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天に愛された王女は、王国を再興します!  作者: Hälou


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4.静寂と足音②

初戦闘?!

その時、夜闇に紛れて、道の両サイドから、複数の人影が現れた。



彼らは顔を布で覆い、手には剣や棍棒を構えている。しかし、ビアードの視線は、彼らの先頭に立つ二つの影に釘付けになった。


ビアードは一歩前に出て声をかける。


「…貴殿たちに見覚えがある。こんな夜更けに何用ですかな。」


盗賊たちが武器を手にとる。


「無益な争いは避けたい。どうかお引き取り願いたい。」


ビアードの声に、布を外したバンは、隻眼の瞳を妖しく光らせ、にやりと笑った。その隣では、弟のダンが、下卑た笑みを浮かべ、舌なめずりをしていた。



「知ってるなら話はお早い。積んでいるものをすべて置いていけ。あとお前が護衛している人間もだ。」


バンの言葉に、ビアードの表情が変わる。


「このお方をどなたか知っての言葉ですかな。」


盗賊の下っ端が武器に手をかける、その刹那、ビアードは目にも止まらぬ速さで二人の腕を切り落とす。


煌めく閃光が夜闇を切り裂く。


ドサリと、地面に二つの腕が落ちた。次の瞬間、二人の盗賊が遅れて絶叫をあげる。


「…無益な争いは避けたいと申し上げたはずだが。」


ビアードは、血の一滴もついていない剣をゆっくりと鞘に納めた。その動きは滑らかで、あまりにも自然だった。まるで最初から争うつもりなどなく、ただ当然の報いを与えただけだと言っているかのようだ。


その光景に、バンとダンの顔から笑みが消える。


「一斉にかかれ!!」


バンが声をあげる。


30人ほどの盗賊がビアードを目掛けて飛びかかる。


しかし、ビアードは、微動だにしなかった。


数十の影が殺到する中、彼はただ一振りの剣を抜き放ち、闇を切り裂く。その刃筋は、一切の無駄がなく、流れるような美しささえあった。彼が剣を振るうたびに、盗賊たちの武器が弾き飛ばされ、悲鳴とともに地面に倒れていく。


それはまるで、荒れ狂う波を一人で受け止める、巨大な岩のようだった。攻撃は彼に届くことなく、ただの一瞬で、戦意を失った盗賊たちが道の両脇に折り重なって倒れていった。


そのあまりに一方的な光景を、コーネリアスは息をのんで見ていた。彼はオフィリアを抱きながら、ビアードという男の底知れぬ実力を目の当たりにしていた。


「姫様、どうか少しだけここでお待ちください。」


コーネリアスは小さな声でオフィリアに言い残し馬車から降りた。


その時、一人の盗賊が、ビアードの死角から馬車から降りたコーネリアスを目掛けてへと飛びかかった。ビアードの隙を狙う、最後の悪あがきだった。


コーネリアスは、迫りくる男の殺気を感じ、手を広げる。彼女の両手から淡い光が放たれ、剣が精製された。


光の剣を握りしめたコーネリアスは、その剣を盗賊へと向け、振り抜いた。


光の刃は、盗賊が手にしていた剣をあっさりと切り落とした。その瞬間、コーネリアスは跳躍し、盗賊との距離を一気に詰める。そして彼女は剣の柄を、盗賊の首筋へと叩きつけた。


「噂には聞いていましたが、お見事。可能であれば殺さずに生け捕ってください。」


ビアードはコーネリアスの身のこなしを称賛した。


盗賊たちの呻き声を聞きつけた宿の主が、駆け寄ってくる。


「何事ですか...!!こ、これは大変だ!!。」


事情を察した彼は、すぐに街の憲兵と、そして聖騎士を呼びにでた。


ビアードは冷静に、奥で腰掛けるバンとダンに目を向けた。バンは、ビアードの圧倒的な力に打ちのめされた様子もなく、ただ不敵な笑みを浮かべていた。


「…ククク。相変わらず強いなあ、ビアードォ!まさか本当にお前がこんなところに子供連れているなんてなあ!!」


「兄ちゃん、これを使うじぇ!」


ダンは懐から一本の剣を取り出し、バンへと投げ渡した。それは、妖しい光を放つ魔剣だった。


バンは剣を握りしめると、ビアードへと斬りかかる。彼の動きは、以前とは比べ物にならないほどの速さと鋭さを持っていた。


ビアードは、バンの攻撃を剣で受け止める。二人の剣がぶつかり合うたびに、火花が激しく飛び散り、耳をつんざくような金属音が響き渡る。


「何を護ってるんだあ??お前みたいなやつがよお!!」


バンが叫ぶと、彼の全身に黒い紋様が浮かび上がり、ビアードの剣筋をわずかに歪ませ、その動きを鈍らせる


「貴殿が知る必要はない。」


バンの言葉にビアードが返す。


ビアードがバンの攻撃を受け流したその瞬間、ダンはにやりと下卑た笑みを浮かべ、ビアードにナイフを投げつけた。


そのナイフをコーネリアスが弾き返し、ダンと接敵する。


「…ちぇめえ、女で小娘が俺の相手だなんちぇ、なめられたもんだじぇえ!!」


ダンの狂気じみた声が、夜闇に響く。彼は二本のナイフを抜き放つと、まるで獣のように、コーネリアスへと迫った。


コーネリアスは軽く彼の攻撃をいなしてみせる。


「クソォゥ、ふざけんるんじゃねえじょおお!!」


ダンはなおも狂ったように、何度もナイフを突き立ててくる。しかし、コーネリアスの精製された剣は、そのすべてを正確に弾き、彼女に傷一つ負わせない。


「下がれっ!!ダン!!」


バンは叫び、魔剣を建物目掛けて振るう。


魔剣から出た斬撃が建物を破壊し建物を崩れ落とす。


その瞬間、コーネリアスはバンの声に反応し、とっさに回避行動を取った。彼女はダンの背後に素早く回り込み、その背中を強く蹴りつけた。


「うあああ!?」


ダンは突然の衝撃にバランスを崩し、ダンの体が前のめりに倒れ込む。ダンは、降り注ぐ瓦礫から身を護る術もなく、無数の石の破片の下敷きになった。



ビアードはバンが行った攻撃の後、その僅かな隙を見落とさなかった。


「狙った相手が悪かった。」


ビアードは、魔剣を振り下ろしたバンの隙を突き、剣を返す。それは、相手の命を奪うための斬撃ではなく、剣の腹で放たれる"達人技みねうち"であった。


ビアードの剣劇はバンの脇腹に深く食い込む。鋭い斬撃とは異なる、鈍い衝撃がバンの全身を貫き、彼の神経を麻痺させた。バンは、何が起きたのか理解する間もなく、その場に崩れ落ちた。





バンとダンが倒れ、夜の帳が降りた道は、先ほどまでの激しい戦闘が嘘だったかのように、静けさを取り戻していた。


コーネリアスは、光の剣を淡い光の粒子に変え、その場で息を整える。彼女の心臓は激しく鼓動していたが、その目は澄んでおり、自身が成し遂げたことに静かな達成感すら覚えていた。


その時、遠くから複数の足音が聞こえてきた。


「大丈夫か!」「憲兵だ!誰かいるか!」


宿の主が呼んだ憲兵と聖騎士が駆けつけたのだ。彼らは、道の両脇に折り重なって倒れる大勢の盗賊と、その中心に立つビアードとコーネリアスの姿を見て、驚き、目を見開いた。


一人の聖騎士が、地面に倒れるバンとダンの顔を見て驚き、口を開く。


「どうしてこいつらが、こんなところにいるのだ。もしかしてあなたたちがこいつらを...」


言葉の途中で聖騎士は息を飲んだ。


「も、もしかして、記憶違いであれば申し訳ないのですが、ザファリア帝国の副団長様でしょうか...??」


「いかにも。わけ合ってこの宿に泊まっている。荷を詰めているときに偶然彼らに襲われましてな。」


ビアードは顎髭を触りながら困り顔をしてみせた。


その後、憲兵たちは手際よく盗賊たちを拘束した。聖騎士と憲兵はビアードたちに深く一礼し盗賊たちを連行した。


部屋に戻ったが、その夜、コーネリアスはなかなか眠りにつけなかった。ビアードの圧倒的な力、自分ひとりの力では王女を護ることはできなかったであろうと感じていた。


翌朝、コーネリアスは一晩中ビアードが起きていることに気づいた。朝食を終え、再び馬車に乗り込む準備を整える。昨夜の出来事が嘘のように、彼らは静かにサンドライト教国を後にした。


道中、コーネリアスが馬車から顔をだし、ビアードの背中を眺める。。


「ビアード様…昨夜はありがとうございました。」


コーネリアスがそっと声をかけると、ビアードは振り返り、優しく微笑んだ。


「いや、礼を言うのは私の方だ。コーネリアス殿がいなければ、今頃王女様は無事では済まなかったであろう。感謝している。」


「はいっ!姫様を護るためにもっと精進します!!」


コーネリアスはその言葉に驚き、少し照れ臭そうにしながら返事をして馬車へ戻った。コーネリアスは少しの嬉しさと昨夜みたビアードへの憧れを胸に、静かな決意を固めていた。









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