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俺と糞ゲー  作者: ピウス
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プロローグ

 ブバッ

 金曜日の深夜。

 お風呂上がりにビールを飲むという至福のときを過ごしていた俺、

 三十路目前の独身貴族東雲 圭( しののめ けい)は、インターネットのお気に入りめぐりをしながら思わず口に含んだビールを噴出した。


 ついに完成!!

 あの名作レトロゲーム【ナプール】がついにオンラインゲームとして復活!


 こんな文字をバナー広告の中に見つけたからだ。


 ナプールは小学生時代の俺が一番やりこんだRPGゲームだったが……

 どう考えても名作じゃねーよ!

 というか糞ゲーだと断言できるね!


 とビールにむせながら突っ込む俺。

 いや、一人暮らしだと独り言が多くなるのよ。


 バランスの悪い戦闘!

 無駄に広いダンジョン!

 糞高いエンカウント率!

 シュールなNPCとの会話!

 おまけにバグのてんこ盛り!


 恐ろしいことにパッケージの中にバグが多くてごめんなさい。

 というディレクターだかプログラマーだかの謝罪の紙が入っていたぞ。


 聞くところによるとクリスマス商戦のためにデバッグもそこそこに見切り発車した結果らしい。

 真偽はいまだ不明。

 だって開発した会社倒産してるんだよね。

 ナプールをなけなしのお小遣いで買った俺からすれば至極当然の報いなんですが。


 なぜ俺がそんな糞ゲーをやりこんだかというと

 ナプールが俺の趣味にあっていたから……ではない。

 

 単に1本ゲームを買ったらそれをクリアーしないと新しいゲームを買わせてもらえなかったからだ。

 

 いやーあの時間は本当に苦行だった。

 ゲームは1日1時間だから下手すると糞高いエンカウント率のせいで、ダンジョンの途中で時間切れ。

 血も涙もないお袋にリセットボタンを押されたりしたしなあ。

 あの時は本気で泣いた。


 クリアー出来たのもお袋と親父が2泊3日の旅行に行ったからだ。

 これ幸いと2日がかりで無駄に広くて鬼のようなエンカウント率のラストダンジョン突破したんだよな。


 思い出したら腹が立ってきた。


 しかしあの糞ゲーをオンラインにするとはどんなセンスなんだろ?

 わざわざ版権を買って作ったんだろうか?

 もしくは版権を持ってる会社が再利用したのか?


 興味がわいたので怖いものみたさで広告をクリック。

 どうせ暇だし。


 画面が切り替わり画面の中になつかしのナプールのオープニング画面と無料登録はこちらという文字。


 へー、オープニング画面の再現率高いねー。

 しばし画面を見てナプールの思い出に浸る。


 ムカッ

 あっ、だめだ腹が立つばかりで特に楽しい思い出とかないや。


 まあ話の種だ。

 どんな風にナプールを再現したのかみてみよう。

 というか忠実に再現しちゃあ糞ゲー確定だろうけど……さすがに手直しはしてるだろう。


 出来がよければしばらく遊んでもいいな。

 攻略サイトとか糞ゲー過ぎてなかったからクリアーした俺はかなり有利だと思うし。

 と、よせばいいのに無料登録をクリックする俺。

 定番の契約規則みたいな画面になる。


 半分冷やかしなんで読まないで承諾をクリック。


 するとその瞬間、軽い立ちくらみのよな感覚に襲われる。

 そして俺の意識はふっとブラックアウトするのだった。


 あっ飲みすぎたなー。

 などとのんきなことを思いながら……

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