40 復活戦
岩石帯を走り抜ける光が一つ。
だが、その動きは止められる。
仕掛けれられたワイヤートラップにより
岩石の間を抜けようとしたタイミングで爆発する。
単純な罠だ、しかし効果的でもある。
高速移動をする機体は、見つけようがないのだ。
見つけても回避ができない。
機体に勢いが付きすぎていて、見つけたときには目の前にあり、
避けようがないのだ。
「ええい、代理戦前に仕掛けたのかよ、コレ」
普段は軽薄さを出すタイ人男性が、不満を漏らす。
「いや、これはルール通りにやって仕掛けたんだろうよ。
ドローンを使ってとかさ」
日本人男性からの通信が届く。
冷静分析しながらも声色にはいら立ちがにじむ。
「向こうが上手かよ。難儀な相手だな、おい」
「あれだけ派手にやったんだ。
こっちの情報なんて駄々洩れだからな」
「人気者は辛いね。
折角の復帰第一戦だって言うのに」
タイ人男性が、やれやれという感じで不満を漏らす。
「相性が悪いな。機体の慣らし運転もまだなのに」
「ホントだ。これで修理したばかり機体を傷ものにしたら怒られる」
「あのな、そんなことより生きて帰れるかを考えろよ」
掛け合いをしながらも相手との間合いを詰める。
しかし、それも徒労に終わる。
人型機は罠にかかり、両側から岩石に挟み込まれ、動きを封じられる。
小型戦闘機は、罠による爆発と岩礫により、エンジンとスタビライザーを
破壊され動きを潰され、撃墜扱いとなる。
代理戦は敗退となった。
西側の管理局が、それぞれの機体を回収して、
西側代理戦チームのイサナガ専用母艦に戻ることになる。
二人は、待機室で疲れ果てていると、そこに整備員が一人怒鳴りこんできた。
「せっかく直したのに何でいきなり傷物にしてくるのよ!あんたたち!!」
気の強そうな小柄の女性が、二人に噛みつく。
「そういうなよ、病み上がりの一発目の復帰戦だ。
身体と機体の調子がつかみ切れていない状態で、
向こうさんはこっちの対策ばっちりなんだ。
五体満足で帰れたのは運がいいくらいだ」
ノブテル・ミズマが、疲れたように言うと
「何が五体満足よ!
私の可愛いアメノミカゲとワクムスピは傷だらけじゃない。
この子たちは、ほっときゃ治るアンタたちと違って、
私たちが手入れしないと治らないのよ!!」
彼女が吠えると
「そんなつれない事言わないでよ、ルグレちゃん。
こっちも必死だったんだよ…」
ノムイッカ・ラシタが申し訳なさそうに弁解する。
彼女は、ルグレ・ティアールは、それでも我慢が出来ずに吠え続け、
二人は、謝罪に追われることとなる。
ルグレ・ティアールは、ソプラ・バリトンが間に入ったことで何とか
矛を収めたが、怒りは収まっておらず、ドスドスとその場を離れた。
その後、ソプラ・バリトンからの説教が始まった。
ノブテル・ミズマ専用人型機アメノミカゲ。
前回の戦いで半壊にまで追い込まれ、今回の改修で質量兵器のみを改善したばかり。
ノムイッカ・ラシタ専用小型戦闘機ワクムスピ。
こちらも半壊にまで追い込まれ、改修されたばかりである。
しかも、それぞれの問題点を洗い直して、改修したのでその慣らし運転代わりの
代理戦である。
まあ、何もできず敗退したのだ。
戦い方も変えずに…
彼女はそれが気に食わない。
折角改修したのに、なぜそれを利用しないのか。
もう少しマシな戦い方が出来るはずなのに…と思っていた。
ノブテル・ミズマ曰く、
「どんな相手だろうと、ぶん殴れればいい。射撃なんて面倒だ」とのこと。
ノムイッカ・ラシタ曰く、
「華麗に避けれればいい。シールド気にしながら戦うなんて邪魔くさい」とのこと。
この考えで北側との乱戦を乗り越えたので文句が言いにくい。
他のメンバーも同じような言い方をしていた。
でも考え方が偏っていないのでバランスが良くなっている。
と、考えても各機体のバランスが悪すぎる。
なんせ他のメンバーも
キム・リーロン曰く、
「奇襲で何もかも済む。攻撃してすぐに逃げればいい」とのこと。
モハリド・アード曰く、
「よけて混乱させりゃいい。相手が慌てりゃあたりゃしない」とのこと。
ジャスタ・ホワイト曰く、
「近づかせなければいいじゃない。暑苦しい奴の傍なんかイヤ」とのこと。
チュク・ロイドカン曰く、
「面倒だからよ~。当たらないなら~逃げれないほど撃てばいいのよ~」とのこと。
皆、身勝手すぎるのだ。
マネージャーとしてのソプラ・バリトンは決意した。
『こいつら言うこと聞かないんだから。
このタイミングで私の意見を押し通そう』
で、前回の戦闘で各機体が中破~大破に追い込まれていたので
ソプラ・バリトンの提案で改修することになった。
メンバーたちは不満げだったが、有無を言わさず開始した。
まず、最初に突撃野郎どもの機体改修である。
最初は、
機体名:キュウキ
キム・リーロン専用中型戦闘機。
前回の乱戦で小型機から中型戦闘機に変更した。
理由は、兵器が少ない事とシールドが弱い事。
戦闘は高速戦対応型にして一撃離脱を中核とした。
その為、機体には六本のアームがあり、
前方後方に三本つづに分かれて配置されている。
そのアームには光学兵器がつけられている。
各アームとの間に機銃を装備している。
機体正面に重粒子砲は一門ある
機体側面にミサイルコンテナを搭載できるようにしている。
この状態では、ただの爆弾に見えないので、
側面に可動式の圧縮リレフメタル製の物理シールドを四枚取り付けられている。
キム・リーロン自身嫌がったが、ソプラ・バリトンに押し負けた。
次に、
機体名:マガツ
モハリド・アード専用小型機動戦闘機。
機体前にスタビライザーを二基と搭載した機動戦重視型。
機体正面に重粒子砲は一門で、機銃は二門。
後方に光学兵器は二門、更にミサイルコンテナを六つ積んでいる。
無理に回避して手持ちの火力をぶち込む戦闘スタイルである。
これだと、せっかくの小回りが過剰に乗せた兵装で無駄になっていた。
なので圧縮リレフメタル製の物理シールドをスタビライザーに付けて
一体型に変え、更に数も二基から四基にした。
エンジンも燃費重視に変更した。
これはソプラ・バリトンからの指示である。
続いて、
機体名:ワクムスピ
ノムイッカ・ラシタ専用小型機動戦闘機。
小型機動戦闘機を使うが、スタビライダーは、七基ついている。
前方に三基、後方に圧縮リレフメタル製の物理シールド一体型四基。
これにより変態機動戦を可能にしている。
メインエンジンに モノポール・リング・リアクタという新式を使っている。
重粒子砲は一門で、機銃は二門、光学兵器は一門
ミサイルコンテナもけん制ように二つ積んでいる。
高速戦を行う為、AIサポートシステム【ZAI】の力を借りている。
問題は、シールドを使っていないこと。
本人は「当たらなければいい」という訳の分からないkとを言っているが、
モノポール・リング・リアクタの異常な出力から供給される余剰エネルギーを
シールドに回した。文句を聞く気はなったので強行したのだ。
最後に問題児、
機体名:アメノミカゲ
ノブテル・ミズマ専用人型機。
人型機の両腕には、円筒上のハンマーがつけられており、
マニュピレーターが無い。
完全に撲殺専用機と化している。
機体制御と索敵にAIサポートシステム【DON】を搭載している。
この機体の問題はさらにある。
ノブテル・ミズマ考案の新技術がてんこ盛りである。
まず動力炉、モノポール・リング・リアクタ
ノブテル・ミズマ考案したキワモノエンジン。
この動力炉より粒子シールドというものが使える。
更に動力炉より粒子が、現行のデブリシールドを無効化させる作用がある。
ハンマーから展開される粒子シールドは、主にハンマーの先端に使われる。
それ以外だとハンマー側面に展開したり、
出力を上げることで、前方や横に広げ、巨大なサーベルにも出来る。
汎用性の高い粒子シールドとなる。
装甲とフレームに圧縮リレフメタル。
リレフメタルは、摩擦などで温度が極端に上がりにくい金属で衝撃に極端に強い。
それを圧縮して、特性の向上を促した。
これもノブテル・ミズマ考案である。
関節部には、ファルスファイバーという弾性にとんだ合金を使用
もうこれだけ動く質量兵器となっていた。
これだけだと、ホントに近寄らないと何もできないので
背面に追加ブースターと追加兵装。
機体の胴体部にサブアームを正面に二基、背面に二基取り付けた。
光学兵器を搭載したタイプだ。
余剰エネルギーで稼働できるようにしている。
本人はとてつもなく嫌がったが、前回最後の方で動けなくなったことを
言うと流石に観念したようだ。
トラブル中の妄想族オッサンです。
とうとう機体名をつけてしまった。
もともと、付ける気も無かったのと
考えても無かった。
なんか戦闘シーンで盛り上がるかな、程度で付けたのでですが、
ここまで考える気持ちが…妄想が…止まらなくなりそうなので
控えていたのですが、
やってしまいました。
こうなると、ノリノリで設定考えてしまう。
そう、地雷原をスキップで進んじゃうよ。
おうっ、受けなくてもいいダメージが…




