第4話 ナルシスト従兄弟が現れた!
初めから来たんだ。ふうん。振り返ると爽やかな金髪翠眼の高身長男子がいた。私の従兄弟で私が成人を迎えるまで第一皇位継承者だった「エミール」。
「きゃあ!エミール様よ。なんて素敵なのかしら」
「本当に、エミール様にふさわしいのはそれこそかぐや姫殿下のような立ち位置の方でなければ釣り合いませんわ」
「かぐや姫殿下の隣にいる方をご覧になって。一般的な容姿だと思いませんこと?」
その甘〜いマスクで女の子たちを魅了する女好き。私が大嫌いなタイプだ。「嫌いな人にはとびっきりの笑顔を見せるのよ」とお母様には教わった。だから
「あら?ごきげんよう。エミール様。何かございまして?」
フン、その気持ち悪い笑顔で話しかけてくんな!こっちはキリグと話してんだよ。
「いや、なに。ボクはキミとボクの婚約の話はどうなるかと危惧しているんだよ。キミだってこのボクのような正当な血統のボクと結婚した方が将来的にいいのではと考えてね」
はぁ?ふざけなよ。誰がお前なんぞと結婚したいんじゃ!まず正当な血統って何?お前の親は異母兄妹でしょ?ちょっと気持ち悪いんですけど。しかも恋愛婚で…
「そのお話は流れたと思いますけれど?断られた婚約をしつこく迫る男性は好まれませんわよ?私新しいアニメに関してキリグと話しておりましたの。まさか会話に割り込むような浅ましい真似はなさいませんわよね?」
このナルシストは本当に嫌い。こいつの父親も酷いけど。
「いやいや、前回の答えは叔父上が大暴れしたから破談になっただけだよ。キミの返事は聞いてないからね」
「あら、こんな公的な場所で皇帝をおじさまなどと呼ぶなどありえませんわ。私、礼儀がなっていない方を婚約者にするつもりなど微塵もございません。」
明らかな拒絶。周りのご令嬢たちの視線も痛い。なのになんでコイツはまだあの気持ち悪い微笑みを浮かべてんの?!
「そんな照れ隠しはいらないよ。こんなやつよりもボクと話した方が楽しいだろう?」
アホなの?バカなの?耳ついてる?それとも頭の中がすっからかん?全部?大体キリグをこんなやつ呼ばわりするやつと仲良くするわけねーだろ!
「申し遅れました。エミール公爵子息、トリスタン公爵が息子、キリグでございます。以後お見知り置きを。かぐや姫殿下、母が先ほど呼んでおりました。向かいましょう」
皇弟一家は公爵になっている。そしてキリグも同じ公爵。同じ公爵家の息子同士だから年齢は違うものの立場的には同じだから、文句を言えなくなる。ましてや公爵夫人であるばあや、クーラが呼んでいたとなると流石に無理に呼び止めることはしないハズ…
「たかが公爵夫人の呼び出しになど応じる必要などない。叔母上の親友でしかないのだろう?ボクはもっとキミと話したいよ、かぐや」
キモい、キモすぎ。なにこれ?どう育てたらこれになるの?そういやし小学校にも中学にですらいたなこんなやつ。結婚とか一番考えたくないわ。
「たかが公爵夫人と言ってもば、クーラは私の乳母で、公爵子息でしかないあなたよりも立場が上の相手です。それすらもお勉強なさってないのですか?エミール様。貴族の常識です。そして立場を、血筋を振りかざすなど統治者としてありえません。ではごきげんよう」
はぁ、後でお父様に相談しよう
「ねえ、キリグ。さっきのは本当?」
もしばあやに呼ばれてたなら怒られる気がする。別に悪いことをしてたってわけじゃないよ!ただ、ほらあの演説で注意されるかと思って…
「よくやりましたね、姫様!あのブリシオ公爵閣下が焦っておられましたよ。あのような演説自体は打ち合わせなしにするのは良くありませんが。」
ブリシオ公爵は私の叔父でお父様の弟。つまりあのナルシストの父親。あの太って余裕ぶってる人が焦ってったってどう言うこと?
「ごめんなさい、ばあや。みんなを驚かせたかったの。それよりブリシオ侯爵が焦っていたって?何に?」
私は最初、ブリシオ叔父様を「鰤塩叔父様」って脳内変換しちゃって、初対面の時には
「名前通りだ。油が乗った鰤の塩焼きみたい…」
なんて言ったから目の敵にされてるのが現状なんだよね。
当たり前だけど。
「それより母さん、僕たちの席ってどこ?さっきのエミールと隣とかイヤだよ。さっき、かぐやと婚約とかほざいてたし…」
そうだよね、結婚するなら好きな人と出ないと。
「安心しなさい。姫様もキリグもエミール公爵子息とは隣ではありませんよ。早めに抑えなければならなかったのはキリグの方みたいね」
よかった、あんなやつと食事とかありえないどころか死んだ方が絶対マシ。て言うかばあやなんて言ってたの?聞こえなかったよ。
「キリグはお父様を探しなさい。姫様、ご案内しますね」
えー、キリグだけお父さん探すの?ばあやもたまにはゆっくりしてくれてもいいのに…
「ねえ、ばあや。私も自分でお父様を探すわ。たまにはゆっくり家族と過ごして欲しいのだけど…」
「いけませんよ。姫様は姫でアナッサ様や陛下には怒られてしまうかもしれませんが娘のような存在ですからね。ここは危険ですよ」
一瞬、あいつの顔がよぎった。危険ならばあやにはキリグは見てほしい。でも私が姫だから無理なんだろうな。
「わかったわ。」
まだ晩餐会始まってもないのに疲れたよ。ご飯食べるだけで終わったらいいな…
最後になんかフラグを立てたかぐやと名前のインパクトが激強なブリシオ叔父さん。普通にパソコンで変換するとぶり塩になります。




