友愛
この話を読んでいるということは、僕は今頃何処かを旅しているだろう。僕のことを誰も知らない異国の地において、ひたすら夜と朝の繰り返しを堪能していることだろう。
いつの間にか君の目の前から消えてしまった僕を君はどう思ってるか、考えるのは簡単だった。けれど僕はこうする以外に他なかったのだ。どうか、起こらないで聞いてほしい、僕の心からの告白を。
君は罵るかもしれないが、それも然るべきだと僕は受け入れる。
ただ、この話だけは聞いてほしい。いや、読んでほしい。
とてつもなく長居文ではないから。君だけのための君だけの手紙だから。
拝啓 仲村歩様
僕、柳田洋太は君のことを好きになってしまいました。いつのまにか僕の目には、あなたしか写らなくなっていた。いや、あなたを追っていた。
君は空気のように透明で、太陽の様に僕には見えた。
いつの間にか、僕は欲してしまったんだ。
けれど君には、野中幸宏という旦那がいた。僕は地獄の底に自分から落ちてしまった。相手のいる人を好きになってしまった自分自身が憎くなった。
それでも僕は君を追わずにはいられなかった。
久しぶりにあった君は僕にとって、「救い」であったから。求めずにはいられなかった。
けれど君の相手を見たときから僕は君を奪うという考えは消えた。すばらしい男だったから。
僕の憧れる、そんな男だったから。
敵わないとすぐに理解ができたから。
あなたがあの人といた方が幸せだと感じたから。
いつしか僕は君たちの前から消えようと準備をしていた。この国からできるだけ君たちから離れようと。
僕は直ぐに出た。
けれど、やはり忘れられない、胸が締め付けられる、そんな言葉では言い表せないくらい君のことが欲しいとまだ感じたからこうして君に手紙を送っている
愛してる忘れない
君は最初で最後の求めた人だから。
お友だちだったのにごめんね、歩