25 戦場へ
代理戦当日。
北側の動きはなく、代理戦の主戦場の変更はない。
しかも西、東、南の協定委員会が監視された状態のなので
主戦場にしかけを施せないようなってはいたが、
場所が広いので仕掛けをした場所があるかもしれない。
北側の代理戦チームに誘い込まれる可能性もある。
更に軍隊の介入もあるかもしれない。
演習をしていた軍隊が帰らずにとどまっていることもその考えをよぎらせる。
代理戦の線引きを曖昧にして来ている。
相手の曖昧な態度や自分たちに不利な提案は、徹底的に糾弾する癖に
自分たちはそれを行う。
いい加減というか身勝手というか。
ただ、西側チームは、そのことを織り込み済みでいたので
今更何かしてこようとも気にもしていない様子だった。
むしろ、何かして来い、やらかしやがれって感じである。
それが、別の意味で不気味さを醸し出していた。
各自が準備に入り、代理戦開始まで静かに待つ。
そして、開始の合図が鳴り、西側の資源群採掘基地から
六つの光の帯が黒い空に描かれる。
時を同じくして、北側の演習艦隊より六つの光の帯が解き放たれる。
戦いの火ぶたは切られたのだ。
「皆さん、では打ち合わせ通りにお願いしますね。
コンビで行動してくださいよ。
と・く・に・モハリドさんとノブテル君。
キミたちは突撃命すぎるから落ち着いて行動を。
それから、キムさんとチュクさんは、加減してください。
北側の動きがまだわかりません。飛ばしすぎると後が大変です。
ジャスタは、広範囲で敵の動きを観測してください。
そしてノムイッカさんは敵の行動パターンの解析をお願いします。
相手の動きを予測するのに長けていますよね。
各員、抑えるところは抑えてください。
まだ、、始まったばかりです。息切れするのはまだですからね」
ソプラ・バリトンの通信が響く。
彼女は冷静に動くように各機に通信する。
先行は、モハリド・アードの小型機動戦闘機とキム・リーロンの中型戦闘機だ。
二人とも好戦的ではあるが、慎重でもある。
続くのは、ジャスタ・ホワイトの小型機動戦闘機と
チュク・ロイドカンの大型戦闘機。
ジャスタ・ホワイトの索敵能力とそれを補助するために
チュク・ロイドカンが物量で敵が近づきにくくするためだ。
敵に気づかれても、先行チームがいる上にチュク・ロイドカンが物量で押し切る。
更に後方はノムイッカ・ラシタの小型機動戦闘機とノブテル・ミズマの人型機。
普段はお茶らけているノムイッカ・ラシタは、常に冷静に判断している。
敵の動きには敏感なのだ。
そして、強力なシールドを張ることのできるノブテル・ミズマの人型機。
不意の攻撃に対して対応できるというフォーメーションである。
これは、相手がルール通りにしていることが前提なのだ。
現在、先行チームはまだ会敵していない。
今風に言えばエンカウントしていないというべきか。
北側も慎重である。
前回に痛い目を見ているからか、様子見なのか。
それとも他の思惑が絡んでいるのか。
初手を飾るのはどちらになるか。
代理戦はすでに始まっている。
だが、本当の代理戦開始の狼煙は上がっていない。
狼煙が上がる前にコックピットに響いたのは、
「まずいわよ。北側さんたち前回よりえげつない手段に出てるわ。
各員に情報を送るわ。覚悟してね」
ジャスタ・ホワイトからの通信が届く。
「ここまでするのか」
「これだから力でねじ伏せる事しか考えない連中は嫌なんだ」
先行するキム・リーロンとモハリド・アードは、驚きをこぼす。
「すごいですしょ」
「ウチの国でも同じ事してるからね~。やられるとこれほど面倒とはね~」
ジャスタ・ホワイトは、情報をみた感想を求め、
チュク・ロイドカンは、自身の体験談を語る。
「権力と金の無駄遣いだね」
「まあ、予定通りってところか」
ノムイッカ・ラシタは呆れながらも感心し、
ノブテル・ミズマは、覚悟をしていたように納得する。
そして、ソプラ・バリトンは、送られた情報を表示されたタブレットを
見てため息を付く。
「ここまでやりますか。コレ代理戦ですよね」
「なるほどね、中止を申請しようか。
これはもう代理戦じゃない。侵略行為か奇襲も良いところだ」
タブレットの情報を見たテノール・フォム・バースピリは静かに判断を下す。
「出来ますか?止める事って」
「無理かもしれないが、こんな北側の勝手な戦い方を許すわけにはいかない。
いくら勝ち星と資源群が欲しいからと言ってやり方がひどすぎるね」
「みんなには出来るだけその包囲網からの脱出を指示したまえ。
無駄に命を賭ける必要はない」
というとテノール・フォム・バースピリは、通信士の元に向かう。
その命令通りに各機に連絡を入れるが、
ソプラ・バリトンはすでに手遅れだと理解した。
交戦に入った各機からの慌ただしい通信が飛び交っていたからだ。
初手は、北側から始まる。
先行する二機が攻撃を受けたからだ。
彼ら六機を北側の軍隊が囲むように展開していた。
小惑星群にまぎれ、部隊を配置していたのだ。
そして、西側代理戦チーム イサナガが罠にかかるまでじっと身を潜めていたのだ。
エサは北側代理戦チームである。
位置が分かるようにまとまって行動し、動きも遅くまるで見つけてくださいと言わんばかりだ。
勿論、西側も相手の動きを慎重に確認しながら行動していたが、
どうやら北側はこの代理戦が決まる前から配置を済ませていたようだ。
完全な向こうのペースであり、作戦勝ちともいえる。
罠がバレる直前にくらいに仕掛けているのもうなづける。
戦闘を始めてしまえば、完全に北側のペースだ。
西側チームが逃げ出せば敗戦を突きつけ、
中止を言えば、安全のための策敵だ、
と、正当性があるといって再度代理戦に持ち込む。
駄々をこねて自分たちの行動に間違いはない事を主張する。
この状態に持ち込めれば、
北側は勝つか不問にして再度代理戦をするかに持ち込める。
つまり、勝つまで終わらせるつもりはないという勝手な理由だ。
この状況になると西側の勝利条件は、ただ一つ。
不利な戦場で打ち勝つだけになる。
数の差は、六対百と言った感じだ。
完全な私刑もいいところだ。
不利を通り越して理不尽である。
そんな中、西側代理戦チーム イサナガのメンバーは不敵に笑う。
予想以上の敵に対して、彼らは負けるつもりはないようだ。
「ジャスタ!目標の位置は?」
ノブテル・ミズマが通信してきた。
彼の見据える先は、目の前にいるその他大勢ではなく、
本来の対戦相手に向いていた。
「わからないわよ、全体に展開されてる連中のおかげで見失ったわ」
ジャスタ・ホワイトの悲鳴のような答えが返ってくる。
「なるほど、そうなるわな。
じゃあ、ノイ(ノムイッカ・ラシタの愛称)。
位置が分かるか?」
彼女の悲鳴を聞き流し、相棒のノムイッカ・ラシタに呼びかけた。
「はいよ、人使い荒いね。マーカーは付けたよ。
位置はみんなにわかるように送ってる。
もう、近い方にリー(キム・リーロンの愛称)と
ハド(モハリド・アードの愛称)が動いてるよ」
と、答えてきた。
ノムイッカ・ラシタの抜け目のなさが分かる。
その事に驚きを隠せないジャスタ・ホワイトを置いて
二人は話を進めた。
「逃げてるやつを狙おうか、何処にいる?」
「そうだね、左右に二機ずつ動いているね。
代理戦の対戦相手が逃げるとはね」
ノムイッカ・ラシタは呆れるが、
それとは別に静かに情報を精査するノブテル・ミズマは、
「この光が重なって動かない奴を狙うか」
と言ってきた。
「また面倒なヤツに狙いを決めたね、これ多分戦艦に帰還してるやつだよ」
と他人事にように答える。
「それじゃあ、そいつを仕留めに行こうか。
真面目にこの数を相手にしていられない」
というと、ノブテル・ミズマは、目標に動き出す。
「なに勝手に動いてんのよ!!」
「適材適所で行こう、数はそっちに任せる。
こっちはデカ物を片づける」
と言い残し右側に舵を取り、動き出していた。
「どうするの~。私たちも~続くの~」
切羽詰まった状況で呑気な言い方で質問が来る。
「ダメよ、あの二人は何とかしてくれるから野放しでいいわ。
前の二人の方が手がかかるわ。
私たちは索敵と援護に回りましょう」
ジャスタ・ホワイトはぴしゃりと言い切る。
「つまらないわ~」
すねたような返事が返ってくる。
「大丈夫よ、北側さんの選手が四人つぶれれば、残りは二人。
その時まで徐行運転でお願いね」
「わかったわ~数多い者ね~。
あの子たちなら確実に仕留めてくるだろうし、
前のやんちゃたちは、置いとけないものね~」
と、チュク・ロイドカンは、訳の分からない理由で納得していた。
何か話を変な方向に向けてますね。
まとめようとして大きくなっている気がします。
キチンとまとまるのか不安ですね。
妄想族のオッサンは
現在、妄想街道徐行中です。
爆走はできません。
それどころか一時停止も多いですね。
進みません。
落とし物も増えて気ばかりです。
申し訳ございません。
では、改めて
誤字脱字、感想など、どんと来いです。
まあ、単純に自分では見えないところを見つけてほしい、
ってのが本音というか、情けない限りです。




