02 呼出
元の世界に戻った。
先ほどまでいた宇宙空間ではなく、普通の星の上で現実である。
彼は、会社員であり、どこにでもいそうなくらいの普通の人である。
会社でのストレス発散に妄想しているわけでもなく、
彼の日常の中に組み込まれた異常な世界が、先ほどまでの戦闘である。
彼にはそんなことも関係ないと思うくらい自然に会社の仕事や普段の生活を繰り返している。
彼にとっては、あの代理戦争は、良い気晴らしなっていた。
命を賭けた気晴らしとなる。
当たり所が悪ければ確実に死ぬ、命を賭けた戦争ゲーム。
彼は、それに参加している。
ひと月に二回ほど行われるそれは、彼にとってはいい事なのだろうか?
それを知るのは当人だけである。
彼は、今日も会社に出勤して仕事をこなしていた。
彼は、昼休みに公園にいた。
陽射しが心地よく降り注ぎ、呆けていると
イケメン同僚が声をかけてくる。
「何オッサンみたいなことしてんだよ」
「日向ぼっこしてるのがおかしいか?」
彼は、気の抜けた言い方で返した。
「お前も若いんだからさ、そんジイさんみたいなことしてないで
もっと若々しいことしたら?」
「良いのいいの。仕事は室内なんだから休憩時間ぐらい自然光浴びたいんだよ」
「相変わらず、若さがないね」
「若さが無くて結構だよ、仕事に関係ないしね」
「仕事人間だねお前は」
「それでいいさ、今のうちは」
なんてたわいもない会話をして、午後の仕事こなす。
そして、仕事が終わり。
帰路についたころ、彼の携帯鳴る。
彼がその携帯に出ると
そこから聞こえるのは、先ほど別れたばかりの女性の声が聞こえた。
『ごめん、急な話だけど今から来れる?』
『ゲートはオレの近くで開けるのか?』
彼は、驚くことも無く話を続けた。
まるで当たり前だと言わんばかりに。
『一番近いところで○○○に用意するわ』
『わかった向かうよ、どうせ拒否権も無いだろ』
その後、彼女が小さく『ごめんね』とつぶやいた。
彼女の立場もよく知っていたのでそれ以上の追及もしない。
『仕方ない事だろ』と続けると
『ありがとね』と返され、そのまま電話を切った。
そして彼は、彼女が指定した場所に向かう。
日常から非日常に向かう。
それが彼にとって幸か不幸かは、彼にしかわからない。
突然の呼び出しに応じた彼は、会議室に目を閉じ、腕を組んで座っていた。
その部屋には、もう一人暗い彼とは違い明るい笑顔を振りまく男性がいた。
彼の名はノムイッカ・ラシタ。
タイ人男性で天性の明るい人間で周囲を常に明るくする。
「なあ、ノブテル。今回は珍しく急だね」
と隣にいるスーツ姿の彼、ノブテル・ミズマに話しかける。
「そうだな、俺なんて昨日一仕事終わらせて、本業までこなして
結構辛いのに呼び出しだもんな」
それに大げさに驚き
「oh、今だに日本人はワーカーホリックが多いのかね。
オマエを含めて働きすぎだと思うが…大丈夫か?」
と、言いながら下から覗き込む。
「そこまで仕事に燃えてないよ。ただまじめすぎるだけ…だと思うよ」
眼を開け、優しい笑顔を浮かべる。
「ok,buddy。オマエは無理しすぎるところがあるが最善を尽くす男だ。
そのオマエを信じるよ、今回も」
と、いうとノブテル・ミズマの背中をバンバンと叩く。
「痛てえよ、加減しろ。
オレは内容聴いたらすぐにでも帰って寝るんだよ。
疲れんだよ、いたわれよ、相棒」
と、ノブテル・ミズマは、痛がりながら吠えると
「そうか、さすがのミスター非常識でもワーカーホリックにはなれんか。
何か普通の事を言うからびっくりしたぞ」
と、豪快に笑いながらどかっと座る。
「まったくオレを何だと思ってんだ」
と、ノブテル・ミズマは小さくつぶやいて服を直した。
そんな中にソプラ・バリトンが疲れた顔で部屋に入ってきた。
絶賛妄想街道爆走中の妄想族(古い古すぎる)のオッサンです。
誤字脱字、感想など、どんとこいです。
まあ、単純に自分では見えないところを見つけてほしい、
ってのが本音ですけどね




