第十一話 無くした記憶 4 、知らない記憶 b
第13話です‼︎遅くてすいません...
「咲耶を返しなさい」
母は言う。ここにいるのは咲耶ではないと。
母に近づきながら
「......やだな〜母さん。俺は咲耶だよ」
「とぼけても無駄よ。私の子だもの。それくらい分かるわ」
って言って返された
断言されてるよ。これ。
「じゃあ俺は咲耶じゃないなら何?」
「...【悪者】よ。厄介なほどにね。咲耶の中のもう一つの人格。....だから迷惑なの。咲耶にとって......いいえ、世界にとってあなたは害でしかないの」
俺の問いかけに母はビシビシ厳しい発言をしてくる。
......意外と辛いよ。
咲耶?は心に39のダメージを受けた(ド○クエ風)。
「ふーん。まあいいや。俺は悪、と。それで?その悪者をどうするのさ?」
ちょっと拗ねた感じでそう言う。
俺だってまだ10歳だ。
「もちろん、倒すわ。そして咲耶の中に戻ってもらうわ。.......だけどその前に........」
そう言って船置き場の方を向くと
「皆、早く逃げなさい!島が爆発するわよ!」
俺がアリバーに近づいていたあたりから呆然と事のあらすじを見続けていたらしい船の上の島民たちは、その声にハッとして一斉に戸惑い始める。
「ふ、2人はどうするんですか⁉︎」
一人の男性が聞く。
「そんなことはどうでもいいわ!早く行きなさい!」
その言葉を聞いて船が喧騒ながら一斉に港から出発する。
「咲耶ぁ!咲耶ぁ!」
遠ざかる中、優雨が母親に抑えられながら必死に俺の名前を呼ぶ。
そんなことを無視してジッと母を見つめる。
母はある言葉を言っていなかった。
ーー私達は大丈夫。死なないから。
それを言わずに船を行かせたということは......
「....さあ、闘うわよ。咲耶....いえ、違うわね。...名前は?」
「....名前なんて無いよ。この身体は主人格の咲耶のものだから。呼び方は好きにするといいよ」
船を見送った母から質問がきたため、思考を中断して答えた。
「そう...なら白耶なんてどう?あなたの名前」
「好きにすればって言ったよ。まあ、名前をつけてくれるなら、それに越したことはないけど」
「じゃあ白耶ね。そろそろ行くわよ...!」
母から殺気が伝わる。本気だ。
母は銃に弾を補充すると一気に俺の眼前まで迫ってきた。
そして俺の額に銃を当ててーー発砲。
しかし俺は背中を反ってそれをかわす。
(手加減はしないようだな...)
やはり、息子だからといって手を抜いたりはしてない。
むしろ、息子を早く助けたいから本気になっている気がする。
(そんなに俺が邪魔か...)
何度か母の銃撃をかわしてるとそんな考えが浮かび、イライラしてくる。
いい加減反撃しようかな、と思っているとーー
ーーパァン!...ブシュッ!
「がッ!」
腹に鋭い痛みが奔った。
手を当てれば血がドクドク出てるのがわかる。
今の銃声は母からではなかった。母であればすぐ避けられる。
では誰なのかと後ろを向くと、
父が立っていた。
撃たれた左胸を抑え、母同様に銃を構えた父が。
ーー死んだと思っていた父が。
誤字の報告ありがとうございます。
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