第6話 婚約を迫るナルシスト従兄弟がしつこすぎる…
晩餐会が終わりお客様たちを見送っていると、
「兄上、皇帝であられるような御方が約束を忘れるなどないでしょうね?」
あのブリシオ叔父様がやってきた。
「かぐやの婚約に関する話だろう。覚えている。クーラ、かぐやを頼む。先に寝かせておいてくれ」
「お父様、私の婚約に関する話なのでしょう?なら私も参加したいです!」
いつの間にかあのクズと婚約することが決められてたら嫌だよ!
「そうですよ、叔父上。あの時は叔父上が暴れたから破談になっただけで、かぐや姫殿下はきっとこのボクと結婚したいと思っているはずです」
そんなわけあるかー!こいつの顔をボコボコに殴りたい。どっからその自信は出てくるんだよ。
「そ、そうなのか?かぐや」
「あなた、とりあえず別室に移動しましょう。そこで話し合った方がいいわ。ずっとたっているのも疲れてしまうのだし。クーラ、あなたは帰ってもいいわ。キリグのことを祝ってあげなさい」
「ありがとうございます」
その会話を見ていたエミールがまたに口を開く
「やはり、ただの召使ではありませんか。公爵夫人の名が泣きましょう。母上は屋敷で優雅にすごし、社交の場で情報を集める。それこそ公爵家のものがすべきことではございませんか?」
ばあやは表情を変えずに淡々と答える。
「エミール公爵子息、それは間違っています。社交を行うのは妻や娘の仕事だというのは事実です。ですが侯爵以上の貴族にはそれを含め、「皇族の側近」をいう義務がございます。それの義務を果たしていないのがあなたの両親というだけですよ」
ずっとブリシオ公爵家は公爵家の義務を果たさずにいた。しかもろくに仕事もしない。他の貴族から位を落とすべきだという声が出てもおかしくない。それを押さえつけていたのは「皇帝の弟」という血筋だけ。
「クーラの言う通りね。侯爵及び公爵は主な仕事が側近としての動きよ。それを行わないブリシオ公爵家にはかなり不満の声が上がっている。それがわかった上でまだ何か言いたいことはあるかしら?」
遠回しに自分達は恩情を与えられていると遠回しに言われたミーカ叔母様は慌ててエミールを引き戻した。
気まずい…。シーンとしていてとても居心地が悪い。
「あの…、僕はどうしたらいいんでしょう?」
静かすぎる空気を打ち破ったのはキリグだった。
「えっ?なんで、まだいるの?お父さんと帰ってなかったの?」
「父さんから母さんと帰れって言われたんだよ。にしてもお前また変なのに絡まれてるな」
「しょうがないよ。ブリってね、一度餌を見つけると執念深く追いかけるんだよ。自分の方が立場が悪いって思うまで追いかけ続けるらしいから」
「そんなことよく知ってるな。だけど、ブリシオ公爵閣下の前で「ブリ」の話をして大丈夫なのか?」
確かに。でも言ちゃったものは取り消せないんだからしょうがないよ
「ではアナッサ様、帰らせていただきます。キリグ、行きましょう」
お母様がうなずいてキリグに向かって
「明日、城に来なさい。ちょっとお話がしたいのよ、かぐやと一緒にね」
といった。
お話って嫌な予感しかしないよ!多分あれだろうな…。「アニメ宣言」について。詳細を求められるのか、ダメと言われるのか。どちらにしろ続ける気満々だから、関係ない!
「わかりました」
少し青ざめながらキリグはうなずいて帰って行った。なんとなく察したっぽい。
「では部屋をうつしましょうか」
皆がお父様とお母様について行って小会議室に着いた。ここは公爵家の当主5人とお父様が会議を行う場所。入れる人数も多くはない。防音性もバッチリだから密談には最高ってわけ。
「ミーカとエミールに質問があったのだったな。まずミーカからだ。申してみよ」
「あら、お義兄様、先ほどの晩餐会で私は言いましたわ!なぜ私の可愛いエミールが無視されねばなりませんの?ありえませんわ!」
ありえないのはそっちだよ。気持ち悪い。こんな母親だから子供があんなふうに育つんだよ。
「かぐや、無視したのか?」
「してません。ばあや、いえクーラから呼ばれておりましたの。立場を優先するのであれば、公爵子息よりも私の乳母で公爵夫人であるクーラを優先すべきでしょう?私は当たり前のことをしただけです」
「確かにそうね。仕事をしない公爵家であれば当主であってもクーラの方が立場的には上ね」
お母様も肯定する。
「ですが父上は皇帝の弟で母上は異母妹です!」
「あら、それは両親が禁忌を破ったことを肯定するのと同じです。母が違うとはいえ兄弟で結婚するなど忌まわしき行為なのですから」
本当にそう。父と母が兄弟で結婚しているのを自信満々に話すとかおかしい。お母様はまだ続ける。
「そのような忌まわしき行為を行ったものは一族もろとも滅ぼすのが当たり前なのですよ」
お母様も、公爵家の出身だった。でも私のお祖父様、つまり初代皇帝がこの国を作る前の王家の末裔でもある。公爵に身分を落とし法の管理を行う仕事を任されている家に生まれたお母様以上に方に詳しい人は少ない。
「それはただの法です!ボクはかぐや姫殿下の気持ちが聞きたい。ボクのように素晴らしい血筋でないと姫は釣り合わないはずだ!」
何を言ってるの?犯罪に近しい行為を行った人の息子は釣り合わないってお母様入ってるのに。もう、全部ぶちまけてもいいよね?
「あなたの頭の中は空っぽなのですか?私は礼儀のなっていない人と結婚することはないと言いませんでしたか?あなたの両親は禁忌を破るつまり法をやぶったのです。犯罪者の息子と姫であり、法を司る者と皇帝の間に生まれた私が釣り合うわけありません。大前提として私はあなたに全く好意を抱いていません。どちらかというと関わりたくありません」
「かぐや、言い過ぎよ」
エミールは呆然としていてミーカ叔母様は
「私たちが犯罪者ですって?」
と憤っている。ブリシオ叔父様だけがまだ笑みを保っている。
「だそうだ、エミール。諦めなさい。だが、兄上。まさかとは思うがかぐや姫殿下を後継者にとは思っていないだろう?」
「そのまさかだ。かぐやには素質がある。それは今日の演説で明らかになった。そなたもそう思わぬか?」
すると一気に悔しそうになるブリシオ叔父様。何があったんだろう?ていうか私の演説ってあれだよね。アニメ改革宣言ってそんなにヤバかったの?
「かぐやは部屋に戻って寝なさい。もう遅い時間だ」
「はーい。おやすみなさい、お父様、お母様」
明日はどうなるのかな?
アニメ改革、どうなるんでしょう?次回:お母さまからの呼び出しです。




