36 対艦戦3
チュク・ロイドカンは、砲身の冷却が済むまで
敵目標へ照準調整やけん制攻撃を行う。
けん制は、とりあえずこの辺りと漠然な方向だけで
攻撃している。
敵からの遠距離攻撃で当たりそうなものはジャスタ・ホワイトが迎撃している。
ジャスタ・ホワイトは索敵と迎撃を担当している。
チュク・ロイドカンは、敵目標へ照準調整やけん制攻撃に集中するのだ。
遠距離攻撃担当のチュク・ロイドカン
中距離攻撃担当のキム・リーロンとモハリド・アード
索敵と迎撃、指揮担当のジャスタ・ホワイト
強襲担当のノムイッカ・ラシタ
そして強襲、対艦攻撃担当ノブテル・ミズマ
西側は、チームとして棲み分けが出来ている。
そう感じているのは、彼らだけじゃないだろう。
それでも不満は出るようで性格的なものだろうと
ジャスタ・ホワイトは諦めていた。
命がかかる戦場でまだ不満が言えるのは気持ちが切れていない証拠と
考えることにした。
だからこそ、私たちはまだ戦える。
そう思うことにしたのだ。
彼女は、そう考えて次の目標をチュク・ロイドカンに指示する。
勿論、キム・リーロンとモハリド・アードに射線位置情報の連絡も欠かさない。
情報さえあれば、割と何とかしてくれるからだ。
その後の文句はすさまじいが、元気な証拠として見る。
支援艦の周囲を飛び回る北側小型機の相手をしている
キム・リーロンとモハリド・アード、そしてノムイッカ・ラシタにとっては、
目の前の敵と、後ろからの攻撃。
どちらも自分たちを攻撃してくる敵にしか見えていない。
それでも、きちんと情報は送られて来るからそうとも言えない。
その情報は、自分たちの力量を信頼しての情報であることも理解していた。
一寸先は闇を地で今こなしている。
不満が出るのは、許してほしいところである。
「さあ~、狙い撃つからよけてね~」
チュク・ロイドカンからの気の抜けた声が聞こえてくる。
敵に囲まれ後方から重粒子ビームをよけろなんて言ってくる。
不満も言いたくなる。
キム・リーロンとモハリド・アードはそう思っていた。
ノムイッカ・ラシタは重粒子ビームの射線からかなり離れていたので、
二人とは違い、撃ち込まれるタイミングを計っていた。
重粒子ビームが撃たれた後は支援艦に強襲しやすいからだ。
北側小型機が警戒するからだ。
重粒子ビームが通過した後は、熱とプラズマにより周辺は、状態が悪い。
相手がひるんでいる時が、攻撃を仕掛ける絶好の機会でもあるからだ。
西側の大型戦闘機から重粒子ビームが放たれる。
その重粒子ビームが二隻の支援艦を撃ち抜く。
手前の支援艦の後方エンジン部を撃ち抜き、奥側の支援艦は船首を撃ち抜かれた。
手前の支援艦は機関部を緊急停止させ、被害を抑え大破したものの、
撃沈までいかない。
それをノムイッカ・ラシタが見落とさず、
支援艦に機体の先を向け、支援艦に飛び込む。
そして、照準を合わせ、
すかさず重粒子ビームとミサイルを撃ち込む。
撃ち込まれた重粒子ビームは支援艦の艦橋を破壊し、
ミサイルは、支援艦のミサイルコンテナを破壊する。
まだ、コンテナ内に残るミサイルが爆発により誘爆をおこし、
手前の支援艦は轟沈した。
奥の支援艦には、西側大型戦闘機からのミサイル攻撃を受けていた。
奥の支援艦は、轟沈した手前の支援艦を盾にしてミサイル攻撃に耐えていた。
四の五の言っている余裕のない状況だ。
ジャスタ・ホワイトは状況を確認していた。
後、中破している戦艦と支援艦が一隻ずつ。
第一目標の北側代理戦機の一機は、ノブテル・ミズマが撃墜した。
なので残り一機。
未だにどこにいるのかわからない状況だ。
第一目標の北側代理戦機の撃墜はこの戦いにおいて必須事項だ。
何としても見つけて撃墜しなければいけない。
予想される選択肢は三つ。
中破している戦艦と支援艦にまだ潜んでる。
先に壊滅まで追い込んだ部隊に紛れ込み、デブリのふりをしている。
単独で行動し、岩石帯のどこかに潜んでいる。
最初の一つ目ならまだ何とかなる。
見つけやすいからだ。
後の二択は探し出すことが大変だ。
先に壊滅まで追い込んだ部隊に紛れ込み、デブリのふりをしている場合を
想定してドローンをすでに送り込み、索敵させてはいるが、
見つかっていない。
そうなると最悪の選択肢である
単独で行動し、岩石帯のどこかに潜んでいる。
が考えられる。
これをされると、索敵範囲が、恐ろしく広がる上に、
逃げ得される可能性が跳ね上がるのだ。
ガス欠で漂っていれば、もう見つけることは不可能に近くなる。
焦りだけが彼女に覆いかぶさる。
『ホント、いい加減に出てきなさいよ』
その言葉を彼女はグッと飲み込み索敵を続けるのだ。
とある場所で一人のパイロットが自身の機体を眺めていた。
換装されている機体は、戦闘機と人型の中間の様な姿をしていた。
格納庫にいる今も爆発音や振動が響く中でパイロットは狂暴な笑みを浮かべる。
整備員たちは、パイロットの要望に応えるために機体を仕上げていく。
仕様は、正気を疑うような内容だが、パイロットの目的が化け物に勝つ為だと
言われれば、仕方がないと思われる。
パイロットの目的は一騎打ち。
それも西側の狂った化け物を倒すためだ。
今も外では、その狂った化け物が、戦艦の砲撃を受けても
なお、暴れているという耳を疑う情報だ。
それを「バカなことを」と噂する整備員たちと
違いパイロットは、嬉しそうに聞いている。
自分が倒すべき相手が、まだ元気でいることがうれしいのか、
楽しそうに見える。
パイロットは、機体の準備が出来次第、出撃するそうだ。
これだけの敗戦でまだパイロットの彼だけはまだ戦意を失っていない。
むしろ、戦意は燃え上がる。
強敵を倒すこと以外、眼中にない状況だ。
味方からすれば頼もしい限りだが、大丈夫かという不安もよぎる。
それでも、強敵に挑めるという思いだけがパイロットを突き動かし、
整備員たちもその思いにこたえようと作業を続ける。
彼の機体は、パイロットの望む姿になるまで静かに待ち構えていた。
決戦の時は、目の前に迫っている。
機体は、その高揚を隠すように静かにたたずんでいた。
戦場では西側のチーム全員が第一目標である北側代理戦機を探す。
索敵だけでは見つけ切れていない岩石の裏や撃墜された戦艦や支援艦の裏など、
戦闘をしながらも目視で探していた。
この戦いで、北側の文句が来ないようにするためには、
代理戦機の撃墜は最重要目標となる。
ごねることで有利な状況にしようとする北側にこれ以上付き合い切れないからだ。
それをさせないためにも代理戦機の居場所を割り出す必要がある。
ジャスタ・ホワイトからすれば、残る戦艦、支援艦のどちらかに居てほしいと
願うばかりだ。
そして、更に願うなら、逃げ切りされないことを思う。
消極的な行動が多い北側にそれを期待していた。
そこまで彼女は困っていたのだ。
でもやることは決まっていた。
とにかく今は目の前の敵を排除することを考えていた。
周りを飛び回る小型機は、
とりあえず、キム・リーロンとモハリド・アードに任せておけばいい。
面倒なのは戦艦だ。ノブテル・ミズマは別行動で支援艦を潰してくれている。
チュク・ロイドカンの大型戦闘機に搭載されている重粒子ビーム砲もエネルギーカートリッジが残りわずかだ。
ミサイルも補給したが、結構少ない。
もう一度補給を考えるが、タイミング的にそれはまずい。
戦闘時間もそうだが、補給艦にも弾薬の在庫が厳しい。
さっき補給した時に次の補給分はほぼないと整備員たちが言っていたからだ。
つまり、ここが踏ん張りどころである。
「ジャスタ~。重粒子ビーム砲は、あと一回が限度だわ~。
砲身がまずい事になってきているのと~カートリッジが一発分しかないわ~」
とチュク・ロイドカンから通信が入る。
「わかったわ、重粒子ビーム砲は戦艦に照準を付けておいて。
ミサイルの目標は支援艦に向けて。
暴れん坊たちには連絡入れておくから準備お願いね」
と、指示を出す。
「わかったわ~」
と返事が来る。
「リーロン、アード。次の重粒子ビームの砲撃後にミサイルを支援艦にぶち込むわ。
そのタイミングで支援艦を沈めて。
ノムイッカとノブテルは戦艦に攻撃を仕掛けて。
リーロン、アードも支援艦沈めたら戦艦に攻撃仕掛けて。
第一目標は、多分どっちかにいる。
引きずり出すか、もろとも撃沈するかしか弾薬残数にも体力的にもこっちにはチャンスがこのタイミングしか残っていない。
ここで決めるわよ」
ジャスタ・ホワイトの指示が飛ぶ。
各自がそれぞれに返事をして行動を起こす。
キム・リーロンが戦艦の後ろに回ると戦艦の後方カタパルトが開き、
そこから重粒子ビームが撃ち出される。
キム・リーロンはよけきれず、被弾した。
そして、そこから最後の北側代理戦機が飛び出しながら、
キム・リーロンに向けて機銃掃射をして戦闘不能に追い込み飛び立つ。
「すまんやられた。
でも、その代わり朗報だ。
見つけたぞ、北側代理戦機。今戦艦後方に飛んでいきやがった。
マーカーも付けたぞ。確認頼む」
と言って、戦線離脱する。
その通信は彼らにとっては朗報でもある。
確かに貴重な戦力が離脱するのは手痛い損失となったが、
それでも第一目標が見つかったのは間違いない。
ジャスタ・ホワイトはすぐに砲撃指示を出し、
勝負を決めに入る。
チュク・ロイドカンの砲撃が戦艦の腹を貫き、
ミサイルが支援艦に襲い掛かる。
モハリド・アードが北側小型機を撃墜しながら支援艦に迫る。
ノムイッカ・ラシタは北側小型機を撃墜しながら北側代理戦機を探す。
ノブテル・ミズマは戦艦に取り付き、厄介な主砲を先に叩く。
最後の主砲を潰した時に彼の後方から機銃を撃ちながら北側代理戦機が迫る。
その形状は、明らかに今までと異なっていた。
さあ、盛り上げましょう。
ラストに向けて熱い展開が必要です。
私にとってですが…
妄想族のオッサンは
現在、妄想街道徐行中です。
爆走はできません。
それどころか一時停止も多いですね。
進みません。
落とし物も増えて気ばかりです。
拾いきれません、道路清掃会社に迷惑ばかりです。
申し訳ございません。
では、改めて
誤字脱字、感想など、どんと来いです。
まあ、単純に自分では見えないところを見つけてほしい、
ってのが本音というか、情けない限りです。




