06 打合せ
ミーティングルームを出た後、ノムイッカ・ラシタは
ノブテル・ミズマに近づき
「何であんなこと言ったんだよ。
何かびっくりしたぞ、オマエはああいう事言うタイプじゃないだろ」
「まずいと思ったからだ」
「まずい?」
ノムイッカ・ラシタに疑問が浮かぶ。
何がまずいのか理解できなかったからだ。
「いいか。今回の件で勝とうが負けようが、
オレたちは急な依頼を受けたという事実だけが残る。
これが前例になってまた同じような案件が回ってくる可能性がある。
だから、受ける事は出来るが条件付きになると思わせておく必要がある」
「今回は金で済ませてやるが、
次は簡単には受けない…みたいなことか?」
思案しながら答えると
「そうだ、馬鹿は何処にでいる。
今回は、特大のバカが余計な事をしてくれたおかげでやる羽目になったが、
次が来ることもあるかもしれない。
甘い考え方をする人間は、どこにでもいるからな。
しかも、自分たちにとって甘い考え方をすぐするからな。
だからこそ、釘をさす意味でも必要だと思った」
淡々と答えるノブテル・ミズマに
いたずらっ子の様な顔で
「まるで経験したことがあるみたいないいぶんだな」
言うと
「その通りだ。簡単に引き受けすぎるとその後は悲惨だったよ。
当たり前のように成果は奪われ、責任は押し付けられる。
周囲は全て敵に変わり、孤立する。
いい人だけではやっていけないのが現実だ」
「なるほね、だからそのひねくれっぷりか…
分からんでもないね。
その手の事はオレもあった。だからかね、周囲を巻き込むようにしたのは」
ニカッと笑う。
「まあ、それに臨時収入くらいあってもいいだろ。
今回の代理戦は無茶ぶりもいいとこだろうしな」
ヤレヤレといった顔になるノブテル・ミズマに
「そうだな、都合のいい考え方してくるヤツは多いものな。
面倒事が増えれば続けるようにならない為にはそうなるか。
やりすぎる、前に言わさない状況を作る為の請求というわけだ」
そういいながら肩を組む。
「なんだ、重いぞ」
露骨に嫌な顔をして抵抗すると
「良いだろ。お人よしのひねくれモン。
素直じゃないくせにやさしさ振りまいてるからだ」
「オレは優しくない」
「いいや、優しいね。特大で」
と、言い合いをしながら廊下を歩く彼らを後ろから見送りながら
ソプラ・バリトンは、並び立つ上司に
「良いんですか?臨時収入の件知りませよ」
苦言を言う。
それを横目で見てテノール・フォム・バースピリは、
「良いんだよ、今回はそれで。
むしろ、オレから言い出そうと思ったことだから」
その言葉に目を丸くする。
「何でです、上層部からにらまれますよ」
ジト目を返すと
「いいかい、今回の面倒事は明らかに上層部のミスだ。
こっちが肩代わりする必要もない。
でも、押し付けられた。
肩代わりする以上、同じことが起きないように何か手段を講じておかないと
また、やってくるからね」
「それが起きないようにするための布石ですか」
感心するように言うと
「そうだ、人間って言うのは自分たちは正しくて、
相手が悪いと思うことが基本みたいな生き物だからね。
それに相手の善意を当たり前になれば、こんな問題案件が連続で来ることになる。
それを防ぐためにどこかで歯止めをかける必要がある」
「それが今だと…」
感心するように見る。
普段なにを考えているかわからないだけに
こういう時の意見はすごいとすら感じてしまったのだ。
「そうだよ、今回ほど無理な条件はそうないからね。
それにさ、人は有難みになれるんだよ、すぐに当たり前だろなんて言い始める。
その当たり前がどれだけの人の手で
どれだけの労力の上に出来ているかも知ろうともしない。
だから、災害や事故なんか起きると何もできないくせに文句が多いんだよ。
今回の件もそうだ。
あの資源群は、重要案件ではある。
それを問題山積みで丸投げしてくるんだ。
臨時収入をねだっても問題ないだろう。
むしろ解決できれば莫大な利益が出る案件だ。
大丈夫だろう。
それに上層部は、金で済ませてくれるのかとむしろ安心するだろうよ」
「そういうものですか?」
「化かし合いとは、そういうものだよ」
と、優しい顔で彼らを見送る上司の言葉に
それ以上の追及はできなくなった。
腑に落ちない所もあるが、一応チームのメンバーが納得してくれているので
これ以上の波風は起こしたくないと思ったのだ。
ただでさえ不満がでまくりの案件である。
話が問題なく進むのであればそれに越したことはない。
そう自分に言い聞かせていた。
絶賛妄想街道爆走中の妄想族(古い古すぎる)のオッサンです。
誤字脱字、感想など、どんとこいです。
まあ、単純に自分では見えないところを見つけてほしい、
ってのが本音ですけどね




