第十三話 入学式
大変長らくお待たせしました。
「ーーではこれより、日本国世界第4校SEED学園、入学式を行います。始めに学園長より挨拶です。学園長お願いします」
静かな体育館の中、教頭先生の声がマイク越しに響きわたる。
学園の制服を着た生徒がたくさんいる。
ピンッと張り詰めた空気に、僕は欠伸を必死に押し殺す。
まあ、この緊張感の多い空間では眠気なんてすぐ無くなるけど。
でも、朝早くから騒ぎがあったからやっぱり眠い。何があったかは後で話そうか。
そんな狭間で、うつらうつらしてると右隣の席の女子がトントンと太ももを叩いてきた。ちょっとくすぐったい。
その指先が前に向いてるので僕も目線を動かすと、学園長が演台の後ろに立って話しをしようとする時だった。なんか微妙にこっちを見てる気がする...。
僕はお礼の意味を込めて軽く会釈し、再度視線を学園長に戻す。ちなみに席は名前の順になっていて、右から詰めていって横15、縦21の計315名がいる。
「みなさん、入学おめでとうございます。これから6年間、または3年間、日々精進していきましょう。」
そんな前置きから挨拶を始めていく。
...省略...
学園の長としては多少短めの挨拶が終わった。
礼をしてステージから降りる学園長。
学園長の挨拶の後は滞りなく式が終わり、クラス別で並ぼうか、と入ってきた先輩方に言われてみんなが動き始めたので、僕は右隣の席の子に話しかけた。
「あの、さっきはありがとうございました」
初対面なので敬語で感謝の意を表す。
その子は小麦色の髪をしていて、僕よりも少し背が低く、幼い顔立ちで、僕と同い年だと思う。外見で判断するならゆるふわ系という感じだ。出るところは出てるのがある意味凄い。
「あー、ええんよ別に。私も大事な時に眠いのがたまにあるし、だから気にせんといて。あと、敬語使わんでええよ」
彼女は関西の訛りが混じりながら苦笑しながら言った。
「あ、うん、分かったよ」
僕も口調を崩す。
すると彼女は、
「君もDクラスよね。早よ並びに行こ」
と言って先導しようとする。続けて、
「そう言えば、Sクラスが1人入学したらしいやん。どんな子やろね〜。筋肉凄いんかね?オーラとか出てるんかね?」
そんなことを言った。
「アハハ、ソウデスネー」
思わず片言になってしまう。
ーー言えない!僕がその1人ですなんて言えない!
「どしたん?早よ並ばんと」
その場から動かない僕を不思議に思ったのか心配そうに見てくる。
.....だってDクラスに並んでもしょうがないし、なによりSクラスの場所わかんないし....。
「おーい、燐堂くーん!」
「.....」
ちょっと困ってると声が聞こえた。
振り向くと体育館入り口付近に教頭先生と優雨さんが立っていた。
「え?君のこと?何かやらかした?」
彼女はなんか勘違いして聞いてくるが、僕は「違うけど....行くね。ありがとう!」と言ってから教頭先生達の方へ向かう。
「なになに?もう仲良くなった子いるの?早いね〜燐堂くんは」
「........」
着くと、母親みたいなノリでからかってくる教頭先生。そしてちょっと不機嫌そうな優雨さん。えー?
「違いますよ。もう」
優雨さんの機嫌取りや教頭先生の冗談を交えた会話をしながら、僕達はSクラスへと戻って行く。
コメントあったらお願いします。
学園長の挨拶が短すぎたので変えました。12月17日