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最終話 終わらぬ旅



 邪神アポピスとの激闘から、しばらくの時が過ぎた。



 結論から言えば、俺はまだ男に戻れていない。


 何故なら未だに第三大陸へ到達できていないからだ。

 そしてその理由がまたとんでもなかった。


 第三大陸は存在していなかったのである!


 いや、正確に言おう、この星(・・・)に存在していなかったのである!!


 ババーン! 衝撃の事実!


 なんと第三大陸は別の惑星にあるってんだから、さぁ大変!


 なぜそれが判明したのかと言えば、邪神と闘ったクレーターがあったでしょ?

 その中央部分で地下への入口が発見されたんだ。

 入ってみたら、そこは途轍もない広さと深さの大ダンジョン!

 中には石碑と言うかモノリスみたいなのがあって、ご丁寧に説明文が記されていたってわけ。


 それによると、あの巨大クレーターは元々、神だか宇宙人だかが大昔に飛来した跡地なんだって。

 んで、そいつらもしばらくは大ダンジョンみたいな地下街を建造して暮らしていたんだけど、移動に必要なエネルギー的なものが溜まって去っていったんだとさ。

 その際に、やつらはイレギュラーな事態で戻って来た時のために、保険として母星への星図とか航宙図を残して行ったらしい。門番として邪神アポピスを添えて、な。

 そいつを手に入れるのが第三大陸解放のキーアイテムだと、ハカセをはじめとする有識者連中は熱く語ってた。


 まぁねぇ、色々おかしいとは思ってたんだよ。

 あの発明家と言うより失敗王のたがねさんが超まぐれで戦艦トヤマを作った時とかね。

 あれの正式名称、『第三世代恒星間航行・・・・・超弩級戦艦トヤマ』だもんなぁ。

 まさかあんなもんがフラグになってるとは……

 あと、邪神がクレーターの中央から全く移動しなかったのも勘繰られる要因だよね。

 ここに何かありますよと言ってるようなもんだし。


 で、取り敢えず俺たちはその星図などを入手するためにダンジョンを絶賛探索中なんだ。

 異様に広くて深いから、数百人がかりでもまだまだ時間はかかりそう。


 ま、今更慌てても仕方ないからじっくり攻略するしかない。

 ただ、年が明けちゃったってことは、俺ももう受験生なわけで……

 何とか夏までには男に戻って受験に専念したいところだ。

 夏は受験の天王山って言うしね。


 それと、ひとつ残念なお知らせが。

 えー、この度、俺とヒナは別れました……ってのは冗談で。


 なんとキンさんが入院してしまいました!

 

 なんでも、脳に異常が見つかったらしい。

 不可思議なのは、それがキンさんだけじゃなく、団員からもポツポツと入院者が出たことだ。

 ハカセのとこの【翰林院アカデミー】でも結構な人数が入院したんだよね。

 【OSO】のプレイヤーばかりが入院って、なんか怖くね?


 キンさんは頻繁にメールをくれるけど、彼自身にも伏せられているのか、いまいち病状がよくわからないのが心配だ。

 俺もヒナもいつ自分がそうなるのかと不安になる。

 とは言え、どうこうできる問題でもないので、あまり考えないようにしている。彼らの早期快癒を祈りながら。


 そんな鬱憤を晴らすかのように、俺とヒナは遊びまくってます!

 我ながら受験生とは思えません!


 クリスマスもお正月も楽しかったなぁ。

 あ、クリスマスプレゼントは無事に渡せました。

 そしたらね、プレゼントを買ったあの日、実はヒナも同じ店で俺へのプレゼントを買ってたんだって!


 しかも俺もヒナも選んだのは指輪だよ!?

 なにこれ? 以心伝心?


 イブには改めて思いを伝え合ったあと、二人は結ばれ……るわけない!

 だって俺まだ女の子だもん……しくしく。

 でも、二人きりでゆっくりと過ごせたからオッケー!


 元日もそんなノリで行こうかとヒナの家に新年の挨拶へ伺ったんだ。

 そしたらさぁ、山科さんが『秋乃お嬢さま、初詣に向かうのであれば、振袖をお召しになるのが乙女の嗜みでございます』とか言い出して……

『あっははは! いいですね! あきのん先輩、一緒に着ましょうよ!』

 と、ヒナも加勢する始末。

 結局、二人がかりで着付けされ、恥ずかしい思いをしながら神社でお参りしてきたよ……


 最悪だったのは、たまたま同じ神社へ初詣に来ていた夏乃姉と妹の春乃に目撃されたことだ。

 夏姉は『いや~ん! 可愛い~!』と言いながら俺を愛でまくるし、春乃には写真を撮られまくられた。しかも連写で。

 そんなもんを形に残さないでほしい。


 ま、こう言うのも、のちに笑い話となり、良い思い出となるのかもね。


 そんなことを考えながら俺はベッドへ横になり、ヘッドセットを被る。


 いつもの起動画面。

 いつものシーケンス。


 暗転が終わり、視界が開ける。


 現実世界と同じくらい身体に馴染んでしまった【OSO】の風景。



「ヒナ、待たせちゃった?」

「もー、遅いですよアキきゅん!」

「ごめんごめん」

「いーえ、許しません。抱っことチュッチュの刑です!」

「ふぎゃー!」


「こんにちはアキさん(くっ……羨ましいです!)」

「アキお嬢さま。ハカセさま率いる先発隊は既にダンジョンへ突入済みでございます」


「あ、ああ、うん。ヒナ、ツナ姉さん、シーナさん。わたしたちも行くよ!」


「はい!」

「お任せあれ」

「粛々と参りましょう」



 今日も俺たちは終わりなき旅に出る。



「アキきゅん、さっきキンさんからメールが来ましたよ。もうすぐ退院できそうだって」


「え。マジで!? 朗報だね!」



 精一杯人生を謳歌するために────



最後までお読みいただき誠にありがとうございました!m(__)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 未完のまま放置ではなく、一応"完結"としたこと。 [気になる点] 終わり方が急すぎる。伏線がほとんどそのままなのが非常に残念です。 [一言] 面白いと思って楽しみにしていました。完結にした…
[一言] 完結お疲れ様です!!
[一言] もっと続くものだと思ってました。完結お疲れ様です
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