます。」
芳香坊の手がメラメラと燃え出し、それと同時に俺たち転移者側から「おぉ~」という歓声が漏れた。メラメラと燃えた手の平を上え向けると火の玉が出来上がりぷかぷかと浮いている。そしてそれは、俺のところまでも届く熱で本物の炎なのだと理解できた。そして見てしまった俺の隣にいる久音が芳香坊と同じ手の動きをして炎を出そうとしているところを・・・。
そんな、アホな馴染みは無視して俺は芳香坊の話を整理しようと思う。彼は自ら魔法を使って見せて魔法というものを証明して見せた。そしてそのまま魔法についての説明がされたが原理や理屈的なことは一切語られることはなく、この世界の強さ=魔力だとか、魔法力が上がるとそれに合わせて身体能力も向上してくるだとかそんなのばかりだった。まぁ難しい事を言われても困ってしまだろうがこいつらちょっと大丈夫かと思ったくらいだ。
そして、この辺りでの何人かの奴が同じことを思ったのではないだろうか?そう、俺たちの実力についてだ!まがりにも勇者と呼ばれていたし、世界を救えと言っているのだからそのくらいの実力があってもおかしくはないはずなのだ。だが横にいる久遠の手からは炎が出るどころか俺が見ていることに気が付き顔を真っ赤にさせながらそっと通常モードに戻った。
「さてそれでは、勇者様がたがどの程度の力を持っているのか確かめていきましょうか?」
芳香坊は俺の心を読んでいるかのようにこの言葉を発した・・・。そして、このころには魔法への興味につられ奴隷のように使われるかもしれないという事を忘れていた。だが本当はこの時に気が付いておくべきだったのだ。こちらは手慣れ過ぎていたと・・・・。