第十話 無くした記憶 3、知らない記憶 a
風邪をひきました。ちょっと執筆が辛かったです。今日が休みで良かった...。皆さんも風邪には気をつけてください。はい。
「.........くや!...咲耶!...咲耶!」
俺のことを呼ぶ幼馴染の声がする。
俺は静かに目を開ける。
「......っ!咲耶‼︎」
俺が目を覚ましたことに気付いた幼馴染は嬉しそうに抱きついてくる。
だが俺は、そいつを引き離して立ち上がる。
「....さく...や?」
幼馴染は不思議そうな声を出す。
しかし俺は気に留めず船の甲盤から飛び降り、地面に着地する。
母とアリバーは既に戦闘を再開していた。
母の表情は悲しみを含んでいたが、覚悟を決めた顔をしていた。
母は苦戦していながら、アリバーは余裕があり、戦況はどちらが有利なのかが一目瞭然だった。
俺は地面に横たわって動いていない父を見やり、戦闘場所に近づいていき、アリバーが放った弾丸、母が確実に避けきれず、なおかつ当たったら命はないであろう一撃を、母に当たる10m前、......そこで横から銃弾を指の間で挟んで止めた。
「何だ⁉︎」
「咲耶⁉︎」
アリバーが驚愕の声を上げる。母も同じような声を出していた。
だが今は母にようは無い。用があるのはアリバーだけだ。
俺はアリバーに顔を向けて
「お前が咲耶を悲しませたんだな」
俺は冷たく言い放つ。常人では耐えられないような殺気を存分に撒き散らせながら。
「ッ⁉︎...おいおい......息子くん...化け物か...?」
「......」
無言で高速とも言える速さでアリバーに詰め寄る。
「......っ⁉︎」
一瞬、俺が喉に向かって突き出した腕をアリバーはギリギリ紙一重でかわす。
俺は腕を戻すとすぐに回し蹴りからの後ろ蹴りをかます。
「ゴフッッ!」
アリバーは6mほど吹っ飛び地面に倒れる。
しかしすぐに起き上がると
「ゴホッゴホ!...この.........ガキがぁぁぁあああ‼︎」
そう叫び、銃弾を俺にぶっ放してきた。
(......避けてもいいが...後ろに母さんがいるしな...)
そう思い、俺は足下にあった石を蹴り上げ銃弾の軌道を逸らした。
少しずれた弾は俺の右頬をかすり、そこからツウと血が垂れてくる。
「無駄なんだよ、アリバー」
「この野郎......っ!」
アリバーは突っ込んでこようとした。
しかし...
「うっ、しまった!」
横から急に爆風が襲ってきた。
アリバーが仕掛けた爆弾が爆発したのだ。
これに驚いたのは俺ではなくアリバーだった。俺という予想外のことで自分の爆弾のことを忘れていたようだ。
煙で視界がうまっても俺はアリバーをしっかり捉えていた。相手は少々戸惑っているようだが。
俺は咲耶を悲しませた奴をとことん苦しませてやろうと思っている。
だからアリバーの眼前まで高速で接近し、その左腕をーー
ーーブチィィィッと引きちぎった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
そんな絶叫と同時に俺の全身に返り血が噴きかかる。
そしてアリバーは一瞬で俺から離れる。俺はちぎり取った腕を捨てる。
「は、ははは。腕やられちゃったか......まあ、大方目的は達成出来たし、良しとするか...」
俺はアリバーに近づこうとしたが、アリバーの足下に魔方陣みたいなものが広がっていた。
「息子くん......ここまで苦戦を強いられたのは初めてだぜ。この島はあと数分で爆発する。...母ちゃんと仲良くあの世に行きな」
アリバーはそう言い残し、発光したかと思うともうそこにはいなかった。逃げたのだろう。
「......チッ。いつか殺す。......なあ、母さん」
俺は遠くで銃を構えている母に声をかけた。
誰に向かって銃を構えてるのか?当然俺だ。
「......あなたは咲耶じゃ無いわね。返しなさい、咲耶を」
その言葉に俺はニヤリ、と笑った。
意味分かんなくても平気です。多分。
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