53 [神の名の元に]
人は知識や経験により、広い地図から抜け道や見えない道を探し出せるが、
AIは、表示された地図情報を元に最適な道を選びだす。
見つけ出す人と選び出すAI。
人が突発的に起こす行動にAIは対処ができない。
AIは、あくまでも情報をピッキングしているに過ぎない。
情報が無ければ、ピッキングも出来ないのだ。
その為、対人戦に向かない。ルールという枠組みが無ければ。
相手の小型移動砲台もその枠組みからは逃れることはできない。
南側最新機:ネオリアは、人の不足をAIが補い、AIの不足を人が補うものとして
作られた。
だからこそ、人機体の一部として、部品として埋め込んでいるのだ。
それが例え人道に外れても。
彼らは、免罪符を手に入れたのだ。
[神の名の元に]と言う、すべての責任を神の責任にして。
南側司祭長は、慌てていた。
勝てる戦いだったのだ、この惑星を実行支配してしまえば済む話と思っていたのだ。
彼には、力がある。
南側最新機:ネオリアは、すべてを変える機体だ。
実際に西側の艦隊を相手に負けていない。
このまま、押し切れれば実行支配も出来る。
そうすれば、ここに拠点を構えることが出来る。
彼はそう考えた。
変革を手に入れる為に手に入れた力を持って。
その思惑がまた外れ始める。
「なぜこうも押し負けている!」
南側司祭長の怒号が空母の艦橋に響く。
「ネオリアは最新機ですが、やはりAIによる自動攻撃にも限度があります。
情報に無い攻撃をされると反応が遅れます。
やはり、経験値が足りないところを突かれると弱いのです」
研究員が答える。
「何をいまさら、ここで何とかできなければ我々に先は無いのだぞ。
分かっているのか!!」
「理解はできます。
ですが、やはり実戦投入は早すぎるのです。
後、一年ほど時間があれば、必要な情報が手に入ったハズなのです」
「その時間がなかったのだから仕方がないだろう。
私とて、紛争が起きるとは思いもしなかったのだ。
邪教の信仰が思いのほか強すぎたのだ」
どちらも、自分たちの非力を責任と言う形で押し付け合っていた。
「騎士団と僧兵が、フォローに入り何とか持ち直しております。
今しばらく耐えていただければ、持ち直して見せます。
後しばらくすればタイプ2も準備が完了します」
研究員が自信をもって答える。
「…大丈夫なのか、そのタイプ2は?」
南側司祭長は、焦りながらも平静を持とうと努めていた。
「タイプ2は機械化と遺伝子工学の傑作です。
問題ありません」
「真の使徒という事か…
ならば急げ!そして、我らが神の力を示せ!」
「はっ!」
彼らは、今戦場となる宇宙を見据えていた。
そこに光る輝きが、自分たちの未来を切り開く事を信じて…




