07 本番前
しばらくして、代理戦の当日。
チームのメンバーは代理戦の戦場になる惑星に前乗りする。
遅刻するわけにもいかないからだ。
指定された場所に簡易ベースがあり、作業員が忙しなく準備にいそしんでいた。
簡易ベースには、万が一にも代理戦の余波を受けない為に防御設備を設置している。
勿論、代理戦で使用する機体も同じだ。
機体の重力下仕様に改修、確認もされている。
パイロットたちに至っては、
連携のシュミレータ戦をこなし体調を万全にしていた。
今回の目的地である惑星ハミルド。
北側勢力圏内にある無人の惑星。
今回の代理戦の会場となる場所である。
場所も西勢力圏に近い場所にあり、代理戦争協定違反にならない位置にある。
この惑星は、まだ開発途中なため
赤道にそれぞれ惑星を四等分するように軌道エレベータが作られ、
軌道エレベータの宇宙側衛星をつなぐようにリングを作られていた。
その惑星は、まだ開発が途中なため、安全確保をする軍隊が常駐している。
その惑星の軍基地の傍が代理戦の戦場となる。
戦場は、海岸線の傍にある砂漠地帯。
範囲には、軍基地も含まれていた。
ノブテル・ミズマは、それを見て
「これは、確実に軍の横やりが入るだろ」
と、ジト目で軍基地を眺めていた。
「それが向こうの考えでしょ。
もう勝ち戦のつもりだろうし…」
ノムイッカ・ラシタをヤレヤレをしたジェスチャーをして見せた。
「でも、これで勝てれば、向こうは文句言いようがないのよね」
ジャスタ・ホワイトが、気合を入れた顔で軍基地を睨みつける。
「そうだ、ここまで優位な状況で…多分ズルい事もしてくるだろう。
その上で負けたとなれば言い訳出来ないだろう」
「やっぱ罠とか仕掛けとかあんのかね」
ノムイッカ・ラシタが周囲を見渡して言うと
「あるだろうな、確実に」
確信したように断言して見せた。
もう決定だ、確信犯だと言わんばかりの言い方である。
盛大にため息を付いて
「ホント嫌になる。身内にバカがいると」
ジャスタ・ホワイトがあきれ顔になっていた。
「仕方ないだろ、決まったことだし、後は向こうさんの出方次第だ」
「でも、ホントにいいの?
今回の代理戦、私が司令塔として統括指示を出すってことで」
「良いぜ、お前さんの立ち位置からすれば打倒だろ。
それにオレには役割があるからな、そこまで出来ん。
だからこそできるヤツに任せる。
何、全て押し付けるつもりはないよ。
あくまでも適材適所、分割管理ってところだ」
「まったく、アンタってそういうとこあるわよね。
面倒事を見事に振り分けて見せたりするくせに…自分勝手な所もある。
敵の回したくないわ、ホント」
と、呆れ気味応対してくるが、納得もしているようだ。
仕方ないと割り切っているようにも見える。
「そう言うなよ、これでもきちんと打ち合わせした上での判断だ。
頼むぜ、司令官どの」
その言葉にわざとらしく嘆息して、
「ホント、あの局長もそうだけどあんたもクセ者だわ。
他の四人も納得してるみたいだし…断れないようにしてくるあたり…」
と、ジト目で彼を見てくる。
視線を我関せずと受け流すノブテル・ミズマは、
「まっ、埋め合わせはするよ。
今回はオマエさん適任なのは自分でもわかってるだろ。
それにもう勝ったつもりの向こうさんの上げ足を掬えるしな」
と、言うと諦めたようにうなだれ
「そうね、それは同感よ。
ここまで不利な条件になってるとは思わなかったけど…
なめてきた以上その代償はきちんともらうわ」
と、先ほどとは違い、目が鋭くなっていた。
今回の代理戦…彼女にも思うところがあり、腹に据えかねていたようだ。
他の三人も同様でノブテル・ミズマたちがこの話をすると憤りを隠せないでいた。
だからこその結束でもある。
共通の敵が出来れば人は結束しやすい。
単純であるが効果的な手法だ。
彼女も乗せられている事は理解していたが、
それ以上にこの状況を作り出した北側勢力に憤りを感じており
やり返してやりたいと思っていた。
なので敢えてこの話に乗ったのだ。
それに他のメンバーを手足のように使えるのも楽しそうだと感じたのもある。
「さて、では司令官殿。
準備に向かいますので失礼しますね」
とまるで執事の様な礼をしてその場を去るノブテル・ミズマを見ながら
まんざらでもない顔を見せていたジャスタ・ホワイトに
「かわいい顔しちゃって、告るなら早めにしなよ。
オレから見てもいい奴だと思うし、
地元に戻ればさらに競争相手が増えるかもしれん。
近くにライバルはいるだろ。
そばにいないんだから今ならチャンスだよ」
と、ノムイッカ・ラシタがからかう。
「なっ、何を言い出すのよ。
私は歌姫よ、それに吊り合う人じゃないといけないわ」
「それは、答えになってないよ。
吊り合いがとれるかどうかは、その人の立場や外見じゃないだろ。
ジャスタちゃんと波長が合うかだと思うけど…」
「いいから、アンタも準備しに行く!
ノブテルとアンタが要なんだからね」
と、ノムイッカ・ラシタを追い立てる。
「へいへい、行きますよ」
と、言いながらおっとりがたなで立ち上がり、その場を後にする。
その姿を見て、小さく嘆息して
「勘弁してよ、私そんなにわかりやすいの?」
と、自分の顔に手を当て悩んでいた。
開戦は目前である。
絶賛妄想街道爆走中の妄想族(古い古すぎる)のオッサンです。
誤字脱字、感想など、どんとこいです。
まあ、単純に自分では見えないところを見つけてほしい、
ってのが本音ですけどね




