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俺と糞ゲー  作者: ピウス
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財宝

 ふう、と公園を見つけてほっと息を付く俺。

 工房のおっさんに道を聞いて何とか迷わないで公園にやってきたのだ。


 おっさんの工房から歩いて15分ぐらいのところにあったその公園は割りと広い。

 ところどころに固まってみたこともない木や植物が植えられてて中々良い雰囲気だ。

 大きく息をすると色々な植物のいい香りが鼻をくすぐる。

 うーんマイナスイオンたっぷりな感じだ。

 

 水の流れる音にそちらに目をやると、公園の中央には噴水がありその中央には羽がある女性が手を組んでお祈りしている石像まである。

 このあたりはいかにもな感じだね。


 なんとなく石像がメガネに似ているのが気に入らないが……

 まあ、メガネは石像ほど綺麗じゃなかったから気のせいだろう。


 お昼を少し回った時刻みたいで人影はぽつぽつというところか。

 時計とかないので正確な時間は分からないんだけどね。

 人が多かったらどうしようとか考えてたんだけどひとまずこれぐらいならいけそうだ。

 

 よし、じゃあ財宝を探しますか。

 偉い神様どうかちゃんとここの仕様も忠実に再現していてください。

 と神様に祈りをささげて俺は探索を開始した。


 

 ナプールというゲームは糞ゲーの名に恥じないバグやなんかがあったゲームなんだけど、極めつけにひどかったのはデバッグ用の仕様が削除されてなかったりしたんだよね。

 つまりどういうことかというと……


 うん、この4つ並んだ木かなあ。

 1時間ほどかけて公園の中を歩き倒し、俺はなんとか目的の木だと思われる場所を見つける。

 なんという種類の木かはさっぱりわからないけど、中々立派な木が4本向かい合わせで植わっている場所。


 お昼過ぎで太陽がこっちだから東はこの木かな?

 まあ、違ってたら虱潰しにやるか。


 周りに人がいないことを確認して、東・西・南・北の順番にパチンパチンと手のひらで木の幹を叩いていく。

 北を叩いたら今度は逆周りと……

 

 そして、最後に東の木に触れた瞬間!


 パンパカパーン♪

 ファンファーレと共に4つの木の中央にやたら豪華な宝箱が出現した。


 思わずガッツポーズとかしちゃいました。

 幸いファンファーレの音は誰にも聞かれていない。

 

 おおっ!成功した。

 どうやらこの世界は本気でナプールの世界そのままみたいだ。


 ……とするとあれとかこれとかもそうなんだろうか?

 町で起こるイベントをいくつか思い出しながら思わずニヤニヤと笑ってしまう。

 そうなら俺はこの世界で凄く大きなアドバンテージを手にしてるんじゃないかな?

 

 まあ、それは後回し。

 今は宝箱だな。

 公園の中にぽつんとある場違いな宝箱。

 実にシュールだ。


 罠とかないよね?神様……WIZシリーズのゲームをパクったりしてないよね?


 いきなり爆発してゲームオーバーとか泣くぞ。

 

 うん?

 そういえば死んだら元の世界に戻れるんだろうか?

 いやいや試しませんよ?きっと死ぬほど痛いだろうし。


 とりあえず地面に落ちてた手ごろな棒を拾って

 ツンツン

 ツンツン

 ツンツン

 アラレちゃん思い出した。


 うーん分からん。

 しかしこのままだと人が通りががったらまずいよね。

 【俺の財宝】が横取りされるかもしれないし。

 もしかして公園管理者とかいて、この宝箱が見つかったら本気で困る。

 日本なら発見者と土地の所有者の折半だけど……


 仕方がない怖いけどあけよう。

 決心する。


 恐る恐る宝箱に手をかけ、ゆっくりと力を入れると意外なほど簡単にパカッと宝箱は開きました。

 うっし!罠もないし鍵も無いみたいだ。

 俺は満面の笑みを浮かべて中を覗き込む。


 中身は大判小判がザックザク。


 って、あれ?

 コインが十数枚……

 あれ?なんか少なくね?

 いや、山盛りあっても運ぶの大変なんですけど。


 こんな豪華な宝箱で中身がこれだけとか詐欺にあった気分なんですが……

 うーん、ゲームだと数億のお金が入ってたと思うんだけどなあ。


 とりあえず工房の人に払うお金の足しになるだろうし拾っておくか。

 宝箱に手を入れコインを鷲掴み。

 とその瞬間。


 ブルブルブルブルと凄い勢いでポケットの中のカードが振動する。


「うおっ」

 

 びびった。

 びびりまくった。

 コインを地面にぶちまけてしまったのでとりあえず全部拾ってポケットに突っ込む。

 ついでに震えてたカードを取り出す。


 白紙だったカードの裏側に文字が浮かんでいた。


 


 挑戦者<ケイ>さんが特別イベント<財宝>をクリアーしました。

<ケイ>さんは財宝15億ヘルを手に入れました。

<ケイ>さんは特別イベントを1つ以上クリアーされましたので<究極鑑定>のスキルが付与されます。

 おめでとうございます♪

 なお、特別イベント<財宝>は次回の召集まで凍結されます。


 


 凄いぞこのカード。

 こんな小さくて薄いのにこんな機能もあるのかよ。


 15億ってことは、まさかあのコイン1枚1億ってことか?

 一体材質何なんだろ?

 と思うと同時に脳裏に情報が浮かんでくる。


 


 名称 オリハルコンの古銭

 区分 アイテム


 古の魔道都市の通貨

 現在の技術では鋳造不可

 アイテムではあるが通貨としても使用可能

 額面は1億ヘル


 


 これは手に入れたらしいスキル<究極鑑定>というものの効果なんだろうな。

 不条理だけど便利だわこのスキル。

 ただ、頭の中に情報が浮かぶというのはなんとも変な感じだ。


 しかしいきなり15億とか成金になってしまった。

 もしもダンジョンのモンスターが強すぎても、この世界で遊んで暮らしていけるんじゃないか?

 偉いぞ神様。ありがとう神様。

 古の魔道都市とかありきたりな設定だけどこの大金は本当にありがたい。


 ふっと思いつきダメで元々、圭のステータスと念じてみる。

 おっ、でた。


 

 名前 東雲圭

 職業 冒険者

 レベル 1

 冒険者ランク 6等級の下


 ステータス

 HP 10/10 

 MP 10/10

 筋力 5

 体力 5

 器用 5

 知力 5

 敏捷 5

 精神 5 

 運勢 5


 装備

 右手

 左手

 頭

 胴体 布の服

 足  布の靴

 装飾

 装飾


 スキル

<究極鑑定>・・・見えるすべてが見える

<3次召集者>・・・美しき地母神【ミュー】により異世界より召喚された者

 刀の心得・・・剣道2段の腕前

 第二種免許・・・車ないですけどね

 14歳から大丈夫・・・なにが大丈夫なんだよペド野郎


 


 あの糞メガネ……ミューという名前なのか。

 なにが美しきだ!

 ぶっちゃけそんなでもねーよ。


 てか……さすが糞ゲー。

 スキルの説明がひどいね。

 というよりスキルですらないものが混じってるじゃねーか。

 一番下は公開しちゃいけない情報だろ。


 これから誰かに鑑定されるたびに俺の性癖がばれるのだろうか?

 

 どうか、どうか鑑定がレアなスキルでありますようにと願わずには居られない。

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