第14話 絵師クエルポ視点〜周りの思惑と唯一の希望の光〜
私は絵師クエルポだ。最近、比較的人気が出ていて多くのアニメイラストを手がけた。私はアニメ文化を上手く使えば経済をうまく回せるのでは?と考えた。結果がこれである。イラストを描くと目に何度も何度も流して一語一句が頭に入っている皇女の言葉。
『かったよ。えっとね背は低めで150cmくらい?で瞳は透明感のある緑みの青で髪は白髪か銀髪をツインテールにしてる。耳が長くて尖っていて赤い雫型のイヤリングをつけていて肌は抜けるように白い。服装は白地に金の縁取りのケープに…』
延々とつづくまるで偉い人が喋り続けるやつだ。何と言ったか・・・。そう、地獄の朝会での校長先生の語りだ。私には記憶していない記憶がある。不思議なものだ。それを活かしたイラストで皇女にまで依頼されるようになったのだから感謝しなければ。
チリン!
通知音がなる。確認するとキリグからだ。
『皇女姫殿下は喉が使えぬ代わりに筆談を行なっていたのですが手を晴らす恐れがあったためやめさせました。母が。喉が治るまでアニメ制作は禁止とのことでしたのでしばらく進展はありません』
これで本当に皇女なのか?いや、このキリグ、おそらくはトリスタン公爵の息子だろう。皇女と仲がいいようだからな。父上が毛嫌いしていた。皇帝が溺愛している皇女の名前を騙る馬鹿者などいるわけがない。つまりいくら後先見ぬ行動をしていても皇女なのだ。そして手伝っているのは公爵家の令息。・・・壮大な話だ。
しかし、何も考えずアニメのために全力をかけるような人物がいるとは。この目には視えていないだけで傾き始めている帝国を戻す方法はこの方しかないのかもしれない。父上は本当に盲目した。現状が何も視えていない。これからどうするべきか。
皇女から依頼を受けているとバレれば父上に勘当されるであろうな。
早いとこ正体をバラし皇帝の協力を取り付けろか?はあ、周りの考えが全くわからぬ。クソ!とりあえず今回の依頼を満足していただけるように達成してから考えよう。
「抜けるように白い肌、か・・・。どれだけ難しいか理解しているのか?!全く。これだから生まれながらの権力者は…」
自分は比較的いい家出身であると思う。けれど自分は「権力者」ではない。家督を継ぐことができても実権は全て父のもの。自分などただのお飾りだ。ものすごくよく理解できた。
「光かたを変えて、白と黄色の比率を99:1にしてその上から白のミストで表現して…」
政治的に見ればこれは大きな一歩となる大切な希望だがこれはキツすぎるぞ!クッ、唯一の救いは仲間がいることか・・・。キリグも苦労してそうだ。
あの3時間以上にわたる録音は現場におらずとも聴くに耐えなかった。実際聞いていたのだから大したモノだ。一度全員と顔を突き合わせて皇女の暴走ぶりについて協議したい!皇女であると言うのは有効に働くがもう少し抑えることが
できる者を増やしてくれ!
抑えることができるのは、皇帝か?…ないな。あの人は親バカだ。娘を溺愛している。どうせ全部肯定するだろう。皇后様か?抑えることはできるが居合わせることが少なそうだ。ただでさえ暴走する夫を抑えるのに苦労されているのだから。
公爵夫人…!クーラ公爵夫人なら抑えることができるかもしれない!キリグからのメールにも筆談でも語り続ける皇女を止めたとあるのだし。これは・・・!これこそ本当の希望の光だ!
是非とも頑張ってくれ、公爵夫人!できる限りこちらの家の執務を滞らせて動きを遅くするから!頼む、抑えてくれ!
心からの切実な願いだ。はあ、もしかして皇女殿下を止めるのって暴走する父上を止めるよりも難しい?いや、そんなことはないはずだ。あの父上は思想が偏りすぎている。皇女姫殿下はどちらかというと文化を作るために頑張っていらっしゃるだけだ。
しかし、いつになればこの世界は平和となるのだろう。キリグは話せばわかってくれそうだが警戒されるかもしれん。下手に動けば父上に関係をうまく利用される。
大体キャラクターの絵を色塗りでなく描くところから分担するなど非常識だ!もう少し暴走を抑えると言うことを覚えてくれぬのか、私の周囲は!
私には関係ないところで暴走し私まで面倒を被ることになる!父上など家名を名乗り面倒ごとを引き起こす。これほど面倒なことはないぞ!こちらのことを考えろ!
私の仕事はただただ、我々静かなる女帝派の唯一の希望の光である皇女かぐや様をお守りすることのみ。そのようにおあの方から仰せつかっている。
それがこの私現リュクシュール公爵エポック・リュクシュールの使命なのである。
ハイ、クエルポさん、まさかのリュクシュール公爵だった…。
次回は主人公視点だと思います!




