38 意地対意地
戦闘機の特性と人型の特性を持つ北側代理戦機。
西側の人型機を翻弄しながらも攻撃を仕掛ける。
西側人型機は、船首から中ほどまであちこちが破壊されている戦艦の甲板上で
北側代理戦機を迎え撃つ。
西側小型機動戦闘機は、まだ周囲を舞う北側小型機との戦いを行っていた。
ここまで残っている北側小型機は手ごわく、なかなか攻撃が当たらない。
互いに攻撃をよけては反撃と、譲らない。
西側小型機動戦闘機は早く北側小型機を撃墜して、援護に回りたいところだが
それも出来ないでいる。
更に、たまに支援艦からの攻撃がある。
沈黙はしているが、撃沈はしていない。
狙い澄ましたかのように攻撃を仕掛けてくるのだ。
その為、決定打に欠けていた。
その乱戦にジャスタ・ホワイトが参戦する。
弾薬の消耗率は、一番少ない。
突然乱入してきた機体に戦い方を変えられ困惑する小型機たちの隙を見逃さず、
ノムイッカ・ラシタとジャスタ・ホワイトの攻撃が小型機と支援艦に届く。
攻撃を受けた小型機は火を噴き爆発しながら四散する。
更に支援艦も持ちこたえてはいたが、あちこちが火を噴き始める。
支援艦自体が火花と炎に包まれ、爆発が起こり始める。
その爆発は、止まることがなく支援艦そのものを飲み込んでいく。
数が少ない西側は、北側の攻撃に何とか対応しながら、持ちこたえていた。
北側代理戦機と西側人型機の戦闘は激化する。
ライフルでの攻撃を人型機は受ける。
その度にビームは細かな光に分かれ、人型機の足元にある戦艦に被害を増やす。
人型機はハンマーを振るうが、その間合いに北側代理戦機は入らずに攻撃を仕掛ける。
北側代理戦機は、時折人型機の背後に近づきケリを入れて
体勢を崩してから離れ、ビームとミサイルを撃ち込む。
人型機は、その崩れた体勢を立て直し、ビームをハンマーで受ける。
ミサイルの方向もいなして変える。
戦艦に火花と炎が現れ始めると、
その船に乗る権力者が慌て始める。
「ここで戦うな」
「脱出準備をしろ」
「オレを誰だと思っているんだ」
と、喚き始めた。
艦長も乗組員もそれどころではない。
戦艦の状況確認と対処でそれどころではない。
それがさらに権力者の琴線に触れる。
喚く声が大きくなり、近くにいる乗組員を捕まえて逃げる準備を促す。
そんな中で艦橋下にミサイルが突き刺さり爆発炎上する。
爆発は、艦橋ごと巻き込んで吹き飛ぶ。
その横では、北側代理戦機と西側人型機は戦艦を壊しながら戦う。
北側代理戦機は、右腕につけた空のミサイルコンテナを西側人型機に投げつける。
西側人型機はミサイルコンテナを弾き飛ばすと北側代理戦機はヒートソードを
引き抜き、近距離攻撃と中距離攻撃を始める。
ヒートソードで切りつけても西側人型機のハンマーは、
壊れない。
「くそ、無駄に硬い」
北側パイロットは、悪態をつく。
やたらと頑丈な相手に有効打が与えられずにいらだちが募る。
それでもなお攻撃のチャンスを探し狙う。
その為に北側代理戦機は、ヒット&アウェイを繰り返す。
「ええい、当たらない。
速い、上手い。
手ごわい」
防戦一方にいらだち始めていた。
西側人型機は敵が近づいたタイミングでハンマーを振るうが避けられるか、かわされる。
何度も繰り返し、北側代理戦機の右手のヒートソードが
西側人型機の左上腕二頭筋辺りに突き刺さる。
西側人型機の左上腕二頭筋の装甲が切り裂かれ火花が飛ぶ。
「やるね!
だがただではくれてやるほど、安くない!」
西側人型機はそんなこともお構いなしに左腕を振り、
北側代理戦機の右肩をハンマーで吹き飛ばす。
更に西側人型機は左腕のハンマーを斜め下に落とし、
北側代理戦機の側面から背中にむけて叩き込む。
無理な体勢とダメージがあったこともあり、
西側人型機の左腕は爆発し吹き飛ぶ。
「くそ、そこまでするかよ」
悲鳴にも似た声を北側パイロットは上げる。
まだ目は死んでおらず、次を考えていた。
北側代理戦機は距離を置こうとするが、
背部ブースターがダメージを受けていたせいか、
思った以上に離れることができなくなっていた。
「これで終わりだ、バケモン!!」
北側代理戦機は左腕のライフルを西側人型機に向け構え、
引き金を引く。
銃口から放たれるビームが西側人型機を捉え、牙をむく。
「こなくそ!!」
西側人型機はそのビームに向けて踏み出し、加速しながら右腕のハンマーをねじ込む。
ハンマーは、ビームを粉みじんに吹き飛ばしながら
北側代理戦機のライフルの銃口に迫る。
粉々になったビームのかけらが西側人型機の左足に突き刺さり、
火を噴き火花を散らす。
西側人型機はお構いなしに、そのままさらに加速して間合いを詰める。
「これでも落ちないか、でも!!」
北側代理戦機は迫る相手にひるみもせず、二発目を放つ。
「そんなもんで!!」
西側人型機は、二発目もハンマーでねじ伏せ、
そのままビームごとライフルを圧壊させるが、
勢いは止まらず北側代理戦機の左腕も殴り壊す。
加速で無理をしたせいか、西側人型機の左足は、
爆発し体勢を崩すがハンマーの勢いは止まらない。
だが、方向はズレ、胴体から背部ブースターに変わる。
ハンマーはそのまま背部ブースターを破壊する。
北側代理戦機の背部ブースターが爆発し
動きが止まる。
西側人型機も左足を失い、バランスを保てないでいた。
両者、機動力も武器も失い、それぞれの機体AIが撃墜マークを出した。
相打ちである。
北側パイロットは、悔しそうにコンソールを叩き、
西側パイロットは、AIの行動に不満を漏らした。
「なぜ、止めた。
まだやれるぞ!」
「サー。これはパイロットの生命維持のために行うよう指示されたことです。
このまま戦闘を継続しても、意味はありません。
これは、私にその命令を組み込んだ
テノール・フォム・バースピリ局長の意志でもあります。
代理戦パイロットの帰還と生命維持を必ず優先させるようになっています」
AIは答えた。
「最初から仕掛けてあったのか。
あのオッサン相変わらず変に食えない」
「この命令は、最初から各機体AIに設定されています」
「くそ、なら仕方ない」
ノブテル・ミズマは諦め、シートに深くもたれかかる。
これで代理戦は終了した。
戦場は無駄に拡大したが、
戦いは終わったのだった。
この程度では、足りぬ。
熱血が、少なすぎる。
ネタも少ない…どないしましょ。
もう少しお付き合いしてください。




