第3話 成人式でアニメ改革を宣言する!
「あの、お母様?一度その辺でおやめになられては?お父様、魂抜けていますよ。キリグは楽しそうでけれど」
「服だけでこんなに印象が変わるのですね。なるほど。とっても面白かったです!勉強になります!アナッサ様!」
なんでそんなに楽しいかよくわかんない。ごめんねキリグ
「あら、うちの夫よりも素直でいい子じゃない。かぐや、早めに押さえておかなければすぐに奪われるわよ?」
どういうこと?いまいち理解できな…。なんでキリグ顔真っ赤なの?ばあやがそんなに頷くようなことだったの?え、え何が起こってるの?
「アナッサ様そろそろお夕食のお時間です。一度お部屋に戻らなくてはならないのでは?」
「ふふ、そうね、クーラ。キリグくん、ごきげんよう。かぐやはまた後でね」
なんか含みを持ったお母様の笑顔が怖いよ。
その後の夕食中も終始笑顔でお父様もビビっていた。お風呂に入ったらすぐにベットに放り込まれたし、何か聞くの忘れてたな。
***
今日は成人式。当たり前のように事前に作っていたドレスを着てお父様はしょげていた。でもさすが皇帝。壇上に立つと堂々と始りの挨拶を始めた。
「今から第1028回成人式を始める。新成人はここへ。我がルナポリスに集いし五人の若人たちよ。そなたらは今宵を境に成人者となった。それぞれが目指す職の見習いとなりそれぞれの仕事を学んでゆくが良い。では新成人式代表挨拶を我が娘、かぐやに任せよう。」
この新成人代表挨拶はその年で一番高位の新成人がやる。卒業式の言葉って言ったらわかりやすと思う。
「帝国第一皇女かぐやでございます。私たちは家族に支えられここまで成長することができました。ありがとうございます。ここから見習い期間を経て私たちは立派な大人になってみせます!」
立派な大人というのは師匠や上司、親から認められるということになる。それまではずっと見習い扱いで親のところで寄生虫しなければならない。まあ私は姫だからずっとそうだけどね!
「成人するにあたり私は国民に、家族に、皆にあることを宣言いたします!」
うふふ、驚いてる、驚いてる。キリグと二人で考えたんだもん。お母様にもばあやにもお父様にももちろん言わなかった。
「私はアニメ改革を行います!」
アニメ改革、それは…
「私の中にはさまざまな(前世の)アニメのアイデアがございます。それらは今現在この帝国にあるアニメとして考えられているものとは「勇者が魔王を倒す」というもの。私はその常識を取っ払い、なんの偏見も持たず、さまざまなジャンルやアイデアのアニメに強く投資して行きたいと考えているのです!」
現在のムーンスマートにはアニメ制作アプリがある。絵の上手い下手は関係ない。もちろん服のセンスとかはかなり大事だけど。
…てことはお母様の昨日のレッスンって大事なんだな。
「なるほど、かぐやは新しいアニメが好きなのか」
センスがない人がなんか言ってるよ!お父様のアニメなんて絶対見れるものなわけがない!お母様なんとかしてね。
「手始めに私の思うアニメを作ることができる人を選ばせていただきます。アニメを作るのが好きな方、私のように人生をアニメに捧げたい方、センスがいい方全員大歓迎です!個性的なアニメを作って見せてください!期限は来月の成人式まで、合格者は私が気に行った人。合格発表はムーンメールで送ります。以上です!」
いきなりの「アニメ改革」でざわついていた国民は次の皇帝の言葉で静まる。
「素晴らしい演説をありがとう!次は銀華丸の授与である。」
銀華丸。
それは…ものすごくまずいらしい。
「すでに成人しているものは覚えているだろうか。あの凄まじい味を!次は彼らが味わうばんだ!」
ものすごい歓声と共に一人一粒銀色の飴玉をもらった。
「口に含むが良い」
飴細工みたいに溶けたけど
「まずっ!」
「何これ?」
「地獄の味を体験したかのようだ…」
「水、水をくれ!」
みんな涙を浮かべている。かくいう私も不味すぎて死にそうだよ!こんなもん食わせんな!腐ってるみたいな、辛いというか普通に苦い。しばらく何食べてもこの味がしそうだよ!
観客は全員笑ってる。これをみるために集まるってわけね。ものすごく趣味悪い。考えたのどこの誰だよ!
「無事に試練を乗り越えたものにムーンスマートを授与する。」
ついにムーンスマートゲットだぜ!
「ではかぐやからならべ。」
初めてのムーンスマート。スマホみたいだけど薄くて軽い。
電源ボタンを押してみるとパッと明かりがつく。地球のスマホは眩しくて使い続けると目が痛くなるけれど、これは明かりが優しいからそんなふうになることはない。
「うふふ、自分のムーンスマートだ!嬉しい!これでやっとアニメが作れる!」
はぁ。長かった…。3ヶ月、3ヶ月も待ってやっと手に入れることができた。
「うわぁ、気持ち悪い顔してるぞ、お前。」
うるさいね。女の子に対してそんなこと言うもんじゃないよ!
「それだけ楽しみにしていたということよ!あなたにも話したでしょう?「魔王を倒した後の勇者パーティー」のアニメとか「魔王になりあがる」とか話たでしょう?」
そう、キリグは私の前世を知っている。だからアニメ作りに協力してもらうことに決めたの。もちろんお願いするのはこれからだけどね。
「ああ、再現するんだろ?アニメもいいけど、晩餐会はまだなのか?腹減った」
「アニメがどうでもいいことなんてないわ!三度の飯よりアニメの方が大事に決まってるでしょ!」
「それは餓死するぞ」
むー、冷静にツッコミ入れないでよ。
「言葉の綾ってやつなのに…」
「そういやお前ムーンスマートいじらないんだな。てっきりもらってからずっといじるかと思ってたんだけど。」
ああ、そのことね。
「お母様とばあやに成人式と晩餐会中に触っているのをみたら明日から1週間触らせないって言われて…」
「なるほどな。つまりそう言われなかったら触ってたってことか」
「もちろん!だってそうしない理由もないでしょ?」
そんな会話をしていると執事のシモンがお父様に近付く。
「晩餐会の会場が整ったようだ。城に向かおうか!」
晩餐会か。嫌だな〜。だってそこには…
「やあ、かぐや姫殿下。久しぶりだね。」
スマホってついつい触ってしまいますよね。私も何度怒られたことか…




